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軍事費の無駄を知ろう

目が覚めると外はもう明るかった。目覚ましが鳴ってないので、まだ6時前のはずだ。昨晩酒を飲んだのに、珍しく尿意がないので目覚ましを切って二度寝した。今度は、テントを開けて荷物を取り出す気配で目が覚めた。時計を見ると、もう8時前になっていた。起床時間が1時間も遅れてしまった。まずは、テントの撤収。さすがに組み立てよりは手際よくすすんだけど、1時間遅れは痛い。みんな大慌てで朝食のパンを食べて、はな工房へ向かった。

会場にはすでに講師の平和委員会の内山 博さんが来ていた。早速、講演というか、話を聞く。

ストックホルム平和研究所(SIPRI)の2007年版年鑑によると、世界における軍事費の上位五ヶ国は、以下のようになっている。

1位 アメリカ 5,470億ドル
2位 イギリス 597億ドル
3位 中国 583億ドル
4位 フランス 536億ドル
5位 日本 436億ドル
※以下は自分で追加。
6位 ドイツ 370億ドル
7位 ロシア 347億ドル

このうち、日本を除く各国は核兵器保有国であることから、通常兵器に限定すれば、日本は事実上世界第2位の軍事費だということになる。※注

最近、北朝鮮脅威論がとても盛んだけれど、日本の軍事力と比較すると、陸・海・空軍の順に、北朝鮮が100万人、640隻・10.5万トン、590機、日本が14万人、150隻・42.8万トン、440機と、一見北朝鮮の戦力が日本に勝っているように感じるが、北朝鮮の戦力は旧ソ連からの払い下げの前近代的なものばかりで、近代化の必要がある。しかし、近代化するよりも核兵器を作る方が簡単で安上がりであるため、核兵器開発に固執する。

北朝鮮からのミサイル攻撃に対抗するために、1,761億円をかけてPAC-3の配備が計画されている。PAC-3は1台20億円で、1発が8億円。システム全体では2,500億円にも及ぶ。日本は6兆円も払って買う予定だが、PAC-3は命中しない。ちゃんと飛んで来たミサイルならまだしも、北朝鮮のミサイルのように、フラフラ落ちて来るようなものには当たらない。

ミサイル防衛ではPAC-3の他にイージス艦が配備される。イージス艦の迎撃も、米軍から正確な発射時刻と方角の連絡を受けた実験では成功したが、だいたいの時間だけの報告を受けて行ったイージス艦「ちょうかい」での迎撃実験は失敗し、62億6千万円が無駄になった。

このように、PAC-3もイージス艦もミサイル迎撃には全く有効でないにも関わらず、日本が配備を進めようとするのは、アメリカの軍需産業がもうかるからだ。イージス艦は、1隻1,200億円もする。

自衛隊の軍備の無駄は他にもある。90式戦車は8億円で、赤外線などのオプションも装備すると、だいたい10億円する。ところが、90式戦車の重量は50トンで、法律上は主要国道しか走ることができない。メーカーの三菱重工から運ぶときは、上下を分けて輸送しなければいけない。燃費も20m/L。そこで、防衛省は軽量化した新戦車58機の開発として、来年度は56億円の予算を求めている。

さらに、ソマリアへ2機派遣されたP-3C哨戒機は、1機135億円し、101機が配備されている。P-3Cは潜水艦を発見するのが目的だが、アメリカ軍は27機で太平洋からインド洋までをカバーするのに、日本はせいぜいフィリピンまで含んだ日本近海の狭い領域にもかかわらず、101機も配備している。そのP-3Cは、普段、潜水艦の代わりにクジラを追いかけていて、たまにクジラを潜水艦と間違えて大騒ぎする。

