ナイロビの蜂
先日、映画「ナイロビの蜂」を見た。ジョン・ル・カレの小説を映画化したものだそうだけど、原作は読んだことがないし、ジョン・ル・カレも知らなかった。
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![]() | ![]() | ナイロビの蜂〈上〉 (集英社文庫)
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「夫婦の愛」が一つの大きなテーマだそうだが、それよりも、ケニアを舞台に行われた製薬会社による違法な臨床試験に驚いた。厳密にはノンフィクションではないらしいが、小説が書かれたということは、あながちフィクションではないのだろう。けれども、まさか、こんな事が本当に行われているのかと疑いたくなってしまう。
ところが、今日のしんぶんを開くと、「ナイジェリアで米大手製薬会社ファイザー社が不法臨床試験で子供を死な」せたことについて書いてあった。ナイジェリア政府がファイザー社とその幹部を刑事訴追しているそうだ。
ファイザー社は、1996年に同国で起きた髄膜炎流行の際、カノ州の病院で子供約200人に対し同社の未認可抗生剤トロバンの臨床試験を実施。半数の子供にトロバンが、残る半数に対象薬として既に認可されていた他社製品が投与されました。米国では子供に対しトロバンが試用されたことはありませんでした。(2007年7月30日 しんぶん赤旗)
ナイジェリア政府は、試験に許可を与えておらず、子供の親への説明もなかったと主張しているそうだ。一方のファイザー社は、子供の死亡や後遺症は薬剤によるものではないと主張しているという。が、試験を行ったのはファイザー社派遣の研究員が行ったらしく、かなり疑わしい。見たばかりの映画の内容が、ノンフィクションではないまでも、事実をもとに作られたものだと納得させるのに十分な記事だった。
映画の中の台詞に「どうせ死ぬのだから……」というものがあった。被爆地に乗り込んで行った米軍とアメリカの研究者が、被爆者を調べるだけ調べて治療を全くしなかったという話を思い出した。彼らもそう思ったのかどうか分からないが、きっと日本人やアフリカの人たちを人間とは思っていないのだろう。日本人だって、中国や朝鮮半島を含むアジアの人たちや捕虜を殺しまくったのだから、それほど不思議なことじゃない。
去年、薬害問題を通して日本の政・官・財・学……による癒着の構造的問題について、川田龍平さんに話を聞く機会があったが、その川田さんが参院選挙、東京都選挙区でめでたく当選を果たした。製薬会社からの政治献金でドロドロの自民党・民主党による政界に風穴を空けてくれることに期待する。それに引き換え、期日前投票できずに選挙に6回も行かなかったことが選挙活動中にバレて謝罪をしたような自民党公認の丸川珠代が、なぜか川田さんよりも票を獲得している。都知事選といい、東京都民には毎回呆れるばかりだ。もちろん、立派な人もいるのだけど。
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