突哨山
公園まであと10分くらいのところにあったコンビニで昼食を買ったとき、空には雲が多くて、もう陽射しはあきらめた。天気ばかりは思い通りにならないので、さっと歩いて早めに帰ろうと思った。駐車場には10時半くらいに着いた。さすがに、平日の朝だけあって空いている。
カメラの準備を終えて公園の入口へ行くと、カタクリがすぐに出迎えてくれる。けれども、どのカタクリも花が閉じていて、元気がなさそうだ。まだ寒いからなのか、やっぱり来る時期が早すぎたと思った。カメラマンらしい人も、「まだ早かった」と舌打ちしながら入口ですぐに引き返して帰って行った。
わざわざ札幌から来ているので、デジイチを下げたおばちゃんおじちゃんに混ざってカタクリの写真を撮った。アングルファインダーや三脚をうらやみながら、せっせとスクワットをしながら手持ちで撮影。下が濡れているので、膝を付くと冷たい。分かっている人は、膝を付くためのシートをちゃんと持って来ているようだった。
カタクリは開いていないとはいえ、一面に咲き乱れていてすごかった。植えたわけでもなく自然にある群落だというのだから驚く。遊歩道の脇を延々とカタクリの絨毯が続いていた。カタクリに混じって水色のエゾエンゴサクやキクザキイチゲも咲いていた。カタクリの赤紫であたりがいっぱいなので、キクザキイチゲの白が逆に際立ってきれいに見えた。他にも、ところどころに咲いているフクジュソウの黄色が鮮やかだ。時折雲間から日が射すと、白や黄色がひときわ輝く。ナニワズも咲いていた。
この男山自然公園がある突哨山に、実は、かつてゴルフ場開発の計画があったというのは、伯父が持っていた「突哨山と身近な自然を考える会」の会報を目にして初めて知った。10年に及ぶ保護運動の結果、旭川市と比布町が買い取って、突哨山のカタクリの群生地を含む自然が守られることになったそうだ。一面に広がるカタクリの絨毯を見ることができるのは、市民運動のおかげだった。感謝。
鳥の鳴き声が近くから聞こえるので目をやると、すぐそばにヒヨドリがとまっていた。小鳥の鳴き声はよく聞くけれど、なかなかすぐそばで見る機会が少ないので、花の名前はともかく小鳥はいまだに全然覚えられない。
だいたい1時間かけて一回りすると、しだいに日が射す時間が長くなって暖かくなって来た。気付けば、カタクリもだんだんと元気が出て来たのか、花が開いて来たように見える。花も太陽が出てくるとテンションが上がるようだ。そんなカタクリを見て、一緒にテンションを上げてもう一周。
目が覚めて背伸びをするように、カタクリが1枚ずつ花びらを開き始める。
2周目では、前回見つけた木の根っこの窓を探していると、ちょっと様子がちがうけれど、同じような場所を見つけた。気を挟んで前とは反対側にエゾエンゴサクが咲いていたので、窓の裏側から覗いてみた。すると、エゾエンゴサク以外にも、キクザキイチゲの白い花が見えるのに気付いた。ついついチラリズムにハマってしまった。むっつりスケベの本領発揮。
上の方まで登って来ると、遠くに薄らと雪化粧の山並みが見えた。よく見ると、山頂が結構鋭く突き立った真っ白な山も見える。その山をカタクリ越しに見ていると、ファインダーの中をトンビか何かがグルグル舞い始めた。
あんまりたくさんカタクリが咲いているので、ただボーッと撮っていてもつまらなくなって来た。少しは頭を使って撮らないとダメかと思って、試行錯誤してみる。
入口からちょうど反対側には、白樺の林が広がっている。青空と白樺とカタクリの色合いがきれいだった。
持っては来たけど使っていなかったE-420を取り出して撮影しようとしたら、レンズがバッグから落ちた。慌てて右足を出して地面への直撃は避けたものの、リフティング技術が低いので、レンズは足に当たった後、地面へ落ちてコロコロと坂を転がり落ちる。途中でレンズキャップも外れて冷や汗ものだったけれど、レンズは木の根元で回転を止めた。取り上げてみると、枯葉や土などがくっ付いているものの、幸い前玉には傷が付いていない。ホッとした。
とりあえず、ボディに付けていたパンケーキレンズでそのまま撮影。35mm換算で50mmの焦点距離で花を大きく撮るには、結構寄らなきゃいけないので大変だということに気付いた。あと、どうも40Dに比べてAFの精度が悪い気がする。
2周目はゆっくり回って13時近くになったので、売店で甘酒かりんとうを買って帰ることにした。売店のおじさんに聞くと、ピークはあと2、3日で、1週間もすればカタクリは終わって、ニリンソウが咲き始めるということだ。この日まではずっと天気が悪くて、遠くからやって来た人も、昨日はカタクリが開くところを見れなかったらしい。天気予報をにらんで今日来たのは正解だったようだ。
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