宮古島旅行の整理がようやく終わったので、腰パウダーについて書いてみよう。
バドのときに山へ誘った悠らりさんが都合がよく、エンサヤさんも行ってみたいということで、えすきくんと4人で札幌国際へ行って来た。初めてなので、朝里岳までのプチバックカントリーで、シール登行の練習と、弱層テストとビーコンの使い方の練習など、一応、やるだけやっておこうと準備した。
7日の札幌は、昨晩から降り続いた雪が10 cmは積もっていた。テンションが上がりまくりで自宅を出発し、6:30にえすき邸、6:40にエンサヤ邸、6:50に悠らり邸という順で回収し、コンビニで行動食を買ってから北回りで札幌国際へ向かった。
途中、えすきくんのビーコンの電池を買うのに銭函のコンビニに寄る。PIEPS DSPは性能は良くても、単4電池3本という中途半端な電源はどうかと思う。まあ、小さなことだけど。
本格的な冬道の運転も、北回りも久しぶりなので、ちょっと緊張しながら運転した。札幌から銭函までは比較的晴れていたけれど、朝里を過ぎてからの山道は、かなりの雪が降りしきっていた。ただ、あまり天気が悪いと山へ入れないので、ちょっと悩ましい。
9時前に札幌国際へ着くと、駐車場はそこそこの場所に車を停めることができた。何より、新雪が積もっているのでテンションが上がる。車の中でみんなで相談して、はじめゲレンデで滑ってから、山へ行くことにした。ザックなどは車に置いたまま、レストランで準備をしてからチケットを買いに行った。ここでも迷ったけれど、結局、値段的にくるトクカードで1日券を買った方が得だということで、みんな1日券を買った。ところが、エンサヤさんは山へ行くつもりでくるトクカードを持って来ていなかったので、悠らりさんが車に置いて来た優待券をダッシュで取りに帰った。
みんなそろってゴンドラに乗って上まで行く。悠らりさんはゲレンデ板も持って来たので、ゴンドラにはツインチップのセミファットとファットがずらりと並ぶ。けれども、なんか板の向きがおかしい。エンサヤさんがえすきくんから借りたフジャティブは、ソールが外を向いている。まあ、これは問題ないとして、悠らりさんのミンクスは、トップが下になっている。確かに、ツインチップなんだから逆向きに滑ることはできるけど、何もゴンドラでフェイキーしなくても……。
ゴンドラでフェイキー。
案の定、悠らりさんはゴンドラからスキーを取り出すのに苦労していた。トップの方が太いんだから、当たり前といえば当たり前。
さすがに朝イチではないので、ゲレンデはもうトラックがたくさん入っている。とはいえ、ダスキンの股パウダーはなかなかのもので、斜度が足りなくて止まってしまうほど。当然、悠らりさんには手強いコンディション。深雪でがんばってボーゲンでターンするので、相当大変そうだった。
ダスキンは斜度がゆるいので、今度はダウンヒルへ行ってみた。こっちはもうみんな滑り尽くしていて、ダスキンほどには深雪が残っていなかった。けれども、まあまあ面白い。この調子でダスキンとダウンヒルを何本か滑っていると、ゴンドラ乗車待ちの列がどんどん長くなって行った。
そろそろゴンドラ待ちもバカバカしくなって来たので、11時に一度休憩して、山へ入る準備をすることにした。そして、ザックを取りに帰ろうとしたとき、大事なことを思い出した。「シールをザックに入れたっけ?」
なんと、山へ行くのにシールを忘れてしまった。もう、テンションは下がりまくり。ゲレンデで一人滑っていようと思っていたけれど、えすきくんがツボで登れ!筋トレしろ!と鬼の様なことを言う。正直なところ、体力的な問題はともかく、シールを忘れた状態で山へ入るのは、リスクマネジメントの上でNGなんじゃないかということが一番気になっていた。
ただ、行き先はスキー場のすぐ裏の朝里岳。それも、ピークを目指すわけではなくて、ちょっと練習するだけだ。少しシールなしで歩いて、ダメそうだったらすぐに引き返そうと思い、ザックを背負ってみんなでゴンドラに乗った。ゲレンデを滑っているときに、山へ入って行く10人くらいのグループを目撃していたので、トレースはちゃんと着いているのは予想していた。とりあえず、ゴンドラを降りてからコルまで下り、そこからシールなしで進んでみた。
案の定、ほんの少しの傾斜でも進むのが大変だ。仕方ないので、ツボでダメなら引き返そうと思い、スキーを脱いでみると、トレースがしっかりしているので、ツボでも大丈夫そうだった。ザックに急いでスキーをくくり付けて準備が終わった。ところが、みんなはシールを取り付けるのに苦労しているのか、なかなかやって来ない。ザックを置いて戻ってみると、思った通りまだ作業の途中だった。まあ、初めてなんだからしょうがない。
