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15/1/24 三段山

魂とか奇跡とか、そんなものは信じないけれど、この日ばかりはあるのかもって思ってしまう、そんな1日だった。

三段山の山頂でMIXに黙祷を捧げる。遺影の前で泣きじゃくるゆうちゃん。隣で見守る田中パパ。もらい泣きする三段山クラブの仲間たち。山頂は真っ白な十勝連峰の稜線に囲まれて、眼下には雲海が広がり、見上げれば青空がどこまでも高く続いている。MIXの魂が天空へと導かれて行ったのだと感じた。

MIXと初めて出会ったのは、6シーズン前の富良野岳だった。山スキーを始めた頃、友達からコピーしてもらった三段山ムービーで犬と一緒に滑り降りてくる映像に衝撃を受け、その後、MIXという名前だと知った。この日登っていると、後ろから見覚えのある犬が追いかけてきたので、すぐにMIXだと分かった。

休憩をとった途端にMIXは食物をせびって来た。しばらくして田中パパ、ママらしき二人が登って来て追い越して行く。この時がMIX含め田中家に出会った最初だろう。

その4シーズン後に三段山クラブのツアーに初めて参加し、MIXと再会する。一緒に登り、ときどき食物をねだって他所のパーティーを追いかけて行ってしまうので、はぐれないようにパパが犬笛を吹いて呼び戻していた。そして、滑るときになるとMIXは突然思いついたように誰かのあとを追いかけて走っていく。初めてのMIXとのツアーは不思議に感じた。ちなみに、このときミクもMIXとは初対面(笑)

ただ、残念ながら、密かに憧れていたMIXと一緒に滑ることは、この時は叶わなかった。人間ならまだしも、一緒に滑って欲しいとMIXに頼んだところで聞いてくれるはずもない。待つしかない。それが実現したのはさらに1シーズン後の春だった。この日の雪はひどくて滑りは楽しいようなものではなかったかれど、MIXと一緒に滑れたことで、焼肉とならんで大きな満足を得られた(笑)

実は、このときMIXの歳をまったく考えもしなかった。自分たちよりも早く登り、元気に雪山を走り回っていたのだから。けれども、三段山ムービーに登場したのは10年以上も前のこと。雪山については自分の先輩に当たるわけだから、人間の歳で考えればかなりの高齢でもおかしくないはずだった。

それに気づいたのが先シーズン。車に乗って白銀荘へは一緒に来るものの、結局一度も一緒には山へ行けなかった。夏に自宅の階段から落ちて骨折してから調子が悪いと三段山クラブの決起集会で聞いていたとおり、白銀荘の周りを散歩するMIXには以前のような元気な様子はうかがえなかった。三段山クラブのツアーではパパ、ママと一緒にMIXがいつもいるものだと思っていたので寂しく感じた。

去年の11月に再び決起集会があってMIXと会う。これが最後だったろうか。最近は物忘れがひどくてmsrnからおじいちゃんと呼ばれてイジメられているので自信がない(笑)そして今月、MIXは静かに息を引き取ったとパパから報告があった。入退院を繰り返しながらもしぶとく生き続けている祖母を見ていたので、MIXの死は唐突だった。

一緒に過ごしたのはとても短い時間だったけれど、MIXの姿を思い浮かべながらモヤモヤとした気持ちでいたときに連絡があった。パパが企画したMIX追悼登山の行く先は、やはり三段山。新参者の自分なんかが参加するのはどうかとも思ったけれど、わざわざ家族以外もパパが誘ってくれたのだから、その気持ちに応えたいと思った。MIXを楽しく賑やかに見送ってあげたい。そんな思いだった。幸い、参加を悩んでいたときにキンペイさんも参加表明したので、札幌チームでカミフへ向かおうと決心する。

追悼登山の週は、天気予報が気になった。もちろん山頂へ行きたい。ところが、なぜか今年頻繁に発生する二つ玉の低気圧が予想天気図に現れている。天気は心配していたけれど、どんな状況でも付いていけるようにと覚悟していた。

ところが、当日は朝から穏やかだった。6時にキンペイさんの自宅を出発して高速道路に入ると、吹き流しは力なく垂れ下がっている。日の出とともにはっきりとしてくる山並みも見える。三笠から富良野までの道路は降雪もなくツルツルだったけれど、気温もそれほど低くなかった。おかげで白銀荘まで快調に運転し、8時半には着くことができた。

すると、abeさんが駐車場で支度をしている。急遽、ツアーに同行することになったそうだ。ASSHの講習以来1年ぶりくらいのkatoさんも一緒だ。abeさんのパーティーとの合同らしく、一気に12人という大所帯のパーティーになった。ただ、スーさんが参加できないので、ロビーでコーヒーを飲めなかったのはちょっと寂しかった(笑)

9時すぎに白銀荘を出発。今回はカズくんがいないようなので、試しにデジイチを持って行ってみることにした。交換の望遠レンズとビデオカメラにGoProという、ほぼフル装備で無駄に重い。登るペースがゆっくりだったので助かった。

たまたまいつもより遅いペースが結果としてとてもよかった。登っているときはホワイトアウトで酔いそうになることもあるけれど、2段目から引き返す先行者を追い越して登り続けていると、ときおり空が明るくなった。

