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10/1/23 富良野岳

まとまった降雪もあったことだし、そろそろ十勝連峰へ出かけようということで、滑りに行って来た。

札幌を5:30に出発した時点では三段山を目指して、視界が悪いようなら富良野岳を滑る計画だった。三笠を通り過ぎて桂沢にはかなりの積雪があり、富良野の雪にも期待が膨らむ。ところが、市内の積雪はそうでもない。ダメかと思ってたら、そこはさすがにカミフ。標高1,000mより上は全く別世界だった。ただし、雲がかかっていて視界が悪いので、富良野岳を滑ることになった。

寒気が入っていて標高も高いので、バーデンの駐車場で準備しているとものすごく寒い。久しぶりの高山を舐めていたことを後悔する。あまりの寒さにビビったので、デジイチは持たずにビデオカメラだけにした。入山届に記入して、8:30に駐車場を出発した。


写真は全部H多さんの借り物。

出発してすぐ、角を曲がったところにワンボックスが停まっていて、乗客がえすきくんと話していた。道案内してるのかと思ったら、実はVector Glideのライダーだったらしい。キャンプで早速友だちになっているえすきくんに感心した。

渡渉を終えた頃、もう後続の一人がやって来ていた。前日のトレースを辿って登って行くうちに追いつかれて、ジャイアント尾根にトラバースするところで別れた。何となく自分のルートで登りたくて敢えてラッセル覚悟で登ると、さすがに辛かった。無駄に体力を消耗しそうだったので、前日のトレースを探しながらトラバースした。しばらくすると、下りトレースを急登する跡が見えた。どうやら、さっき追い抜いて行った人のトレースのようだ。せっかくなので、ここからトレースを使わせてもらう。

10時に見覚えのある標高1,330mくらいの見晴台のようなところで、メガワット?の先行者とえすきくんが話して待っていた。後ろを振り返ると、どうやらここは先シーズン、冬山デビューのH多さんがMixに追い抜かてショックを受けながら辿り着いた休憩場所だった。その人は前日にも滑っていて、雪は硬かったけどこの日はずっとコンディションがいいらしい。Pontoonを履いて来てよかった。

入れ替わってそのまま尾根を登って行く。登って行くと風も出て来てひんやりして来たので、脱いでいたアウターを羽織り直して、1,400mくらいのところで休憩した。10:20だった。休んでいると、外人5人くらいのパーティーが登って来た。その後にくっ付いて登って行く。さらに50mくらい登ったところで、外人パーティーはドロップするようだった。

同じところからは嫌だし、奥に開けた斜面が見えるので、そこを目指してもう少し登ることにした。登り始めた直後、H多さんがまさかの滑落。といっても、数m滑り落ちただけで済んだのだけど。皮肉なことに、ちょうど去年エンサヤさんが滑落した場所に近いような気がする。怪我がなくてよかった。

雪庇が発達しているので、切れ目を探しながら登って行ったけれど、悪い視界の中でぼんやりと見える雪庇の端は、なかなか途切れる気配がない。途中、H多さんがGPSを紛失したことに気付く。どうやら、滑落したときに落ちたようだ。先行していた人に追いついたとき、ちょうど気持ちよさそうに滑り降りて行った。さらに登って行くと、ようやく雪庇が途切れる場所が見つかったので、そこからベベルイ沢の方へトラバースした。

風も強くて寒いので、手早く滑る準備をしてから弱層テストを行う。ハンドテストでは、新雪が手首15cm、肘50cmの弱層が見つかった。せっかくなので、積雪の硬さも調べてみた。15cmまではF、その下もFだけど、50cmまでにちょっと感触が変わった。50cmより下は締まっていて4F。70cmより下はP。コンプレッションテストを行うと、15cm手首3回、40cmと50cm肘5回だった。H多さんとえすきくんも同様の結果。弱層は不安定なようだ。新雪の中の浅い弱層はまだしも、50cmの方は嫌らしい。けれども、滑りたい気持ちを優先して、エスケープルートだけはちゃんと意識して、視界が少しよくなってから滑り下りることにした。弱層テストをしているうちに、メガワットライダーはもう登り返して来ていた。さすがに速い。

11:30に滑り始めた。滑りは気持ちよかった。雪が軽くて深いし板がよく走る。Pontoonのいい滑り方がまだよく分からないけれど、たっぷりと浮力を感じて滑ることができた。ついつい気持ちよくて滑りすぎてしまう。

