街頭大相談会
せっかく誘われたことだし、SOSネットワーク北海道主催の街頭大相談会へボランティアとして参加して来た。
去年お世話になった人たちに1年ぶりに挨拶をしてから、終わりかけの会場設営に加わる。相談会は去年から数えて4回目で、今回初めて屋外で、炊き出しも初めて行うらしかった。この日は良かったのか悪かったのか、ものすごい晴天で大通公園は暑かった。30分もビラ配ったらフラフラ。ボランティアを含めて参加している人の多くが、それぞれに問題を抱えている中、より苦しい人たちに救いの手を差し伸べようとしているように感じた。
ビラを配っていると、「そんなものは要らねー」とばかりに追い払おうとするスーツ姿のサラリーマンが多い。今、本当に危ないのは、そうした正社員のはずなんだけれど。自分は大丈夫だと思っていた「中流」が転落する現代。クビを切られてからじゃ遅いのに。17時すぎに特にそういう人が多かった。身なりがしっかりしている人ほど無関心。会場の周りでは、右翼の街宣車も元気だった。
学生や求職中の人など、飛び入りでボランティアへ参加する人もいた。自身がついこの前までホームレスで、生活保護を受けているという人だって。一度ビラを断ったお年寄りも、ホットラインのことを話すと、息子に見せるとビラを持って帰った。若い人が自分からビラをもらいに近づいて来て、お互いに身の上話をすることもあった。彼には相談を受けてもらってから、握手をして別れた。
成り行きで勧誘のようなことをしていて実感したけれど、労働問題に関しては、みんな労働組合のことを全然知らない。特に、若い人ほど知らないように感じた。困っていてもどこへ行ってどうすればいいかを知らない。結局、権利を主張することもできずに、一人で抱え込んでしまう。先日観た「女工哀歌」の中では、中国では少女ですら学校で労働基準法を学んで、保証された権利を行使するか知っているというのに。為政者にとって都合のいい教育が続けられ、その傾向がより強まって行く社会に、いったいどれだけ期待できるだろう。けれど、こういう教育を受けられた若者は、社会をいい方向へ導いて行くにちがいない。
テレビ局の取材もあり、放送を見て相談会へ訪れたり、手伝いに来た人もいたそうだ。一方、宣伝の不備と昼間暑すぎたせいで、ホームレスの人たちは炊き出しへもあまり来ていなかったようだ。それでも、最終的に生活保護の申請へ進みそうな人が20人くらい。いったいどうして北海道の景気が底打ちなのか分からない。
札幌でも日比谷の「派遣村」のように社会に影響を与えたようとしたようだけど、結果としては、あまり上手くいかなかったように感じる。翌日の道新ですら、大きく取り上げてはいなかった。もちろん個別に相談会で救われた人はいるけれど、問題の認知度と当事者意識が高まらなければ、根本的な解決に向けて進まないと思った。
この日は全国的には七夕。願い事を書くように頼まれたので、月並みだけど「みんなが幸せに暮らせますように」と。
撤収が終わってから、信号機の都合ですすきのを通って帰る。にぎやかな繁華街。溢れる人の群れ。さっきまで札幌の貧困の現実を目の当たりにしていただけに、別世界へ迷い込んだような気持ちだった。
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