« あっという間の50分間 | トップページ | パウダーを滑るだけの簡単なおしごと »

雪山で雪崩に遭わないためにチョッカルチョッカル〜

バックカントリースキーのレジェンド?と呼ばれる前田さんの話を聴きに北海道山岳雪崩安全セミナーへ行って来た。

バフンの打ち合せをしに久しぶりに藻ーリス邸へお邪魔したときに、一冊の古い雑誌を見せてもらった。「北の山脈」というすでに廃刊になった雑誌で、自分が生まれる前の1975年に発行されたものだった。その巻頭に並ぶ写真の数々が、前田さんが滑ったものだった。

永山岳を背景に旭岳を滑る(「北の山脈」1975 No. 20より)

ページをめくって驚いた。30年以上も前に、自分だってまだ滑っていないような斜面を滑っている写真を見て衝撃を受けた。もちろん、レジャースキーヤーの自分と比べるのがそもそものまちがいとはいえ、当時の道具でこんなところへ滑りに行っていたと知って驚いた。上の写真の他にも、確か大雪山系などでの滑走シーンがいくつかあった。

この前田さんはカムイスキーリンクスの支配人で、最近はVUCやTry Telemarkで何度かリンクスへ滑りに行った。Powder Skiで何かと話題になったツリーランコースガイドにも掲載されていたスキー場だ。今後も滑りに行くことがありそうなので、ぜひ一度話を聞いてみたいと思った。

当日の会場では何人か顔見知りがいたので挨拶を交わしてから席につく。資料代1,000円に驚いたけど、前田さんの話を聴くためだと我慢した。前田さんの講演の番になると、会場のスクリーンの前に前田さんはすっと立って話し始めた。想像していたより背が高い。今でも毎朝腕立て伏せ、腹筋、背筋とトレーニングを欠かさないというのだから、またまた驚かされる。

中高でレーサーだった前田さんは左脚をよく骨折していて、右脚よりも8cmも短いらしい。脚を治すのを兼ねてニセコのチセハウスへ行ったらしいけど、選手をあきらめて山スキーへ転向したというのもすごい。「新雪を滑ったら日本一」というのは自惚れと言っていたけど。

雪崩研究会主催でタイトルも「雪山で雪崩に遭わないために」なので、雪崩についても話してくれた。ただ、雪崩についての話とはいっても、そこはやっぱりスキーヤーの前田さん。滑りの話だった。

佐々木大輔が雪崩に巻き込まれた映像を見て思ったらしい。「自分ならあんな風に斜面を横切って滑ったりしない」と。イワオヌプリの滑走写真なんかを見ても、前田さんはとにかく直線的に滑る。元レーサーだけあって、ポールのインスペクションのように、滑る前にどんなターンをしてどんなラインで滑るのかイメージして、一本に集中するそうだ。危ない斜面の端を避けるために、ときには助走を付けて雪庇から飛び降りることもあるらしい。

前田さんも自分で話していたけれど、雪崩研究会の人たちとはほとんど90度発想がちがった。雪崩に遭わないためには縦に滑る。まさに、チョッカルチョッカル〜だった。

30年以上も前から北海道のBCを滑って来た前田さんによると、北海道の雪質は昔の方がずっと軽かったそうだ。滑るのも簡単で、首を曲げただけで板が回るような雪だったらしい。ところが、以前は旭岳では−30℃以下の日が10日以上も続いたそうだけど、今は暖かくなって昔のように雪煙がいつまでも雪面に戻らずに写真に収まるということはなくなったらしい。たとえ同じ斜面を滑っても、昔のような軽い雪は滑れなくなってしまったと聞くと寂しい気がした。

前田さんの次にb.c.mapの藤野さんが道具の紹介してたけど、これといって興味深い話はなし。なんでいつも呼ぶのか謎。4本アンテナのビーコンは今シーズンも出ないらしい。BCAの雪崩エアバッグの実演がユーザーの好意であったのは、見たことない人にはよかったとは思うけど。実はSCのときと同じもの。

研究部長による「積雪安定性テストー最近の動向」は、この間の北大での大西さんの浮きっぷりに匹敵していたと個人的に感じて笑った。最後に質問で「ピットチェックはどこでするの?」というもの。決定的だった。

結局、雪崩研究会の人たちの多くは山屋さんでBCを滑るわけじゃないから、スキーを履いたとしても、尾根を登ってまた同じところを降りるだけ。ピットチェックをやったとしても、登ってる脇でやって、滑る斜面に入ってやるわけじゃない。雪崩に遭わないためには雪崩が起きそうな斜面へ入らないという考えが強いので、とても大きなギャップがあるように思う。前田さんの話から始まって、最近のピットチェックの手法の紹介があった後のこの質問で、一気に現実に引き戻された思いだった。

ちょうどそのとき、終了時間の16時半になったので、ばんけいへ移動するために会場を去った。

|

« あっという間の50分間 | トップページ | パウダーを滑るだけの簡単なおしごと »

コメント

毎度この解説は参考になりますな~
講習会後の講習と位置付け楽しみにしています。

投稿: ムラマサ | 2012年10月24日 (水) 00時34分

>ムラマサさん

後から読み返してみるといろいろ修正点ありました。
講習会後の講習ってルスツのですか?

投稿: H本 | 2012年10月27日 (土) 10時25分

ルスツ関係なくてですね~

講習会を噛砕いて説明してて
要点のみをズバッと!みのもんた的に…みたいな

投稿: ムラマサ | 2012年10月28日 (日) 01時32分

>ムラマサさん

記事のタイトルは結構気に入ってます。
要約しすぎだという自覚はありますが。

投稿: H本 | 2012年11月12日 (月) 21時43分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« あっという間の50分間 | トップページ | パウダーを滑るだけの簡単なおしごと »