ついに青空も見え始める。歓声が上がった。自分たちの歩みとともに晴れていく雲。パパが犬笛を吹く。振り返ると、ゆうちゃんが堪えきれずに顔を覆っているのが見えて切ない。そして、山頂直下、雲が引き剥がされるように青空から太陽の光が降り注ぐ。

その中を、パパ、ママ、ゆうちゃんの3人が、ピークまで先頭で歩いていく。もしかしたら3人には山頂で待つMIXが見えていたのかもしれない。奇跡に思えた。2段目で引き返すパーティーがいるほどの天気だったのだから。

とはいえ、山頂は風も強くてすごく寒い。陽射しは暖かだが、気温はマイナス18℃らしい。MIXへ黙祷を捧げた後にもたもたしていたら大西さんに怒られた。山でこんな青空に恵まれたのは久しぶりだったので、もう少しゆっくりしていたかった。

慌ててGoProだけ取り出し、西の尾根を目指して滑り降りるみんなを追いかける。沢筋に辛うじて溜まった雪を滑るので、ちょくちょく底付きして滑りづらい。

大西さんのところまで滑り降りると、パパは三段山を知り尽くしているだけあり、条件が悪い中でもいいラインを見つけて降りてくる。残念ながらカメラを構える間もなかったが、パパはいつものように優雅な弧を描いた。風紋だらけの手強い斜面だったけれど、雪は軽く柔らかいので、視界があればそれなりに気持ちよく滑れる。今シーズン一番の青空に恵まれた。

その後、いよいよ三段山ムービーに収録された田中パパとMIXとの滑りの舞台となった西の尾根へ移動する。この映像が、15年前、実はまだ田中家が三段山クラブを避けていた頃、大西さんが盗撮したものだったと知ったのは今回のツアーでだった(笑)

その大西さんは、いつものように先に滑り降りてカメラを構えているっぽい。フレームに入って邪魔をしないと思われる場所で立ち止まり、せっかく持ってきたデジイチを望遠レンズに交換する。もちろん、その間にも次々みんな滑り降りるので、もう自分のための作業だ。ところが、山頂での寒さが響いたのか、カバンにしまっていたデジイチすらバッテリー低下で、さらに撮影ポイントも悪くて思うように撮影できなかった。

最後に滑り降りると、もうみんな下山の準備をしていて、誰も登り返そうとはしなかった。みんなやることをやったという思いだったような気がする。雲海も消えてすっかり晴れ渡った中に、樹氷の木々やモンスターのように枝が雪で重く垂れ下がった針葉樹がとてもきれいだ。静かで穏やかな世界にもう少し包まれていたい。キンペイさんと二人で佇んでいると、早く戻って来るように指示が飛んできた。

無事に下山してみんな田中パパたちと握手を交わす。本当にいい山行だった。来てよかった。たくさんの人から愛されていたMIXを三段山も歓迎してくれたのだと思ってしまう。

いつものように白銀荘で反省会を行った後に温泉へ。逆上せるくらい露天風呂で長湯してからロビーへ行くと、もう女性陣も戻っている。別れて帰る頃には山頂の方からもう雲が降りてきていた。ほんの数時間の晴れ間だった。

札幌へ帰る途中、教えてもらった上富良野にある角波商店へ寄ってみた。カフェがあると聞いたので、今朝飲めなかったコーヒーでも飲もうと。たそがれ食堂というカフェは駄菓子屋の2階にあり、骨董品と古材に囲まれた空間だった。けれど、壁には大きくプリントされた滑りの写真が飾られてあり、カミフらしさを感じる。Fall Lineにも記事が載っている元カミフ住人のカメラマンkeyphotoによる作品らしい。マガジンラックにはLEBANONとMOROCCOのフォトブックもある。Last Frontierにはマスターの角波さんのお父さんが記事を載せているらしい。

反省会で行動食を食べてお腹が減ってないので、コーヒーとチーズケーキを食べた。国産レモンと地元のチーズ?で作ったこだわりのものらしい。あっさりしていて美味しいけど、食材にこだわらずに自分で作った適当なチーズケーキの方が好みかも。でも、コーヒーはとても美味かった。穏やかな三段山に負けず劣らず静かでゆっくりとしたくなる店内だ。

お店を出るとお父さんの角波さんが雪かきをしていた。キンペイさんから紹介されて挨拶をして帰った。道路は混んでなく、札幌へはずっと下道で走り、20時前にはキンペイさんの家に戻った。

すると、なんと奥さんが晩御飯を用意してくれていたらしい。とても嬉しいサプライズ。さすがに遠慮するのもかえって申し訳ないので、またご馳走になってしまった。キンペイさん夫婦は辛いものが好きということで、自宅ではなかなか食べる機会が少ない三升漬をここぞとばかりにご飯に山盛りにして食べたら汗が吹き出てくる。結局、天ぷらに鍋と豪勢な料理をいただいて、最後にはケーキまでいただいてしまった。

ケーキをもらったけれど2個も食べるのは多いので食べて欲しいと言って出してくれた奥さん。キンペイさんもさすがに上富良野のカフェでケーキを食べてきたとは言えなかった(笑)お腹いっぱいになって帰宅。もう21時半だったので、慌てて翌日の連絡と片付け、写真と動画の取り込みを終えると0時を過ぎていた。寝不足な週末。

お腹いっぱいで苦しいまま布団に入ってふと思った。そういえば、自分はMIXに行動食を分けてあげたことがなかった。全身からしのあいつはケチな奴だったと、きっとMIXは思っているにちがいない(笑)

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