日本では欧米に比べて学位取得者が全く報われないという状況は一向に改善されない。特に、文系社会であるこの国において、理系はさらに厳しい立場に置かれている。この現状を打開しようというよりも、日本の技術の国際競争力を維持することを目的に、企業への学位取得者の就職を推進しようという計画があるようだ。
北海道大学が「文部科学省委託事業:科学技術人材のキャリアパス多様化促進事業」に採択され、「基礎科学人材社会活躍推進計画」を進めているという。そこで、「企業の大学院博士後期課程の学生および博士研究員に対する意識」をつかむ必要があるらしく、アンケートの依頼を受けた。
しかし、このアンケートは変わっており、この計画を進めているS-cubicが各専攻就職担当教員、指導教員かCOEグループ担当を経由して、DCやPD個人にアンケートを依頼。そして回収は逆に、指導教員かCOEグループ担当、各専攻就職担当教員を経由してS-cubicに渡される。氏名、出身大学、生年月日、住所、連絡先まで個人情報を提供するアンケートを、どうして指導教員らにチェックされる必要があるのだろうか。「キャリアパス」という一見気の利いた言葉を用いて、プライバシーの侵害ともとれるアンケートには違和感を感じる。
問題のアンケートの内容だが、つい笑ってしまうほどに面白かったので、ここでいくつか紹介する。
[1]あなたはどのような分野に就職を希望していますか。下の項目の()内に優先順位を記入してください。
- ()大学教員
- ()国公立の研究所・試験所
- ()企業での研究職
- ()中・高校教員
- ()就職したくない
- ()その他(具体例を記入してください)
[3]あなたが就職先を選ぶ場合、その動機として以下の項目で強く思う順に、()内に数字を記入してください。
- ()収益に結びつく研究をしたい
- ()世の中に直接(見える形で)役立ちたい、学んだことを役立てたい
- ()将来、経営に加わりたい
- ()大学のポストは無理だから
- ()大学はもうこりごり
- ()なんとなく
- ()その他(具体例:
さすがに、馬鹿正直に書いて指導教員には見せられない。COEのアンケートは無記名だったので、COEや指導教員に対しては好き勝手に批判したのだけれど、卒業がかかっていると思うとなかなかそうもできない。その意味では、派遣OLとそれほど変わらないということか。とりあえず、協力する義務はないので、ちょっと様子を見よう。来週は指導教員もドイツだし。
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