「執着するもとのもの」を捨て去る
百年の愚行(普及版)は1年以上前に買って途中までは目を通したけれど、ページをめくるのが辛くなってそのままにしていた。今回、ひとに薦めようと思って、覚悟を決めて最後まで見てみた。
この本は、Think the Earth プロジェクトによって作られた写真集だ。20世紀を振り返り、現実に目を向けるために選ばれた100枚の写真で構成される。
百年の愚行 ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY [普及版]
著者:池澤 夏樹,アッバス・キアロスタミ,フリーマン・ダイソン,鄭 義,クロード・レヴィ=ストロース,小崎 哲哉,Think the Earth Project |
喜ぶべきか悲しむべきか、100枚の写真の中に、水俣の廃液、広島・長崎の原爆、神戸の空襲と並んで、北海道の写真も選ばれている。p.102の「狂牛病問題で流通が止められ、倉庫に山積みとなった肉骨粉」だ。
20世紀を振り返るといっても、ただ闇雲に時系列に沿うわけでもなく、無意味に分類するわけでもない。この本には明確な主張があり、目次からもそれを読み取ることができる。
WATER
AIR
EARTH
ANIMAL
MASS PRODUCTION / CONSUMPTION
NUCLEAR / TECHNOLOGY
WAR
PERSECUTION
REFUGEE
POVERTY
この本には10のコラムが写真に添えられている。その最後のコラム「これからの100年に向けて」では、「ブッダのことば スッタニパーダ」(中村 元 訳)を引用して読者に問いかける。
悪魔パーピマンがいった、
「……人間の執着するもとのものは喜びである。執着するもとのものがない人は、実に喜ぶことがない。」
師は答えた、
「……実に人間の憂いは執着するもとのものである。執着するもとのものがない人は、実に憂うることがない。」
われわれはまず、「執着するもとのもの」を捨て去るべきではないだろうか。
教祖のことばを思い出した。
失うものは童貞だけだ!
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