空中遊泳
前半は白い世界を滑る。

灌木の合間をぬって

VGライダーのパーティーがいる近くまで滑り降りて休憩した。登り返さないつもりだったけれど、まだ時間が11:50と早いので、GPSを探しながら登り返すことになった。

トレースを使わせてもらってサクサク登ると、1本目の時よりも風が強くて視界も悪くなっていた。結局、視界も悪くてGPSは見つからなかった。いつのまにか初めより登って1,550mまで来ていた。そこで準備してもう1本滑る。この日の富良野岳にはずいぶんたくさんの人が来ているようで、真っ白な中から声がちらちらと聞こえてくる。目の前を横切って行く人も一人二人ではない。終いには犬まで横切って行った。Mixか?三段山クラブの人たちも来てるのだろうか。視界が晴れたときには、北尾根にも人影が見えた。

2本目はベベルイ沢をそのまま下って、登りトレースに復帰した。トレースを辿って滑るので、楽なことは楽なのだけど、別の意味ではこの日一番アドレナリンが分泌される激しい滑りだった。かなり密集した樹林の中を伸びる細いトレースを、すごいスピードで枝をすり抜けながら滑り降りる。数cm横にずれたら木に板をとられたりザックが枝に引っかかるような状況下で、減速するスペースもなく、ウォータースライダーのように滑り降りて行った。かなり恐かった。


スプレーを上げようとしたら……


真っ白になっただけ。


ほどよいバランス。


雪面がうねってる。


Pontoonでもここまで沈む。

雪浴び

何とか渡渉ポイントまで無事に滑り降りたかと思ったら、H多さんの叫び声が聞こえて後ろを振り返った。最後の急斜面で後頭部から灌木に倒れかかって、そのまま落ちて来た。どうもH多さんはいろいろと災難に見舞われる日だった。でも、まあ怪我はないようなのでよかった。

(現在、なぜかYouTubeのオーディオ入れ換えができない。)

指の感覚がなくてまともにズーミングできず、フレームアウトさせないのが精一杯だった。


Movie by えすき。あの寒い中、上手くズーミングしてるのがすごい。

バーデンで温泉に浸かって、冷えきった身体を温めた。けれども、撮影で極寒に曝され続けた指先は軽い凍傷になっていて、痺れが残って感覚が鈍い。ここまで辛い思いをしてまで自分たちの滑りを撮るなんて、よほどのナルシストでマニアで変態だと思った。別に誰が観るってわけでもなく、自分たちでニヤニヤしながら猥談よろしく観るのだから。結局、自分たちのえっちを撮影するのと一緒なのだと思う。

夕陽に染まる

夕陽

温泉のあとで、久しぶりに唯我独尊へカレーを食べに行った。撮影したビデオを見ながらカレーを食べてこの日の滑りを思い出す。これまで何度か富良野岳で滑った中では、この日が一番雪がよかった。まだPontoonの滑り方がつかめないけれど、ボードのようなターンをするのがいいような気がした。

帰りの車の中では、睡眠不足と寒さによる大きな疲労で、ほとんど起きていられなかった。気付いた頃にはもう三笠を通り過ぎて岩見沢。運転してもらえたからよかったけれど、自分だったらかなり辛かったと思う。家には20時すぎに帰れたので、ビデオの取り込みだけは済ませたけれど、そこで力尽きて寝てしまった。

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コメント

凍傷大丈夫?
感覚は戻ったかい?

自分のところのコンプレッションテストは
肘4回30cmできれいに切れる感じではなくて
ぼろぼろ崩れる感じでした。
あの状況だとピットチェックする場所が悩ましいところだ。

投稿: えすき | 2010年1月25日 (月) 23時38分

>えすきくん

まだ指先の感覚が完全には戻らないよ。
日常生活に支障はないのでよかった。

えすきくんの結果をちゃんと聞いてなくてごめん。
ダメだったね。

コンプレッションテストって
剪断に対しての弱層の強度ってあまりよく分からないよね。
角度を付けて叩くといいらしいけど
まだ慣れていないので
ハンドテストと併用して行うのが自分にはいいかな。

積雪は地形にかなり影響されるから
場所選びは難しいね。
ただ、弱層テストのために斜面に入って雪崩れたら意味ないし
もともと絶対的な指標にはならないから
常に雪崩リクスマネジメントを心がけるしかないよね。

投稿: H本 | 2010年1月26日 (火) 00時22分

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