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SAJでもわかる痛板の作り方

あるいは、TAJでも。痛板の作り方についての問い合せが多いので、自分の作り方をまとめてみる。

基本的には、痛板の作り方はmixi痛板コミュを見ると分かるのだけど、mixiに登録してない人もいるようなので、ジーニアスが痛くなった訳を踏まえた上で、実際に自分で行った痛板制作について整理する。ただし、作るのが初めてで記録の写真も動画も撮る余裕がなかったので、全部文章になってしまうけど。

初めに、痛板の定義のようなものについてだけど、そもそも「痛い」というのは、ニコニコ大百科にこう書かれている。つまり、広義の痛板とは、本人は格好いいと思っているにもかかわらず、客観的にみると非常識であり、そのギャップが痛々しい板だと考えればいい。

この意味では、例えば、販売した板にダサくて無駄にでかいステッカーを目立つ場所に貼りまくっているb.c.mapは、痛板を量産していると言うことができるということだ。ただ、板に乗っている本人で格好いいと思っている人には未だに会ったことがないので、痛いのはb.c.mapだろう、きっと。なので、これからは「石井スポーツ」じゃなく「痛いスポーツ」と呼ぼう。ちなみに、b.c.mapができる前のステッカーは大きさが1/10くらいでトゥーピースとヒールピースの間に貼ってあり、板を履くとブーツで隠れて見えなかった。

痛板には格好いいと思うことがまず大事なのであり、客観的にみると非常識であり、そのギャップが痛々しいという評価がそれに続く。評価はどうしても主観的なものにならざるを得ないので、痛板を一人で制作するには、物事を客観的にみる能力が要求される。自信がない場合は、もし友達がいるなら、デザインを見てもらって非常識で痛々しいかを判断してもらうのがいいと思う。友達がいない場合は、mixi痛板コミュで意見を聞くこともできるので、友達がいないことを嘆かなくてもいい。みんな優しいオタクたちだから。

一応、自分の場合は、客観的視点を持ち合わせているつもりだったので、友達には頼らずに一人でデザインを決めた。実際には、友達にそんなことを聞いたら、もう一緒に滑ってくれなくなるんじゃないかとか、聞いた時点で止めろと言われてしまうんじゃないかという不安があったので、とても相談する気にはなれなかった。そもそも、Geniusは今シーズン最大の秘密兵器だったので、相談したら、2ヵ月以上秘密にした意味がなくなってしまう。

話が逸れてしまったけれど、これからが肝心の痛板の作り方。痛板とは何かということに続いて大事なのは、痛板を作るのは難しくないということ。いきなり玄人と同じような痛板を作るのは難しくても、自分と同じような方法なら、パソコンとプリンタがあれば、ステッカー用紙に印刷して板に貼付けるだけで簡単に作れるのが痛板だ。

そして、もう一つ。痛板はフリースタイルボードの割合が一番高そうだけど、アルペンボードもいれば、スキーもいる。スキーにはやっぱりフリースタイルの飛び板が多いけど、ファンスキーもあるし、自分のようなファットスキーもあるし、なんと驚いたことにレース板まである。だから、検定に情熱を燃やす基礎屋さんだって、痛板で合格を目指したっていい。自分だって、もう少し早く痛板に出会っていたら、痛板でテクを受けていたかもしれない。落とされてたかもしれないけど。面積は小さいけど、クロカンで痛板というのも新しい。できればスキージャンプが面積が一番広くて良さそうだけど、誰でもできるものじゃないので仕方ない。痛板は板を選ばないということだ。

いよいよ作り方だけど、基本的な制作過程はエウロバさんの痛板特集を参考にした。しっかりした人のようで、初めての制作のときからちゃんと記録を取っている。最初のデザインを決める段階から、制作後の痛板の耐水性や耐光性まで考察していて、痛板乗りとして尊敬すべき人だと思った。

対照的に、何でも適当な自分の場合、エウロパさんのようにビンディングの取り外し、取り付けの技術もなければ習得する気力もない。だから、デザインを工夫して問題を回避したのは、以前書いた通り。技術に自信があるならいきなりフルラップでもいいかもしれないけど、初めは板の形に合わせずに、板に収まる適当なサイズのステッカーを貼るだけでも十分だと思う。繰り返すけど、一番大事なのは、本人が格好いいと思うこと。その上で、元の板のデザインに合わせて、フルラップにするのか部分的なステッカーにするのか決めるといい。

