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鶴彬 こころの軌跡

2日前の朝、大家さんが前売り券を売りに来たので、昨日、映画「鶴彬-こころの軌跡-」を観て来た。

大家さんに話を聞くまで、この映画のことは全然知らなかった。ママンは道新の記事を読んで観たかったらしいけど、出張で観れないので自分が代わりに観に行くことになった。チケット5枚のノルマのうち2枚協力。大家さんも大喜び。

15時からの回に観ようと、久しぶりに自転車に乗って街まで出かけた。豊平橋で事故があったらしく、救急車に人が運び込まれるところに出くわした。その橋の歩道には、歩行者と自転車を分ける青い線がいつの間にか引かれていた。

上映会場のエルプラザへ着くと、もう10分前だった。向かい風だったとはいえ、やっぱり家から街までは結構時間がかかると思った。これを何年も往復してたんだから、それなりの運動になってたんだろう。

3階まで登って受付で前売り券を出すと、資料を手渡しながら「ご苦労さまです」と声をかけられた。書籍販売係の人たちからも「ご苦労さまです」と声をかけられる。どうしてもこの雰囲気に違和感を感じて慣れない。席に着くと後から名前を呼ばれたので振り返ると、ひらぎし九条の会のおばちゃんたちに久しぶりに再会した。ご苦労さまです。

平均年齢65歳くらいの観客で座席の4割くらい埋めて上映が始まった。映画はドキュメンタリーだと思っていたけれど、どっちかというと再現映像というかドラマになっていて、解説付きの普通の映画のようだった。2年前に観た日本の青空」に雰囲気が似ていた。

主人公は鶴彬(つるあきら)は反戦川柳を詠んだ若者で、本名を喜多一二(きたかつじ)という。反戦、プロレタリアという点や、名前も何だか小林多喜二と似ていると思った。これまで川柳なんて国語の授業くらいでしかまともに読んだことはないと思う。あとは、サラリーマン川柳くらいだろうか。映画の中で、鶴彬の川柳がたくさん出てくるけれど、イマイチ固い印象のある俳句に比べて、川柳は身近な言葉で詠まれていて親しみやすいと思った。しかも、ストレートで心に響く。鶴彬の文章も、今読んでも古さを感じさせないものだった。当時、それだけ前衛だったということだろうか。

反体制、共産主義、社会主義等々の思想を持っていると、獄中死の危険はあるけど軍隊に入れられて戦死する危険は低いと分かった。入隊させると軍の士気が下がるとか、反乱が起きると思わせるといいらしい。一方で、現代なら不況下の就職難で、普通の人なら最後は自衛隊に入ればいいとなるけれど、思想的に門前払いを食うという意味では、雇用におけるセーフィティーネットが存在しないという問題がある。それでも、全体主義や軍国主義が嫌いで戦死したくない人は、共産主義者を騙ってみるものいいかもしれない。

戦時中の思想弾圧を考えると、何だかんだ言っても今は自由だと思う。もちろん、これからいつどうなるかは分からないけれど、差し当たっては右翼だろうが左翼だろうが、法律に触れない限りは捕まらない。たまに公安や警察にでっち上げられたりするけれど、社会的影響力が小さい人間は放っておいてくれる。それにひきかえ、鶴彬は若いにもかかわらず信念を貫き通すところがすごい。毒にも薬にもならない芸術とちがって、社会へ向けて力強いメッセージを伝えていた。

今になって鶴彬の川柳を読んでみたくなったけど、どうやら全集は絶版になっているようで、普通には手に入らなそうだ。古本屋でも探さないとダメかな。会場で書籍販売してたから、もしかしたら全集が置いてあったのかも。見ておけばよかった。

小説 鶴彬―暁を抱いてBook小説 鶴彬―暁を抱いて

著者:吉橋 通夫
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映画の後、主演の池上リョヲマさんの挨拶があった。この映画は珍しく、石川県の市民が企画してできあがったものらしい。手作り感があるのはそのせいだろうか。資金的にも大変らしく、宣伝してくれるようお願いしていた。このあと北海道では、2009年11月12日(木)に帯広で上映される予定らしい。

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