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faura 16号

6月に都合が付かずに行くことを諦めた利尻島。書店に置かれている表紙に利尻富士を見つけてすぐに手に取った。

16号の特集である「北海道の『富士』」を読んで知ったのだけれど、名前に「富士」を付けて呼ばれる山が北海道に19もあるそうだ。中でも誰もが真っ先に思い浮かべるのは、蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山(後方羊蹄山)だろう。蝦夷富士という名前にケチを付ける人はいないはずだ。その次に利尻富士だろうか。

マッネ・シㇼ
後方羊蹄山。

利尻島に行ったのは、もう20年近く前になる。海で釣りをしたのを覚えているけれど、山を眺めたりはしなかったと思う。その利尻島にそびえる利尻富士こと利尻山に、いつか行こうと大学へ入ってから2、3年間は考えていたけれど、いつの間にかそんなことも忘れてしまっていた。今年、何かのきっかけでそのことを思い出したので、今年こそと意気込んでいたところ、都合が付かずにまた諦めることになった。なかなか利尻富士には縁がない。

「富士」は19もあるというけれど、その呼び名を聞いたことがない山が多い。羊蹄山以外に登ったことのある「富士」は、増毛富士(暑寒別岳)だけだった。それに、「富士」といっても、正式名称に「富士」が入っている山はそれほど多くない。そんな「北海道の『富士』」に、小野有五先生が「先人アイヌの見立てを考えよう」という記事を寄せていた。

明治になり、アイヌの土地を道産子の祖先、倭人が侵略した歴史に触れつつ、本来の山名について語っている。羊蹄山はマッネ・シㇼ(女山)と呼ぶそうだ。羊蹄山のあたりのアイヌ語による地名であるシリベシに、倭人が勝手に「後方羊蹄(しりべし)」という字を当てたために、後方羊蹄山と呼ばれるようになったという。地図には「後方羊蹄山」と書いているけれど、「後方」ってなんだ?、っと思っていたら、由来はこういうことだったみたいだ。

北海道では、アイヌ語本来の地名に戻す動きはなかなか進んでいない。先住民であるアイヌの人たちの権利を尊重する取り組みも不十分なままだ。アイヌの人たちには、先住民の権利を保障していない現行憲法は改正するべきだという声もある。それでも彼らは、今、このタイミングで改憲することは、第9条を壊されることになるという理由で改憲には反対していた。今回の参議院選挙では、アイヌの権利を訴えている候補もいるようだ。アイヌの権利が政争の具にされないことを祈る。

ところで、羊蹄山のアイヌ語本来の名前はちゃんと表示されただろうか。小さい「リ」はアイヌ語なので、「ㇼ」と入力した。Mac OS Xではずいぶん前からアイヌ語の入力ができるようになっている。Windowsではどうなのだろう。OSにおけるアイヌの人たちの権利への対応の違いと見ていいのだろうか。

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