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心が動けば、体は動く

しばらく前に観たNHKのプロフェッショナル 仕事の流儀 第130回、「リハビリが、人生を面白くする」はとても見応えがあった。

「バリアフリー」にかけた「バリアアリー」という言葉で説明していたリハビリの方針は、わざと障害物を置いたり、手すりではなくつかまりづらいたんすを代わりに置いたりするという、「バリアフリー」とは正反対の発想だった。辛いからといって楽にしてしまうと、かえって運動機能が低下してしまう危険がある。現に、今は低いベッドで寝起きが大変なので、マットレスの購入を検討中だ。けれども、起き上がるのが楽になって尿失禁はもしかしたら減るかもしれないが、起き上がるための下半身の力が弱るのは困る。入院時も、ベッドこそ病院のもので寝起きしやすい高さに調整していたけれど、トイレから遠い病室だったので、今よりずっと長い距離を毎日歩いていた。入院中の方が元気だった理由の一つだと思われる。

そんな「バリアアリー」の中でも、クイズと組み合わせているものがとても興味深かった。天牛とか、沈菜とかという文字が書かれたパネルが、壁の高いところや低いところに張ってあって、めくると答えが分かるようになっている。デイサービスの施設へ見学へ行ったときに、壁に利用者の作品が飾られているのは見たけれど、こうした利用者の遊ぶものは張っていなかった。まして、廊下に置かれているものはなく、廊下の端から端まできれいに手すりが取り付けられてあって、歩行訓練をするようになっていた。スキーに例えるなら整地だ。整地ばかりで練習していても不整地が滑れないように、手すりのある廊下で上手く歩けても、段差や障害物が多い自宅では上手く歩けないまま。運動にはなっても、自宅で元気に暮らすことを目指しているかどうかに、藤原さんの考えとのちがいを感じた。

何より大事なのは「心が動けば、体は動く」という言葉の中の、「心が動けば」というところだろう。実は、その心を動かすのが一番難しい。特に、脳梗塞の後遺症による意欲低下が激しく、いつも頭を抱えている。番組でスポットが当てられていた利用者は、意欲に関してはしっかりとしていた。そこまでどうやって持って行くか、これからも先が見えない。

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