フルラップを含めて、板の大きさや形にぴったりと合わせる場合は、エウロパさんのように板の型を紙に写し取る必要があるけれど、自分では面倒なので、デジカメで写真を写して、その写真を板の長さの実測値にパソコンソフト上で合わせて型の代わりにした。

痛板の自作で避けて通れないのが、画像処理ソフトの使用。板に自分で直接ペイントするなら別だけど、ステッカー用紙に印刷するなら、素材の画像の拡大縮小から色の調整や細かな修正、板の型への配置から印刷まで、どうしてもある程度使いこなせる必要がある。

まず使用したのが、画像を拡大するアプリケーションソフトウェア。素材の画像は印刷に十分なものが得られることはほとんどない。紙媒体からスキャナーで取り込むなら自由度は高いけれど、インターネットで公開されている画像を使う場合は、たいてい拡大する必要がある。そこで使ったのが、mixi痛板コミュで紹介されていた「SmillaEnlarger」。オープンソースでちゃんとMac版も配布されている。これを使うと、Photoshopなどを使うよりも、視覚的に自然に拡大できるような気がする。なんせ、自分の場合は配布されている公式画像から等身大にまで拡大する必要があったので、10倍に拡大した。それでも、遠目には荒さが目立たないくらいにはきれいに拡大できる。

初痛板

ただし、さすがに10倍に拡大すると、輪郭線がかなりぼやけてしまう。フルラップではないので、輪郭線はPhotoshopで修正・強調する必要があった。キャラクター部分の切抜きも行う。PhotoshopでなくてもオープンソースのGIMPでも同じようにできるらしいので、下のsnow@Hatsune-ismさんの動画を参考にするといいと思う。

面倒なのは嫌いなので、背景は板のトップシートをそのまま利用したけど、元々の板のデザインがうるさい場合は、フルラップで背景まで描く必要があるかもしれない。この場合、ビンディングの処理が難しくなるけど、それが嫌なら最初からVector GlideDPS、あるいはReIsmのようなシンプルなデザインの板を選ぶと楽だと思う。

人によってはPhotoshopのようなペイントソフトだけで印刷までやってしまうようだけど、以前から趣味のパクりでドローソフトのIllustoratorを使っているので、今回も画像はIllustrator上で型に配置して、印刷まで行った。このドローソフトも、「inkscape」がオープンソースで配布されていて、Illustratorと同じくらい使えると聞いた。自分では使っていないので何とも言えないけど、わざわざAdobeの高価なソフトを新しく買う必要はなさそうだ。

用意した画像を型に配置してデザインが完成したら、普通紙に試しに印刷してみる。部分的なステッカーではなくて、ステッカー用紙サイズよりも大きいデザインの場合は、継ぎ目も考慮して「のりしろ」として重なり合う部分も考えて印刷する。それらを板の上に乗せたり、はさみなどでカットしてセロハンテープなどで貼付けててみて、実際にできあがったときの痛板のイメージをつかむ。この段階で満足できれば、あとはステッカー用紙に印刷して貼り付けるだけ。

板が単純なサンドイッチ構造でトップシートがフラットなら、エッジよりも数mm内側にステッカーの端が収まるように作るといいらしい。ところが、Vector Glideの板のトップシートは平らではなく、断面が台形状になっているので、上底に相当する部分にステッカーが収まるように、実は印刷してから適当にカットした。これが作業が大変になった原因で、初めからトップシートの形状を考えてきっちりとデザインした方がいい。

使用したステッカー用紙は、A-oneの手作りステッカー 品番28875で、あべやすさんの動画の通りに作業した。一度だけ用紙設定を間違って普通紙にして1枚無駄にしたけど、それ以外は問題なくできた。あべやすさんに感謝。

ところが、自分が痛板を作った時点では、この続きの動画が公開されていなかった。オーバーラップ部分の処理と貼付けは?……続きがないことに気付かずに保護シートの貼り付けまで終わってしまい、正直言って梯子を外された思いだった。

とはいえ、初滑りに間に合わせるには続けるしかない。そんなわけで、定規を使わずに板に貼付けたら空気が入ってしまった。失敗してからは定規を使ったけど。継ぎ目の処理は思い付きでやったけど、一度切る場所を間違っただけで何とか成功した。実際、自分で貼付けた後にアップされた動画を見たら、だいたい同じやり方だったのでホッとする。

