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反貧困ネット北海道 設立講演・シンポジウム

フェアトレードフェスタ会場の大通公園から、歩いて北大学術交流会館へ向った。反貧困ネット北海道 設立講演・シンポジウムの会場へ着いたのは、開演の5分前。絶妙なスケジューリング。会場にはまだまだ空いている席が多かった。

北大の山口二郎さんの話を聞いていて、今までと感じが変わったように思った。以前は民主党よりの発言や、二大政党制を支持するような発言がよくあったと思う。講演会なんかでも、上から目線の発言に、違和感を覚えることが少なくなかった。ところが、今回は様子がちがった。以前は自信にあふれていた声が、弱々しく聞こえてしまう。後悔なのか反省なのか、社会が抱えている問題の深刻さに、政治学から具体的な対策を提示していくことが難しいことの現れなのか。深読みしすぎかもしれないけど、何となくそんな気がした。

講演は、竹信三恵子さんの「賃下げ依存症ニッポンと貧困〜働く現場から観る新自由主義がもたらしたもの」だった。聞き取れないほどではないけれど、竹信さんは早口だった。資料が配られているので要旨は分かるけれど、議論についていくのはなかなか大変。高齢の人にはかなり辛かったんじゃないだろうか。

読んだことはないけれど、おそらく竹信さんの著書に働く現場の実態は紹介されていると思うので、対策について結論をまとめると、今の日本人のほとんどが、実は貧困の当事者であるということ。今までは非正規が賃下げ、首切りの対象になっていたけれど、今度は正規が対象にされるようになった。かつての中流が分断されずに、「反貧困」で結束しなければいけない。

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休憩時間には、偶然会場で出会った知り合いから声をかけられた。9条関係といい、考えるものがあるなぁ。休憩後は、各団体からのアピールだった。反貧困ネット北海道とも関連して、非正規切りにともなう道内のホームレス増加の深刻さが伝わってきた。

シンポジウムでは、まず北海学園大学の川村さんが北海道の状況について報告した。タクシー、季節労働者、介護と、どの分野も結果を全く考慮しない規制緩和や制度変更によって、労働環境の悪化や収入の減少でまともな生活が送れないことが分かった。男性介護職の寿退職の記事を読むと、友だちの顔が浮かんだ。結婚式での話を思い出す。一方、北星学園大学の木下さんの報告は、すっかり寝てしまった。

続くシンポジウムは、コーディネーターの中島さんが語りまくって、シンポジウムらしいディスカッションがほとんどなくて残念だった。それぞれの話は面白いのに、これでは5人も集まっているメリットがないように感じた。メモをとった議論を大雑把に振り返ると、「高度経済成長までは再分配のパイが大きかったけれど今はちがう」(竹信)。「3人に1人が非正規という今の雇用はイス取りゲーム。しかも、残ったイスもぼろ。関東のホームレスは北海道出身が一番多い」(中島)。「ナショナルミニマムという言葉が最後のセーフィティネットと言い換えられるようになり、これがかつては生活保護だったが、今は刑務所だ。囚人の高齢化により刑務所で介護が必要になっている」(木下)。「もともと男性優位社会だったデンマークで女性が社会に進出するとき、女性を議員にしてそれまで女性が担っていた福祉を社会化した。今の社会では再分配でさらに格差が広がる」(竹信)。「多数派を占める社会的弱者を支援するとバラマキと批判するが、バラマキで何が悪い」(山口)など、確か、大体こんな感じ。

竹信さんの話を通して分かったことは、かつての日本は「おとーちゃんの稼ぎ」という日本独特のセーフィティネットで守られていたが、バブル崩壊以後はそれが壊され、外国では当たり前にあるようなセーフィティネットが整っていないので、失業と同時に住居も失うという外国人には考えられないような事態が生じること。また、産業構造が変化するときに、縮小する産業からの失業者を受け入れる体制を全く整えないことが大きな問題だということ。でも、山口さんが言っていた通り、小泉・竹中内閣が望んだのが、今のような社会だということを忘れてはいけないだろう。もちろん、アメリカ金融資本と一体となったものだけど。

最後に道労連のKさんから、ホームレス保護のシェルター設置を求める意見があった。帰りに話を聞くと、非正規切りの横行が始まってから、道労連は連日電話が鳴り止まず、資金がない中保護するためにアパートまで用意せざるをえなかったとか。シェルター設置は切実な問題だったようだ。

【追記 7/5】
主催者のブログに報告が掲載された。

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