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The Human Factor

「雪崩リスクマネジメント」をやっと読破した。3シーズンかけて3歩進んで2歩下がるペースで最後まで読み終えることが出来た。

今シーズンまでに残っていたのは、第9章「レスキュー」と第10章「ヒューマン・ファクター」だった。「『レスキュー』を読んでいなかったのか?」と怒られそうだけれど、ビーコンの練習は言い訳程度にはやっていた。本を読んで体系的に学んだのが、今回初めてになる。「レスキュー」については、知識はこれで十分というラインはないだろうし、訓練も積まなければいけないだろう。むしろ、この本で注目すべきなのは、最後の「ヒューマン・ファクター」なんだと思う。訳者も同様に指摘している。

著者が挙げたヒューマン・ファクターを見出しから拾い出してみる。


  1. ステューピッド・ライン (The Stupid Line)
  2. 認識の罠
  3. 信念
  4. 信念の惰性
  5. 習慣化
  6. 群集心理
  7. 男性/女性
  8. 天候と認識
  9. 文化的傲慢
  10. 雪崩スキル VS 移動スキル
  11. 自己陶酔と登頂欲
  12. コミュニケーション
  13. ギアマニア
  14. 貪欲さ
  15. プライド

これらのファクターをそれぞれ読んでから過去の行動を振り返ると、思い当たることがいくつもある。実際には、複数の要素が組み合わさっているのだろうけど、ニセコアンヌプリやチセヌプリでは5と6が顕著なのではないかと思う。毎年、悪魔の甘い誘惑もあったけれど、そもそも自分が冬山に入ったのは13による。もともとの性格や数年間の無賃労働のおかげで3、4、7、そして11、14、15あたりは若干コントロールが利く気がする。けれども、10月の風不死岳では12が試されることになり、結果、お互いに反省点が残る山行だった。先シーズンの旭岳での雪崩も、反省すべき点が多い。

この本を雪崩の学習のために初めに手にしたのは正解だったと思う。無意根ツアーに参加した時は完全にお客さんだったけれど、幸い雪崩に関心の高い悪魔だったので、2004-05シーズンに始める前にはこの本を買って読んでいた。途中、何度か停滞していたこともあったけれど、最後まで読み通すことが出来たのは、著者の「フレンドリーな語り方」のおかげだと思う。例えば、物理の教科書は嫌いでもファインマン物理学は面白いという人にはこの本が向いているはずだ。これから他の教科書も読んでみようと思うけれど、この本の全体を貫くヒューマン・ファクターへ警戒は、自分の雪崩スキルの基盤になる気がする。

ただ、趣味で冬山に入る家族にどうしても死なないで欲しいと願うなら、山へ入る前にスキーを折ってしまうのが最善だと思う。首輪もかけておいた方がいいかもしれない。一方で、雪崩の研究と減災に尽力する人たちには、自分はただただ感謝するばかり。

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コメント

読破おめでとうございます!
もうじき『雪崩ハンドブック』なるものが出るらしいのでこちらもがんばってください。

投稿: やっち | 2007年11月26日 (月) 13時07分

上ホロのおかげだよ。

ハンドブックってこれだよね。
http://nadare-net.jp/2007/10/post_7.html
やっちくんは事前申し込みしてるのかな。

投稿: H本 | 2007年11月26日 (月) 22時28分

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