ただし、水貼りというもう少し簡単な方法があると後から知った。貼る面積が広いときは、今度は水貼りを試してみようと思う。

実際にステッカーを貼り終えて、これで痛板制作完了と思ってホッとしていたけど、再びエウロパさんのレビューを読んで青くなった。

1回滑れば、最悪1、2枚は剥がれます。滑りに行き剥がれた個所を毎回印刷、カット、貼り付けをするのがとても面倒です。

こんなに苦労して作ったのに、滑る度に補修!?これはコスト的にも考えられない。そもそも、適当にデザインして印刷後に適当に切り貼りしたので、全部やり直すならまだしも、部分的に直すなんてことはまず無理。そこで考えたのは、とにかく全力でステッカーを保護するということ。透明なシールか何かを上から貼って覆ってしまおうと考えた。

初滑りの前夜、慌ててビバホームへ行ってそれらしいテープを探したら、気になるものを発見。「ボンド ストームガード クリヤー」という強力補修テープだった。超透明と書かれているのが目立たなくて良さそうだし、ボンドと聞くと何となく強力そうに感じてしまう。これを買って急いで帰り、エッジの近くから内側に、ステッカーの端を上からテープで覆ってやった。で、悲しいことに一箱では足りなくて、またビバホームまでもう一箱買いに行って、ようやくステッカーの保護も即席で完了。

このときは本当に補修テープの効果があるかは不安だったけれど、これのおかげで今まで20日近く滑って、補修テープがないところには表面にずいぶん傷が付いて来たけど、ステッカー自体が剥がれるような致命的な傷は入っていない。クライミングスキンじゃないけど、補修テープは全面じゃなくエッジ付近だけのスプリットでも十分なので、この補強だけでもやっておいた方が後で泣かずに済む。

自分自身が本場の痛板を見たことがないので比較はできないけど、適当に作った割に今のところ周りの評価は意外と低くない。まじまじと見られると粗が目立つ作りだったけど、本物を見たことがない人には意外ときれいに見えるようだ。でも、痛板コミュにアップされてる画像を見ただけでも、明らかに解像度がちがう。

とはいえ、目的が飾ることでなく滑ることなので、傷が入るのは避けられない。何とかいつも通り滑って1シーズン保てばいい。それくらいのつもりで割り切って作り、滑るときも傷が付くことに神経質にならない方が楽しめると思う。痛板乗りは、オフシーズンに来シーズンの痛板のデザインを考えるのが楽しみらしいから。

ジーニアスセッション
滑走20日目だけど、まだ致命傷はない。

というわけで、気付かれないようにソフトの使い方を端折って、痛板の作り方を自分なりにまとめてみた。分からないことがあったら、コメントでもくださいな。mixi痛板コミュで代わりに質問するので。ウソだけど。

【2012/11/14 追記】
スキーの痛板の作り方を紹介してるページをこっちで紹介

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コメント

おおw 良く研究されてますなwww うばらしいですw
あ、動画の紹介ありまがとうです!

最後の1文
>痛板乗りは、オフシーズンに来シーズンの痛板のデザインを考えるのが楽しみらしいから。

まさにこれです!
痛板にオフシーズンはありません!
(まぁ、元々ウォータージャンプや室内行くのですがw)
関東の方ならばアキバで酒でも飲みながら嫁を交えて
デザインがあーだこーだと楽しめたのですが・・・・

投稿: あべやす (・з・) | 2012年1月23日 (月) 22時59分

>あべやす (・з・)さん

勝手な解釈でまとめてしまいました。
動画は本当にありがたかったですよ!

嫁同伴でアキバ……
ハードル高いなぁ。
でも、いつかお会いできる日を楽しみに
北海道にも痛板文化を広めて行きたいと思います。

投稿: H本 | 2012年1月23日 (月) 23時17分

はじめまして。るーくと申します。
ついさっき初めての痛板製作完了してホッとしてましたがH本さんのブログを見て自分も青くなりましたw
そんな簡単にステッカー剥がれるんですね...。
明日滑りに行く予定なので今日ホーマックかどっかで例の補強テープ探し回ってきます。
滑りに行く前に見れて良かったです。有難う御座いますm(_ _)m
ちなみに自分も北海道なのでこれからどんどん広めていきます!

投稿: るーく | 2012年3月20日 (火) 04時31分

>るーくさん

はじめまして。ミクです。
コメントありがとうございます。

H本さんは使っていませんが
mixiの痛板コミュによると
こんなのもあるそうですよ。
http://www.amazon.co.jp/dp/B001J2JDZQ

北海道にお友達が増えてうれしいです!
来シーズンの北海道オフ会に私たちも参加する予定なので
るーくさんもぜひ参加してくださいね!

投稿: ミク | 2012年3月20日 (火) 17時52分

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