1機122億円するF15戦闘機は273機配備されているが、F15は欠陥機である。そこで、来年度は近代化ための費用として、60機を近代化するために62億円、4機の自己能力向上のために112億円の予算を要求している。F15は、アメリカではたびたび飛行中止になっている。そもそも、ソ連のバックファイアへ対抗するために配備され、千歳にも42機あるが、車検ならぬ機検だけで800時間の飛行ごとに1億円がかかる。アメリカにパテント料を支払い、アメリカから買うより倍ほど高い120億円で三菱重工が作ったF15を購入する。

さらに、今年は護衛艦ひゅうがを購入予定だ。1,200億円もする空母のような艦船で、ヘリコプターを海上輸送するのが目的だ。日本国内なら、ヘリコプターを海上輸送するよりは、直接飛んで行った方がずっと速い。つまり、ひゅうがの配備は海外派兵が目的ということだ。

このような自衛隊の軍事力の無駄がこれまで日本で問題にならなかったのは、自(公)政権がずっと続いて来たからだ。1丁32万円の小銃を作る豊和工業のような大企業ではないところも、随意契約で防衛省から天下りを2人受け入れており、献金も150万円している。防衛省の官僚と軍需産業、防衛族議員の間の癒着がこうした軍事費の無駄を聖域化して来た。

こうした軍事費の無駄が表面化しない理由の一つに、兵器は後年度負担というローンで購入する仕組みがある。歳出化経費という名目で、例えば100億円のF15を購入する場合、初年度に10億円、その後、4年目まで10億円ずつ支払い、5年目に60億円を支払うというような方法をとる。こうすることで、経費が少ないように見せかけている。

ここまでは、自衛隊の軍事費の無駄についてだったが、米軍に対する軍事費の無駄も大きい。金丸時代の1978年から、思いやり予算が始まった。アメリカには思いやり予算に相当する言葉はなく、Omoiyari Yosanというローマ字表記が使われる。これまで20年間で累計2兆7千億円が米軍に支払われて来た。なんと、米兵一人当たり年間1,500万円が支払われている計算になる。

小樽に空母が入港する際に、入港料は日本が支払う。18年間で1億4千万円にものぼるが、これは思いやり予算外から支払われる。米軍の高速道路利用料も日本が支払うが、これは18年間で150億円。慰安旅行の経費も日本が支払う。米軍基地の騒音裁判が横田、厚木、嘉手納で争われているが、58億円の賠償金は日本がすべて支払う。日米地位協定では日本が50%を支払うと定められているが、地位協定にすら従っていない。2006年に横須賀で米兵によって日本人女性が殺されたが、賠償金の25%を日本が支払うと決められている。さらに、米軍の沖縄からグアムへの移転費用の3兆円も、日本が負担することになっている。12,000人の海兵隊がグアムに8,000人移動するというが、実際には2,000人程度しか移動しない。

社会保障費を削減するのではなく、防衛費を削減すべきだ。そうすれば、1.2兆円の予算が生まれる。

今回、こうして軍事費の無駄を具体的な事例について見ていったけれど、確かに、今までは聖域だったから無駄を無駄と扱われずに済んでいたけれど、新政権が生まれて、今後聖域がどのようになっていくのか注目だ。民主党は自民党の防衛族議員と同じになってしまわないように、睨みを利かせておく必要がある。新政権の樹立に向けて、日米地位協定の改定と基地移設についての社民党の要求に対しては、民主党は曖昧な態度を示している。今度の選挙で自民党の防衛族議員が軒並み落選したことを受けて、民主党議員は防衛利権を狙っているのかもしれない。

質疑応答のあと、みんなでおにぎりとみそ汁を食べた。デカいので腹一杯。キャンプの感想をみんなで話した後で解散した。帰りの車では、疲れて後部座席でほとんど寝てた。知らない人ばかりに囲まれた緊張もあったのだろう。自宅についてホッとする。

2009年版年鑑によると、

1位 アメリカ 6,070億ドル
2位 中国 849億ドル
3位 フランス 657億ドル
4位 イギリス 653億ドル
5位 ロシア 586億ドル
6位 ドイツ 468億ドル
7位 日本 463億ドル

