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インカルンペの由来

最近、ニュースの準備で「珈琲 インカルンペ」へ行くことが多いが、この店の名前の「インカルンペ」の意味がずっと気になっていた。そして今日、マスターに名前の由来を教えてもらった。

「インカルンペ」は、アイヌ語の「インカルシペ」をもじったものらしい。マスターによると、「インカルシペ」はアイヌ語で「眺めのいいところ」という意味だそうだ。調べてみると、他に「 小さな丘の眺望のきくところ」とか「いつも眺める所」とかという説明もある。そして、驚いたことに、この「インカルンペ」とは藻岩山の本来の名前らしい。

現在の札幌の地を「開拓」した私たちの祖先が、かつてアイヌから「モイワ」(小さな山)と呼ばれていた山に、社などを築いて「円山」と名前を変えた。そして、「インカルシペ」を「藻岩山」と変えてしまった。この時、アイヌは倭人に「インカルシペ」を奪われたのだと奥さんは語った。

先日の集会で小野有五さんも言っていた。世界で先住民が使っていた元々の名前に戻す動きが盛んであるにもかかわらず、北海道では旭川で6カ所戻されただけだと。今年亡くなった萱野茂さんは、NHKの番組の中で「言葉を奪われるつらさ」について語っていた。

少なくとも札幌では、小学校で郷土について学ぶときにアイヌのことも学ぶことになっている。しかし、札幌の開拓については何となく覚えているが、アイヌについてはあまり覚えていない。自分の学習意欲のなさを棚に上げるつもりはないが、アイヌについての教育が不十分であることのひとつの証拠だということもできるかもしれない。日の丸・君が代の強制に代表される「愛国心」教育が強化されようとする今、私たち北海道に住む人間は人権の観点からアイヌについて学ぶことを通して、その問題点をはっきりと理解することができるのではないだろうか。

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コメント

おーそんな話を20年前ぐらいに
聞いたことがあるなー。懐かしい。

でも「藻岩山」が平岸にあるのも
それはそれで変な感じですなー。

投稿: Guru | 2006年7月19日 (水) 23時17分

Guruさん、コメントありがとうございます。

時間がゆったりと流れる平岸の喫茶店は、きっと社会への「眺めが良いところ」なのでしょう。

投稿: H本 | 2006年7月20日 (木) 08時43分

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