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有珠山登山学習会

O田からありがたいお誘いを受けて、そうべつエコミュージアム友の会主催の有珠山登山学習会に参加して来た。土曜日に予定されていた計画は、雨のために日曜日に延期になったのだけれど、その日曜日も朝から生憎の雨が降っていた。

はじめ車に4人で行く予定だったけれど、メンバーがひとり、ふたりと減っていって、O田の知り合いのKさんと2人だけで三松正夫記念館へ向かうことになった。6:15に札幌を出発して、中山峠、大滝を経由して行った。集合時間に間に合うか心配だったけれど、洞爺湖温泉に近づいても一向に止まない雨の方が心配だった。そして、集合場所の三松記念館に着いたのは、集合時間5分前の8:35。ピッタリというかギリギリというか、ここまでは無事到着できた。けれども、やっぱり雨。

駐車場に車を停めて身支度を整えてから三松正夫記念館に歩いて行くと、入り口のところになつかしい顔を見つけてホッとした。挨拶をして資料を受け取り中へ入った。もう20名ほどが集まっている。みんな登山靴にザック、カッパを来ていて、結構本格的に見えた。一緒に参加したKさんがカッパを持って来ていなかったので、来る途中のコンビニで買ってもらったけれど、明らかに一人だけ観光客っぽかった。O田もパッと見では、観光客に毛が生えた程度だったけど。やっぱりO田のカッパを借りるべきだったかも。

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雲で隠れている昭和新山。

出発時間になり、ほどなく三松さんから話があり、次いで岡田名(迷?)誉教授(以下、岡田先生。といっても、「岡田先生」って呼んだことはない気がするけど。)から話があった。三松さんがジェットコースターの脱輪事故の話を引き合いに、今回の学習会決行の決定を出すことの難しさに触れるのを聞いた。さらに、出発してから貸し切りロープウェイに乗って昭和新山へ登る車内では、岡田先生が噴火でロープウェイが被災した時の点検の話があり、普段、車に乗る前に安全の確認をしないまま運転していることを指摘された。学習会のほんの初めだけれど、「安全性」への考え方を改めなければいけないと思い知らされた気がした。

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ロープウェイへ搭乗。

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岡田先生の話を聞く。

ロープウェイを降りると雲の中であたりは真っ白。本来見える場所に見えるものがないので、三松さん、岡田先生によるせっかくの説明も威力が減ってしまった。ファイルされた資料を手に説明してくれるけれど、三松さんも言うように現在と過去を比較しようにも、現在の地形が霧に遮られて見ることが出来ない。景色の写真を撮れないこと以上に、学習会として残念な天気だった。ぜひ、また来なくては。

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真っ白な下界を見渡しながら説明を聞く。

車で火口原展望台へ向かう岡田先生とは一旦別れて、一同は三松さんに引き連れられて遊歩道を進んだ。要所要所で説明があるのだけれど、やっぱり視界がないので臨場感があまりない。そんな状況だったけれど、O田が適宜質問に答えていた。キラキラしていた(Kさん談。)。

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キラキラ中のO田。

ここから、雨で滑りやすくなっている階段を下りて行くと、銀沼大火口が見えるはずだった。さらに、長〜い階段を下りて行くと、有珠山の南外輪山上を通る遊歩道につながる。山本さんから77年噴火当時の火祭りの話を聞きながら、遊歩道を展望台まで歩いた。

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記念写真はこちらでどうぞ。

展望台の小屋で雨宿りをしながら、再び三松さんから話を聞いた。天気が良ければ、ここから見渡す景色も素晴らしいそうだ。う〜ん、残念。話を聞いていると、見覚えのある写真が出て来た。77年噴火の際に、空高く立ち上る噴煙を見上げながら、水着を着て湖畔で水遊びを楽しんでいる姿を写した写真。これも平和ボケというのだろう。

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小屋でのお話。

岡田先生と合流し、急遽予定コースを変更してすぐに銀沼火口へ向かうことになった。地面の感触も変わって足下が火山灰らしいことは分かるけど、前が真っ白でどこなのかさっぱり分からなかった。火山灰の沢が出来ていて、そこをさらに降りて行く。火山灰の層が見える沢を落石に注意しながら降りて行くと、温泉の臭いがして来た。そして、平らなところへ出た。ここが銀沼火口のようだった。三松さんを先頭に歩いて行くと、白いガスがもくもくと出ているのに気付いた。その辺りの地面に軍手をつけたまま触れると温かいのが分かる。三松さんは噴気口に熱電対を突っ込んで、温度を計測していた。温かい地面を掘ると、火山灰が熱で変化した粘土だった。それにしても、77年噴火の前に、銀沼が名前の通り沼で、観光地だったというのだから、火山の力はすごい。