というように、世界的に軍事費が増加していて、上位五ヶ国が核兵器保有国であることが分かる。中国の軍事費の増加も目立つ。けれども、さっきの論理で行けば、今度は6位のドイツは世界2位の通常兵器を持っているということになる。日本の軍事費が特別多いという印象は薄くなる。

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コメント

私は防衛省の立場にある人間ですが、なるほど筆者はかなり細かく調べているし、現状況を表からみると確かに日本の軍事費は高額のように感じられるのも仕方がないことと思います。ただ、残念ながらこの文章では(日本国民のほとんどが知らないことですが)世界各国が日本の何をほしがっているか、また、現在の日本にとっての脅威がなんであるかという内容が示されていないことが残念に思います。
これだけのことを知れべ、また、意見・意志として伝えようと考えている筆者はもしかしたら、もうご存じかもしれませんが、あえて私の意見を具申するとすれば重要な点が2点あります。
まず、第一に、世界的に見て日本を侵略(軍事的に支配下に置くことを含めて)する意味があります。それは、日本の各企業の持つ技術力です。日本の製品の中には簡単な改良、または現存製品のままですぐに軍事的に転用できるものが数多く存在し、今も表には出てきませんが、各国の軍部からのコンタクトが各企業に絶えることはありません。
幸い、軍事面に協力すると断言する企業は今のところ日本には少数ですが、しかし現存製品のままでそのまま高性能ミサイル(弾道ミサイルを含む)に転用できるものが数多く一般の家電屋で販売されています。なぜか政府はこれらを取り締まる法律をつくろうとしませんが、これは、北朝鮮の潜水艦が韓国に座礁した約10年前の事件からも明らかで、市販製品で簡単に軍事製品が作れることを証明しています(我々からすれば、以前から警鐘を訴えていました)。
第二に、北朝鮮の弾道ミサイルがあります。(正確にいえば中国やそのほかの国の核ミサイルすべてですが)
先ほどの第一の目的を達成するためには、日本を完全に軍事的に掌握する必要がありますよね。例えば、何を要求しても日本人が反論できない状況をつくるとか。
先進国の間では常識的考えですが、私が北朝鮮の主導者で、日本の技術を絶対求めればまず、弾道ミサイルの着弾点を日本の原子力発電所にすべて定めます。
その上で浜岡か玄海原発に10発ほどミサイルを落とします。(北朝鮮の弾道ミサイルの命中率が仮に10%と仮定したとしてです)
とすれば、1発でも着弾すれば原発がメルトダウンを起こし、浜岡を攻撃した場合東京を含め最大半径800kmは爆発後の放射線汚染で立ち入り禁止となります。(玄海原発では九州から中国地方が立ち入り禁止になります。)司令部を失った上、多大なる人的被害を被った日本はこれに反発する力は残っていません。その上で技術の転用をせまり自国に有利な軍事開発を行います。
現在北朝鮮の核弾頭が問題になっていますが、現実的にはそんなものは我が国では関係ありません。なぜかというと、既に核爆弾を原発という形でもっているのですからです。
我が国の軍事費に無駄があるという話ですが、当然改善する必要があることは確かです。たとえばG物品で今年は予算が浮いたからこれをQやA物品にまわすということはできません。つまりプールができないために無駄が生まれているのです。つぎの予算得るためには現行法では何が何でもG物品を買わなければならない。ということになるのです。(本当は他に回してほしくても)
ただ、MD(ミサイル防衛)の実験で失敗したから即無駄というのはいかがなものかと思うのです。
ミサイル防衛システムは最終的には数兆円規模のものになると思いますが、少なくても10発の飛来を0~1発に抑える効果は今の地点でもあります。ならば、命中精度10%ならその被害は0に限りなく近くなります。(こちらもイージス艦から同時に数発~数十発を同時にうてばいいので)
直接的に即驚異になる弾頭さえ排除できれば、多大なる犠牲を防ぐことができます。逆にいえば一発でも直接脅威が命中すれば日本は北朝鮮のような国に降伏する状況が出来上がるということなのです。
日本はGDP比率で1.2~1.7%の防衛費ですが、いくら年収が1000万円をこえようが、200万円でなんとか頑張っていようが、一発の通常弾頭でそのすべてを失う危険性があり、MDは、この可能性を限りなく少なくするために現在開発を進めているのです。国がなくなれば、防衛費が高いとか、安いとかという議論自体がなくなることを国民の皆様にはどうか考えていただきたいと強く願います。
それと、日本には国是で武器の輸出はできません。つまり、開発しても取引相手は防衛省しかないので恐ろしく武器・兵器の値段が跳ね上がってしまうのです。F2戦闘機はいろいろ事情があって現在一機120億円程度ですが、ベースのF16のアメリカでの開発費を皆さんはご存じですか。日本はこのF16の開発費は一切出していないのです。(F2は共同開発だが、ブラックボックスが多く、心臓部は全て米軍の機密情報)
ラプター(F22)では開発費は2000億円にも上っているのです。この開発費を販売費にいれることは特許の意味からも相当妥当な値段と考えられます。しかし、航空機に関しては米サイドから執拗な抵抗があり、国産が実現しないのも事実です。私は防衛費の削減を訴えるより、まずこの不平等なアメリカとの位置関係を見直すことが国内需要の第一歩と考えます。
現実にこのまま防衛費の削減が続けば国内防衛産業は7~8割廃止に追い込まれ、最新兵器はおろか、有事の際・または領空海侵犯の際のスクランブルに対処できる兵器がありません、という状況をつくりかねません。本当に国民の皆様はそれでいいのですか?

