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西岡公園

札幌でもホタルが見れるらしい。実は、生まれてから一度もホタルを見たことがない。正確には、見に行ったことがない。そのホタルが、西岡公園で見れるという話を聞いて、早速行って来た。「ホタルの季節もそろそろ終わり。また来年のお楽しみですね。」なんて書いてあるものだから。

まず、西岡公園のサイトでホタル情報をチェックすると、木道で数が増えて来ているらしい。けれども、木道は西岡公園の奥にあって、歩き慣れていない場合は行かない方がいいと案内に書いてある。ホタルが見れるのは日没直後の19:00から21:00までらしい。そこで、早めの18:00くらいから西岡公園を散策して地形を頭に入れてから、暗闇の木道に備える計画にした。

ホタルの撮影は全然分からないので、とりあえず一番明るいレンズと三脚を持った。蚊に刺されるのはご免なので、フードの着いた防寒着を持つ。下はジーンズ。夕食を食べずに出るので、食べ物を少しと飲み物、念のためヘッドライトも持った。

家を17:30に自転車で出発。西岡公園まではひたすら登り。邪魔だろうと思ってiPodも持って来なかったので、トレーニング気分に無心でペダルをこいだ。「西岡」というだけあって、結構きつい。段々登って行くと、藻岩山の向こうから夕日が背中を照らしている。今日はきれいに空が焼けるかもしれない。

西岡公園へ続く斜め通りに入ると、車もめっきり少なくなって閑静な住宅街が広がる。都心へのアクセスは悪いけど、それなりにいい場所なのだろう。立派な家が多い。道路の突き当たりで西岡公園の入り口が現れた。入り口近くてテニスをしている人たち以外には誰もいなかった。

入り口にある地図で木道の位置を確認して、身支度も整えた。予定通り18:00に出発して、まず、最初に水源地へ向かった。薄暗い中、階段を下りて行くと、池というか沼というか、水源地が広がる。思っていたよりも広い。今思えば、水源地通りという名前は、ここから来てた訳だ。中央にある看板を見ると、正面にちょっとだけ頭をのぞかせているのが恵庭岳らしい。

西岡水源地から遠く恵庭岳を望む
中央に小さく尖っているのが恵庭岳。

堰の端まで歩くと、洋風の取水塔が見えてくる。西岡水源地の歴史を見ると、明治41年に軍用水道としての月寒水道の工事が着工されたそうだ。その後、昭和46年に白川浄水場が完成してから西岡浄水場は停止している。塩素臭い水道水は、白川浄水場から運ばれているということだ。

西岡水源地 取水塔
西岡水源地の旧取水塔。

現在の水道法では、水道の蛇口で残留塩素が0.1 mg/l以上検出されなくてはいけないが、この水では金魚は死んでしまう。信州大学の中本信忠先生から聞いた話だが、日本の水道水が塩素臭くなったのは、米軍のせいらしい。1945年に日本が敗戦して、進駐して来た米軍は、配水管末で0.4 ppm以上の残留塩素を保持するという野戦用給水基準を日本の水道に強制した。未だにその基準を守り続けているのが日本の水道界らしい。米軍が日本に押し付けたのは、憲法ではなく塩素臭い水道水だったという訳だ。




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そんなことを思い出しながら取水塔の方から歩いて八つ橋付近を通り過ぎる。階段を上って右に折れ、夕暮れで薄暗い水源地沿いの道を、木道へ向けて歩いて行った。

夕暮れの散策
水源地沿いの道。

休憩所も通り過ぎてしばらく歩くと、ようやく木道にたどり着いた。蚊の羽音が気になったので、防寒着を着てフードをかぶった。手袋を履く代わりに、袖に手を引っ込めた。準備を整えて木道を歩くけれど、ここまで来ると普通に山の中と変わらない。熊も出るらしいから、人気がないのが心細い。熊鈴を持って来るべきだっただろうか。怯えながら足早に歩いていると、向かいから白い獣が歩いて来る。犬だった。首輪は?!付いていた。後ろから作業着姿のおやじが犬に話しかけながら歩いて来た。木道の入り口に、「犬を入れるな」と書いていなかっただろうか。

1週するのに10分くらいかかる木道を何週か歩いて地形を把握した。木道は場所によって不安定だったり、滑り止めの横棒があったりするので、暗闇では確かに心配だと思った。陽も落ちて辺りが大分暗くなると、空の雲も染まって来た。

大体の日没時間の19:00を過ぎても、まだ薄明るい。この日は気温も低くて風があるので、ホタルは見られないのだろうか。それともまだ時間が早いのだろうか。仕方がないから、星空でも撮って帰ろうかと思ったけれど、あまり星が見えない。日没に合わせてやって来たらしい親子とすれ違った頃、黄緑色に光るものがゆらゆらと目の前を通り過ぎて行った。目で後を追って、消えたあたりをじっと眺めていると、何回か瞬いたように見えた。これはきっとホタルに間違いない。そこで粘っていると、その親子はどうやらあきらめて帰るようだ。

瞬いた瞬間に撮影はしてみたのだけれど、失敗に気づいた。絞っていたら全然暗い。液晶でプレビューすると眩しい。フードでカメラを頭ごと覆って、プレビューを切って、絞りも解放にした。このとき、ISOも高感度にしておけば良かったのに、そこまで気が回らなかった。

そのまま粘っていてもなかなか光ってくれないので、そろそろ帰ろうかと思っていると、周りでもチラチラとホタルらしい光が見え始めた。ちょうどその頃、おばちゃんたちも現れた。ちゃんと分かっているらしい。若いカップルも現れた。平日の夜にもかかわらず、おばちゃんたちの歓声で少しだけ賑やかになった。

全然ピントが合わないのに苦戦しながら、何枚か撮影した。もともとホタルを見るのが目的で、撮るのはおまけ程度に考えていたので、出来は苦笑いするしかない。露光時間が明らかに短かった。難しいもんだ。そして、気が付いたら、右のふくらはぎが痒い。いつの間にかジーンズ越しに蚊にプスッとやられたようだ。

結局、21時近くまでいて満足したので帰ることにした。歩いて転んだらしゃれにならないので、木道の出口でカメラと三脚を収めていると、おばちゃんたちが脇を通り過ぎて行った。一人で歩くと怖いので先導してもらおうと着いて行くけれど、どんどん離されて、ついには見えなくなってしまった。しょうがないので、一人取り残されて歩き続けた。素直にヘッドランプを使えばよかっただろうか。

八つ橋まで来るとホッとした。ここでちょっと川の方を見てみたけれど、ホタルは見つからなかった。さっさと帰りたかったので、自転車置き場にすぐに向かった。着いた頃には21時を過ぎていた。西岡公園から帰る途中、空を見上げると、丸い月が浮かんでいた。満月だった。星があまり見えなかったのは、月が明るかったからのようだ。

とにかく、ホタルがちゃんと見れたのが何よりだ。さすがに、乱舞とはいかなかったけれど、飛んでいる姿も見ることができた。札幌はそこそこ都会だけれど、確かに自然に囲まれた街なのだと再認識した。

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