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一体どこへ……。

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まるで死の世界。

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いよいよ火口へ。

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4、5人のグループに別れて慎重に降りる。

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あったかい地面。

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温度計測中。

再び霧の中を進んで行く。途中、新山の方から流れて来たらしい大きな岩があった。さらに進むと、さっきのような噴気口が現れて来た。

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岩。

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岡田先生が計測。

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これぞ天然温泉。

バスをまわしてくれるEさん?を迎えに、O田は一人、グランドキャニオンの坂を登って行った。O田が霧に吸い込まれるのを見届けてから、グランドキャニオンの中へ入って行った。視界がないのでよく分からないけれど、ここの沢地形はグランドキャニオンのように見えるらしい。奥は風の流れがよくなくてあまり安全ではないので、引き返してO田が登ったところをみんなで登って行った。

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霧に吸い込まれて行くO田。

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右手の崖に注意しながら登る。

登り始めは地面がそれほど固くなかったのだけれど、上に行くにしたがって固くなり、簡単には登れなくなった。先頭を歩いていた岡田先生がステップを切って先に登って、中には上から引っぱり上げるという場面も見られた。ジョギングシューズだったKさんも苦戦していた。

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火口からの救出を待つ人々。

少し歩くと、グランドキャニオンに断層が走っているのが見えるそうだけれど、一瞬見えて来たと思ってカメラを構えたら、もう真っ白になっていた。グランドキャニオンの沢の落ち初めのところへ行くと、少し視界がよくなった時は、確かにそれっぽい景色だった。

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グランドキャニオンを上から見下ろす。

温度が一番高いというI火口を目指して進む。白い煙がもくもくと出ている場所にたどり着いた。よく見るとガスが勢いよく音を立てて吹き出している。これは確かに熱そうだ。ここで俄然張り切ったのは岡田先生。三松さん曰く、火口を見て研究者の血が騒いだのか、「人が変わったように」熱い噴気口を探して、吹き出すガスをかいくぐりながら温度計を次から次へと差し込んでいた。どんどん上がって行く温度計の表示を読む声も明るくなる。温度は385℃を記録したらしい。生のエビを串に刺して、サッとあぶって食べると上手いそうだ。海男でも山男でもなく、火山男の料理だ。一度は食ってみたい。

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I火口発見。

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火山研究者、岡田弘。

沢を登って小有珠に向かう。沢を登りきったところで、休憩する何人かを置いて、残りはピークを目指して登って行った。霧の中に消えてしまった先行者に追いつこうと急いで登って行くと、斜面に小さな黄色い花が現れた。さらに登って行くと、ピークに立っている人たちを発見。

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小有珠の上で一息。

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ハハなんとかって名前だった気が……。

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小有珠のピークからパンを片手に降りて来る岡田先生。

いよいよ、待機しているバスへ戻る。山を下りて行く途中、霧の中から突如現れる倒木が、霧で白く霞んだ視界に幻想的に映った。

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白樺の皮が一部巻き付いたまま残っていた。

バスに辿り着いた時には、ずいぶん歩いた気分だった。ずっと白い世界にいたので、バスを見てホッとした。林道を走るバスに揺られながら、次の目的地に着くまでランチタイムだった。計画が変更に次ぐ変更で、昼食は各自適宜とっていた。バスが止まって、雨で濡れて靴にまとわりつく泥に足を取られて歩いて行くと、火口の中にエメラルドグリーンの湖?が見えて来た。この火口湖は有くんと呼ばれているそうだ。霧の中の有くんは、その名に似合わず神秘的に見えた。

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有くん。

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有くんのそばに設置された砂防ダム。

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噴石で枯れた木立の脇を歩く。

バスに戻って、最後の目的地のビジターセンターへ連れて行ってもらった。参加者はみんな靴が泥で汚れているので、用意してもらったスリッパに履き替え中に入った。大きな有珠山周辺の航空写真のパネルが足下にある。ビジターセンターの人からの話があった後、その写真を使って、三松さんと岡田先生が説明してくれた。途中で抜けて、別の部屋で上映されている10分のビデオを見た。有珠山周辺の自然について紹介しているもので、きれいな風景といろいろな生き物の映像で癒された。ビデオが終わったのは出発時間の5分前。いよいよ三松正夫記念館に戻る。このころにはもう雨は上がっていたけれど、記念館に着いた時もやっぱり昭和新山は雲の中だった。今日は一度もお目にかかれず。

三松さんによると、学習会のイベントをこれからも何回か企画しているらしい。予算がないということなので、今後どうなるか分からないけれど、参加するかはともかく、ぜひ、また天気がいい時に来てみたいと思った。できることなら、今日学んだことを忘れないうちに。

札幌から来ているという学生がいた。彼はバスで帰る予定だと言っていたので、車で一緒に帰らないかと誘った。でも、翌日テストがあって早く帰らなければいけないらしく、ヒッチハイクで帰ると言うので、ここで別れた。無事着いただろうか?そしてテストの結果は……?

それにしても、三松さんがこんなにおもろいおっさんだとは知らなかった。

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