突然、音楽が聞こえて来て目が覚めた。みんなモゾモゾしている。どうやら、誰かの目覚ましが、昨日の朝の時間のままだったようだ。音楽は流れ続けている。結局、フルコーラスが終わってから、自分の携帯電話で時間を確認すると、まだ5時前だった。もちろん、また布団に入って寝た。
今度はまた誰かの携帯電話がブルブルしている。隣に寝ていたえすきくんが起きて、部屋から出て行った。きっと温泉に入りに行ったのだろう。自分も入りに行こうか迷っているうちに寝ていた。
戸が開いてえすきくんが風呂から帰って来てまた目が覚めた。時計を見ると、もう6時半を過ぎていた。思い切って起きて風呂の仕度をして温泉に入りに行った。今日は手前の浴室へ向った。こっちはお湯が温かかった。外はだんだんと明るくなって来ていて、白んだ空にニセコアンヌプリの頂が突き立っていた。空はだんだんと青く染まって行く。雪で真っ白の稜線が浮き上がって来る。待っていた青空だ。一気にテンションが上がって来て、ちゃんと温まる前に部屋に戻った。
7時ちょっと前だったけれど、滑る準備を始めた。乾かした道具をバッグに仕舞っていると、みんなの目覚ましが一斉に鳴り始めた。それを合図に、布団も片付ける。エンサヤさんと悠らりさんが温泉へ入りに行った。仕方がないので、えすきくんと二人で朝食の準備を始めた。網で餅を焼いて昨日の残りの鍋に入れて煮込む。途中でH多さんも加わる。朝食ができた頃、二人が温泉から帰って来た。
そして、朝食。餅を目の前にして、みるみる食欲がなくなって来た。頭痛がひどくなってくる。食べないことには滑りに行けないので、無理矢理餅を腹に流し込んだ。食べ終わってエンサヤさんたちが片付けに行っている間も、出かける準備はしていたけれど、気持ち悪くてなかなかはかどらない。気持ち悪さが最高潮に達したので、トイレに急いで全部ぶちまけた。少しはスッキリしたけれど、まだ頭が痛い。早く出かけたいみんながイライラして来たので、とりあえず滑る準備をして車に荷物を積み込んだ。
チセヌプリスキー場までの車の中、次第に気持ち悪さが戻って来て、駐車場に着くなり車から急いで外に出てしゃがみ込んだ。危なかった。今度は冷たい空気を吸い込んだだけで少しよくなった。
「動いているうちに良くなる」とみんなが言うので、とりあえず、行けるところまで行って、悠らりさんと降りて来ようと思い、仕度をしてリフト券を買いにみんなの後を追った。9時を過ぎて、もうたくさんリフトに乗って山頂を目指しているようだった。
気持ち悪いけど天気はいい。テンションが微妙なバランスを取っている。歩くと気持ち悪さを忘れるので淡々と登って行くけれど、少し休むと気持ち悪くなる。
初めて見たかもしれない真っ白なシャクナゲ岳がとてもきれいだった。
チセヌプリが目の前にドカンと居座る。
先行のスキーヤーやボーダーのトレースをたどって徐々に登って行くと、青空のもと視界が開けていてとても爽快な気分だ。樹林限界の低いニセコならではの眺めを満喫。これまでチセヌプリは天気が悪いことが多かったのでうれしい。
天気がいいと足取りも軽い。
遠く日本海まで見渡せる。
ところが、途中からだんだんと風が強くなって来て、山頂では暴風。具合も悪いし特に山頂へ行きたくはなかったけれど、えすきくんたちがどんどん登って行くので、仕方なく着いて行った。でも、さすがに風が強くて準備も大変だし寒いので、一旦えすきくんと打ち合わせてから、山頂から少し降りた場所で仕度をした。シールを仕舞っていると、えすきくんたちが降りて来て、一緒に準備を始めた。けれども、悠らりさんがなかなかシールを仕舞えない。待っているのも寒くて大変なので、エンサヤさんが手伝ってさっさと下山する。ルートの確認のために自分が先に滑り降りると、えすきくんもH多さんも続いて降りて来た。二人とも寒くて早く下りたかったようだ。結果、エンサヤさんと悠らりさんが取り残されて、しばらく待っていると、何とか無事二人ともガスの中から現れた。ここまで下りると比較的風も弱くてなんとかやりすごせる。
たまに太陽が雪面を照らす。
標高を下げて雲から出ると、青空が帰って来た。この頃には、気持ち悪さも大分なくなって楽になっていた。山頂から下りるときは、寒くてそれどころじゃなかったし。
セーフティーグラブっぽい。
風下になっていて滑りやすそうだったニトヌプリの西斜面へ向うえすきくんたちと別れて、悠らりさんと真っすぐ下山した。いろいろ考えると、その方が無難な気がしたので、滑りたい気持ちを抑えた。とりあえず、天気がいい雪山はとても気持ちがいい。
H多さんから車のキーを借りたので、駐車場まで戻って温泉へ入る準備をした。雪秩父の駐車場へ車を回してから中へ入った。朝食べた餅を全部吐き出した空腹のまま温泉に入るのは危険なので、あまり食欲はないけど、行動食を少し食べた。しばらく休んでから温泉へ入りに行った。
硫黄泉の内湯は熱すぎて入れない。少し温度が低い鉄鉱泉の方で身体を温めてから、露天風呂へ入りに行った。ところが、こっちも熱い。のんびり入ることができないまま、休憩室へ引き返した。身体が落ち着いてから横になって寝ていたけれど、休憩室はちょっと寒い。だんだん身体が冷えて来たころ、エンサヤさんの声が聞こえて目を開くと、下山して来たみんなが立っていた。ウェアを着て横になり目をつむった。気配で目を覚ますと、H多さんが風呂から上がって来たところで、少しずつ遅れてみんな上がって来た。
食事をどこでとろうか相談した結果、ニセコでお好み焼きを食べることにした。通り道にあることは気付いていたものの、なかなか行く機会がなかったので、この際行ってみることになった。途中、うっかり道路を間違えたけれど、18時前には店に到着した。店内は結構広くて、時間が早いせいかまだ客もそんなに多くはなかった。
お腹に優しいものを食べたかったけれど、2食分は食べないとバランスが取れないような気がしたので、MIXモダンを注文した。お好み焼きは焼いて持って来てくれた。できるだけよく噛んで食べたけど、少しキツい。美味いんだけど、やっぱりジャンキーだ。
食べ終わって話していると、店がどんどん混んで来たので、札幌へ向けて帰ることになった。気温が高くて滑りやすい道路をH多さんが慎重に運転して、無事家まで送り届けてくれた。
この日つくづく思い知ったことは、二日酔いで気持ち悪いのに滑るのは、よっぽどの変態かMスキーヤーだということだ。もう滑る前日に酒を飲むのは止めよう。
ちなみに、カメラで露出補正するのを忘れていた。
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