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ONE SHOT ONE KILL

昨日の講演会の冒頭で、思いもかけず映画「ONE SHOT ONE KILL—兵士になるということ—」の特別編(10分)が上映された。

上映前の藤本幸久監督の挨拶の中で、県民大会の前日に辺野古で上映したことを話していた。この映画の主人公たちこそ、沖縄に駐留する海兵隊になるべく訓練を受ける新兵だ。

上映の最初からスピーカーを通して会場に響き続ける教官の恫喝と怒号。新兵はまず、家族、家庭との絆を強制的に断ち切られる。戦場しか行き場がないと思わせられているように感じた。訓練風景は映画「フルメタル・ジャケット」を憶わせた。その一方でデジャブーも。中学・高校の部活動やスポーツ少年団の練習風景が、ブートキャンプの訓練風景と重なって見える。

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教官の怒号に追い立てられて銃剣で的へ突っ込む新兵たち。目の前にある的がタイヤではなく、生身の人間であっても突っ込んで行けるのだろうか。まあ、日本人もかつては「お国のため」に「支那人」や「朝鮮人」のような的に突っ込んで行ったのだから、「教育」次第でどうにでもなるのだろう。日本万歳!

特別編は10分の短いものだったけれど、もうお腹いっぱいだった。見ていて気分が悪かった。札幌でも来月12月15日に上映会が開かれるらしい。

こうした訓練によって、アメリカでは毎年15万人の新兵が育てられて、ようやく今のように世界各地で戦争できるそうだ。イラクには150万人が送られ、そのうち30人に1人は身体に障害を負い、3人に1人はPTSDなど心に障害を負うという(数はうろ覚え)。自国の若者をそうした危険や被害に遭わせないために、アメリカが今考えているのは、日本の自衛隊に代わりをさせようということ。「国際貢献」のためにアフガニスタンなどへ自衛隊を連れて行って、「タリバン」や「アルカイダ」などと戦わせようというのが、「日米同盟の深化」の中身なのだろう。自衛官の家族はどう感じているのだろうか。家族や日本を守るつもりで入隊したのに、外国へ出て行って、テロリストのレッテルを貼られた民間人をぶっ殺し、向こうでそのまま殺されたり、そうでなくても片足を失って帰って来たり、PTSDで廃人のようになって帰って来たりするのをどう思うのだろう。「お国のため」、「国益」のためなら仕方ないのかな。そう、戦争に犠牲はつきものだ。

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