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日本を変えよう—北海道から始める第一歩 第2夜

江良から帰って来た夕方、連続シンポジウム「日本を変えよう—北海道から始める第一歩」へ参加しに出かけた。本当は11日の第1夜から聴きたかったけど、江良にいたんじゃどうしようもないので、仕方なく第2夜へ。

はじめ、会場が共済ホールだと思って6階でエレベーターを降りると、人の気配がない。調べたら、実は8階だった。8階へ階段からは封鎖されているので、いったん6階へ戻ってからエレベーターに乗り、8階へ。受付があったけれど、一般の予約がない人は勝手に会場へ行けばいいらしかった。会場の広い部屋の座席のほとんどが埋まっていた。ホールじゃないとはいえ、この時期にこれだけ集まるのはなかなか。

コーディネーターとして山口二郎が、魚住昭、佐藤優、郷原信夫、原田宏二の4名をパネリストに迎えた。シンポジウムの内容は郷原さんと原田さんがいるだけあって、検察と警察など、刑事司法が主なテーマとなった。正直、刑事司法のことはよく知らなかったので、かなり難しかった。予備知識がないとやっぱり大変。

それぞれ著書があるので詳細は置いておいて、シンポジウムで個人的に気になったことをまとめてみる。

とりあえず、山口さんの民主党贔屓には今回もうんざりしながら聴いていた。そんなに民主党政権がいいのか。とても反貧困ネット北海道を立ち上げた一人とは思えないけれど、「政治的」な問題があるのだと理解しておこう。というわけで、そこら辺は聞き流しておく。

佐藤さんの著書は読んでいないけれど、外務省の裏話はいろいろと書いてあるのだろう。外務省の裏金からご祝儀が出るという話も初めて聞いた。そのご祝儀を渡したのがイラクで亡くなった奥克彦さんというのも皮肉な話。佐藤さんの話は確かに面白いけれど、なんか無意識に距離を置いておきたくなる。

佐藤さんが今度の民主党政権で法務大臣にと言っていた郷原さんは、検察の特捜部に対して、最近では西松建設や福祉郵便の事件のような政治的、社会的影響の大きな事件、少し前ではライブドアのように経済的影響の大きな事件や、産婦人科医のように社会的影響の大きな事件については、起訴するかどうかをその影響を考えて判断すべきだと言っていた。殺人事件などの典型的な刑事事件について検察はプロフェッショナルだけど、そういう新しい問題についてはダメだとも言っていた。けれども、検察が社会への影響を「判断」して、起訴するかどうかを決めるというのは、おかしいんじゃないの?大銀行が潰れると経済的影響が大きいから、どんなに公的資金を投入してでも絶対に潰さないというのと構造的に同じような気がする。検察は犯罪の可能性があれば正義のために真実を追究すべきで、そうした社会への影響を検察が判断するというのは間違っていると思った。

原田さんが話していた選挙の話は衝撃的だった。北海道で買収は考えられないけれど、原田さんが以前いた熊本は「一票いくら」の世界だとか。しかも、選挙は下へ行くほど額が上がるとか。北海道の人ははがきが届いたら選挙へ行くけど、熊本の人はお金をもらったら選挙へ行くらしい。原田さんは警察の改革案として、国家公安委員会の公選制もひとつの方策として提案していたけれど、こんな選挙が行われている現状では、公選制なんてやっても意味なさそうだ。

各パネリストに共通していたのは、「検察も官僚も『自分たちが一番頭がいい』」と思っていることだった。結局、日本を動かしているのは「エリート」で、そんな人間が「バカな」国民に奉仕するはずはないわけだ。検察や官僚たちに「クソ」だと思われている国会議員も結局は「エリート」。原田さんや郷原さんが言っていたように、市民がちゃんと監視するしかない。

取り調べの可視化のことは何度も話題に上ったけれど、最終的には否定的な評価で終わったように感じる。検察や警察の捜査にとって圧倒的に不利になる改革をやるはずがない。万一、部分的な可視化が行われたとしたら、かえって危険だ。捜査に都合のいい部分だけ公開される。権力は恐ろしい。一度手に入れると絶対に手放さない。

民主党政権がどうこうという問題じゃない。もちろん、自公政権が終わるのが大前提だけれど、新しい政権でいったいどんな政策が行われるかが問題だ。「政権交代」が実現した時から、民主党政権と国家権力との戦いが始まる。三権分立が日本では形だけであっても、しっかりとやることはやってもらわないと困る。「政権交代」で何も変わらなかったら、考えるだけでも恐ろしい反動がやって来そうだ。ここ1、2年で日本は善くも悪くも変わるだろう。変えようというより、もう変わるしかないんだと思う。とりあえず、どうなってもいいように、南米への片道切符を買えるだけの金だけは用意しておこう。

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