母べえ
昨晩、母親と「母べえ」を観に行って来た。
20時過ぎのシネマフロンティアは若いカップルの姿が目立つ。もちろん、「母べえ」の劇場に若者の姿はない。レイトショーでもあるので、広い劇場に10人強の年配の人たちが入っている程度だった。
最近、映画は下調べしないまま観ることが多いけど、今回もほとんど知らないまま観た。母べえの夫の父べえは、治安維持法違反の「思想犯」として逮捕された。東京帝大卒の文学者だが、「支那事変」に反対したということだった。
現代とは異なり、まだ「アカ」が市民権を得ていない時代。体制に反対するだけで「アカ」呼ばわりされてしょっぴかれる理不尽な時代だった。「ぜいたくは素敵だ」と言っても非国民と指をさされてしょっぴかれる。その一方で、牢獄の中では「アカ」は一目置かれる存在だったようだ。間違いに気付きながらも、自分の地位を失うのを恐れて体制に迎合し、愛国者の振りをする。そういう人たちは、信念を貫く父べえが疎ましく思うようだ。自分がやりたくても出来ない正しいことをやっている人のことを、応援するよりも妬む人の方が多いというのは悲しいことだ。けれども、誰もが権力に怯えていたあの時代に、どれだけの人が信念を貫けたことだろう。戦後、新憲法の礎を築いた人たちの中にも、やはり投獄されていた人がいた。こうした「アカ」だからこそ、一目置かれたのだと思う。
今回もエンドロールで気付いたのだけど、原作が「野上照代」と書いてあった。照べえが原作のノンフィクションだったようだ。
母べえ
著者:野上 照代 |
さて、今日、ニートの日は岩国市長選挙だ。
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