投稿: bouei | 2010年1月 2日 (土) 00時22分

>boueiさん

長いコメントありがとうございます。
boueiさんのように北朝鮮に「脅威」を感じていると、きっと夜も安心して眠れないことでしょう。

第一の日本企業の技術力についてですが、技術力を「もの」として見るならば、生産拠点のほとんどが日本の外にあるので、技術力を獲得するために日本を侵略する必要はありません。また、家電の軍事転用を心配するなら、日本企業は海外に製品を販売すべきではありませんね。工業製品も地産地消がよいでしょう。

技術力を「ひと」として見るならば、日本の技術者を確保する必要があるでしょう。日本を侵略して、技術者の家族を人質に取って開発でもさせるのでしょうか。あるいは、技術者を厚遇するでしょうか。「ひと」は「もの」のようには簡単に扱えませんから、都合よく軍事開発に利用できるとは思えません。まして、最先端の技術開発ならなおさらです。

第二の北朝鮮の弾道ミサイルについては、真っ先に攻撃目標とされる危険な原発は、今すぐにでも閉鎖へ向けてエネルギー政策を転換すべきです。放射性核廃棄物の処理の問題すら解決されていない現状で、原発を推進することは軍事・経済・環境、様々な観点からみてもまちがいです。原発がなくなれば、MDも要りませんね。

実際には防衛費は削減されておらず、2010年度予算案では2009年度当初予算から0.3%増加して4兆7,903億円に上っています。その一方、科学技術・高等教育予算が年々削減され続けています。防衛は軍事力ではなく外交が担うべきであって、外交ができる人材育成も含めて、教育・研究にもっと予算を移すべきです。世界に北朝鮮と日本の2ヶ国しかないわけではありません。グローバルで長期的な視点が必要です。

リスクが高ければそれに備える必要が生じます。外交で平和を構築して軍事的リスクを下げれば、軍事力で備える必要性が減ります。軍需企業の利益のために、国民が税金でリスクを肩代わりする義務はありません。

投稿: H本 | 2010年1月 3日 (日) 13時37分

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