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医者にも飢えと渇きは癒せない

11日にペシャワール会の中村哲さんの講演を聴きに行った。ただ、残念ながら、中村さんは現地の作業が忙しくて帰国できなかったので、代わりに事務局長の福元満治さんが「命の水を求めて」というタイトルで講演した。

少し遅れて行くと、すぐに中村さんからのビデオメッセージの上映があった。その後、福元さんがスライドを上映しながら話した。アフガニスタンの歴史や文化から始まって、ペシャワール会の活動の歴史と、現在行われている用水路の工事についてまで、2時間近く詳しく話してくれた。「NGOは善くてビジネス悪くて詐欺だ」と言う福元さんは、自分の話を鵜呑みにするなと言っていた。そう言われても、自分のことを善く言う人の話よりは、悪く言う人の話の方がなんとなく信憑性があるようにも思う。

ペシャワール会は他のNGOが行くような都市部には行かず、山間部の支援をするそうだ。都市部の目立つ場所でなければNGOの活動は注目されないので経済的支援が受けられない。アメリカの空爆でカーブル(ニュースとかではカブールって言ってた気がするけど)から他のNGOが撤退したときには、現地の医療を維持するためにペシャワール会が入ったそうだけど、普段は馬でしか行けないような村へ診療に出かけていたそうだ。

医療活動を行っていたペシャワール会が用水路を掘っているのは、干ばつがきっかけらしい。タリバンの圧政から逃げて難民になったのではなく、干ばつで農業が続けられなくなったのだそうだ。診る前にいなくなっては、死んでしまっては仕方ないというわけで、井戸を掘り、用水路を掘り、今に至っているそうだ。その話の中で聞いたのが「医者にも飢えと渇きは癒せない」という言葉。逆に、井戸を掘ってきれいな水が飲めるようになり、食糧も確保できるようになれば、それだけで病気は減る。他のNGOは自分たちの価値観を押し付けようとするけれど、相手の文化などを尊重するペシャワール会のやり方が、支援には相応しいんじゃないかと思った。生活の基本的な部分を支援して、それ以上は現地の住民に任せる。「民主主義」を押し付けるなんて最悪だろう。

講演会の第2部は質疑応答だった。会場の高校生からの質問がすごかった。「私は何をすべきでしょうか?」進路に悩んでいるのかもしれないけれど。ワーカーとして協力するにしても、あまり志が高いと挫折するらしい。きっと、何だってそうなんだろうな。とはいえ、亡くなった伊藤さんは気の毒だ。7/3〜8に札幌教育文化会館で追悼写真展があるので観に行こう。

医者、用水路を拓く―アフガンの大地から世界の虚構に挑むBook医者、用水路を拓く―アフガンの大地から世界の虚構に挑む

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