それでも、一度履いてしまえば、あとはトレースをたどるだけなので、難しいことはない。ツボの自分よりも楽に登って行く。新雪のせいで、だんだんトレースがずれて来て、足が埋まるようになって来た。途中、2パーティーとすれ違った。どちらも山屋風。気持ちに余裕ができて来たので、エンサヤさんと悠らりさんには軽くラッセルとキックターンの練習もしてもらった。トレースをたどって来て楽していたので、ツボだと腰まで埋まる深雪をラッセルするしんどさに悲鳴を上げていた。
ほどほどの斜面を見つけたので、ある程度上までみんなでトレースを使わせてもらって、そこから自分もスキーを履いてトラバース。適当な場所で、みんなはシールを外して滑る準備をし、自分は早速ピットチェックのためにスコップで穴掘り。
秋田谷先生の教え通り、1 m以上掘ってみた。60-70 cmのところに、2日前の雨によるものと思われる堅い層があって、その上にはずっと降り積もった新雪が乗っている。まずはじめに、スノーソーを購入したえすきくんのシャベルポンポンテストから。といっても、えすきくんはやり方をちゃんと覚えていないみたいで、ちょっと頼りないテスト。でも、まあ、30 cmのところに顕著ではないけれど、ひじで弱層らしきズレがあった。
次に、自分がハンドテスト。えすきくんとほぼ同じく、やっぱり30 cmくらいでひじ。目で見てはっきり分かる60-70 cmの弱層は、肩から腰くらいで強かった。その下も無理矢理引っ張ると、さらに10 cmでズレた。続いて、えすきくんはエンサヤさんを、自分は悠らりさんを手伝って、それぞれハンドテストの練習。こういうのは、自分でやるのが一番。弱層でズレる感覚を体験してもらうために、1 mは一緒に掘った。
とりあえず、だいたいの斜面の状態は把握したので、いよいよ滑走開始。このとき、えすきくんはビーコンのスイッチを入れていなかったのに気付いた。自分はというとシールを忘れてビビったので、ビデオカメラは持って来ていない。えすきくんが先に滑って、下から構えるということになった。そして、最初にドロップしたえすきくんから、滑り出した直後に「おお!」という声が聞こえて来た。何か事故があったかと心配したけれど、実は、えすきくんの雄叫びだったようだ。普段静かなえすきくんだけに紛らわしい。
でも、雄叫びをあげるのも無理はない、底付きしない腰上の軽いパウダー。えすきくんの山史上初のパウダーだそうだ。自分が滑るのをわくわくして待っていたのだけど、全くの予想外で、エンサヤさんが撃沈。ずるずると滑って行って、どうやら深雪の中で逆ハの字になって身動きが取れないのだと言う。仕方ないので、前転して抜け出そうとしたけれど、今度は深雪に突っ込んだ状態で抜け出せなくなってもがいている。写真を撮らなかったことを今さら後悔しているけれど、とにかく、本人は雪崩埋没体験をしている心境のようで、どうしようもないらしい。渋々エンサヤさんのところまで滑り降りて、ビンディングを開放して板を外してあげた。両足が自由になると、あとは前転で体勢を回復して、ようやく滑れる状態に戻った。
これで自分も滑れると思って、深雪を登り返して悠らりさんが滑り降りるのを上から見下ろしていると、今度は悠らりさんが転倒して身動きが取れなくなってしまった。がんばって体勢を立て直したものの、どうやら板が外れて見失ってしまったようだ。仕方ないので、悠らりさんの少し上まで滑り降りて、スキーを脱いでポールで悠らりさんの板を探す。勘で辺りを付けた場所にすぐ板が見つかったので、悠らりさんに板を渡して自分も滑る準備をする。もう、ずいぶん滑り降りてしまった。時間も遅いし、エンサヤさんと悠らりさんが来るのを待っているえすきくんはきっと寒いはず。登り返すのは諦めて、そのまま滑り降りた。
そこからは下りトレースをたどり、途中、ショートカットしたりしてゴンドラ降り場まで戻った。レストランで悠らりさんから衝撃的な事実を聞かされた。スコップの柄を落っことしたらしい。買ったばかりなのに。
いろいろトラブルがあったけれど、何とか最初の山スキーを無事終えることができた。そして、粉中毒がエンサヤさんと悠らりさんにも伝染したようだ。よかった、よかった。
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