モーグルでストップ温暖化
NHK BSで2007 フリースタイル FIS モーグル W杯 猪苗代大会の放送を見た。会場を見てまず驚いたことに、雪が少なくて所々地面が出ていた。もちろんモーグルコースは雪がちゃんとあったけれど。
先に行われた女子の決勝には、上村愛子が今期初登場だった。解説通り、初めてとは思えない滑りで、コーク720も着地で転けなかった。滑りもさすがのものだった。とはいえ、女王ジェニファー・ハイルの滑りは、一人だけ格上に感じた。第2エアの手前で何人も失敗していたけれど、彼女はターン、エアのどちらも安定していて、事も無げに滑り降りていた。
男子は男子ですごかった。気温が5度と高いからか、みんな飛ばす飛ばす。第1エアからでっかく飛んで、ミドルもそのままのスピードで第2エアでぶっ飛んでた。何人かはミドルでスピード出過ぎて第2エアで飛べなかったり。お祭り騒ぎのようで見ている方は楽しいのだけれど、ケガ人が出なかったからいいものの、テンション高すぎに見えた。附田雄剛の吸い付くような滑りには驚く。他とはターンの質がちがって見えた。3位入賞してたし。1位のネイザン・ロバーツもJ・ハイル同様、安定した滑りだった。攻めながらもきっちり滑るのだから、すごい人たちだ。
そんなモーグルの放送で、選手のゼッケンにある「ストップ温暖化」の文字が目に入った。最初は、暖冬による雪不足で大変なスキー業界によるアピールかと思ったけれど、どうもそうではないらしい。先日観て来た「不都合な真実」は、日本でもかなり話題になっているようで、紀伊国屋でも書籍の方が山積みになっていた。温暖化防止は最近のトレンドになっているのか、チーム・マイナス6%が行った「ストップ温暖化」アピールだった。
このチーム・マイナス6%とは、京都議定書で決まった日本の温室効果ガス削減目標を実現するための「国民的プロジェクト」らしい。要は、「企業は努力しているのだから、お前ら国民がもっと我慢しろ」というもののようだ。「不都合な真実」でも(アメリカ)国民に対して、個人レベルの努力を促していた。もちろん、日本人も個人レベルで無駄を減らすために取り組む必要はあるだろう。けれども、「地球温暖化」ばかりに目が行ってしまっているように思えないだろうか。
「不都合な真実」では、現在地球上で起こっているほとんどの問題が温暖化によるものだと断定している。アフリカの紛争ですら、温暖化がより深刻にしていると主張している。だから、温暖化防止でほとんどの問題を解決できるという。ところが、映画の中でも触れているように、地球環境は非常に複雑なので、温暖化の防止、特に、温室効果ガスの削減だけで環境問題が解決するはずがない。温暖化ですら、人間による環境破壊の一つの結果でしかない。環境の保全が第一の目標に据えられていなければ、「温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギー」である原子力発電の推進のように、本末転倒な結果を招きかねない。むしろ、大量消費社会が根本的な問題なんじゃないだろうか。そして、大量消費社会を支える経済や軍事、さまざまなものが絡み合って、人間のエゴを増長させ、気付いてみたらしっぺ返しを受けることになっていたのが現状だと思う。「ストップ温暖化」がきっかけとなって、「ストップ温暖化」だけで終わってしまわないようにしなければいけないだろう。
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