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10/1/9 無名峰

札幌近郊を開拓すべく、無名峰を目指した。

開拓で何があるか分からないので、念のためGotamaで行くことにした。H多さんに7時に迎えに来てもらって、登山口へ出発。ルスツよりも30分早く出たので、車の流れがスムーズだ。登山口にはほぼ予定通り8時に到着。すでに車が1台停まっていた。

行きの車の中でGPSを忘れたことに気付く。せっかくウェイポイントを登録したのに意味がない。それ以上に、GPSがないと心細く感じる。普段はGPSをほとんど見ないで行動しているものの、もしものときのことを考えると不安になる。大して電話もメールも来ないのに携帯電話を持っているのと同じかな。他の忘れ物はなく、8:20に出発した。

しばらくは濃い樹林の中を、枝に遮られて目標が見えないまま地図とコンパスを頼りに進んでいく。もちろん先行トレースなんてないので、下山のことも考えて、できるだけ下らないように注意してルートを選ぶ。水が流れている音は聞こえるけれどしっかりと雪が覆っている沢を渡る。ここだけは少し登るしかないだろう。さらに歩くと林道に合流する。

林道の向こうに
林道の向こうに目指す山が微かに見える。

しばらく林道を歩き、沢を渡る手前で尾根状に取り付く。あとはひたすらピークまで続く尾根を登っていく。30分ほど進むと、なんと目の前にはスキー場のゲレンデと見間違うようなオープンな斜面が現れた。雪崩地形だろうか。でも、かなりの緩斜面でデブリも見当たらない。

奇跡のゲレンデ
道具と滑りようによっては楽しめそう。

まっさらな斜面を右手に見ながら尾根を登っていくと、だんだん急になるのでジグを切る。軽くてふわふわの新雪10cmの下にある少し締まった雪が崩れやすく、H多さんは登りで苦戦していた。登り始めてから2時間弱で、ピークまで標高差100mのところまでやって来た。遠くの山々も見渡せるようになった来た。あと一息だ。

ピーク直下
陽射しがピークまでの道のりを照らしてテンションが上がる。

10:30にピークへ辿り着く。ほぼ予定通りだ。振り返ると春香山が見える。その向こうには石狩平野も少しのぞいている。

さっき見た斜面を早く滑りたかったけれど、他に来る人もいないだろうし、稜線をこのまま進んでお目当ての斜面を滑ってから、帰りに登り返して滑ることにした。とはいえ、ここからの稜線歩きは雪庇の上を歩くことになる。慎重に進み、ときには雪庇を避けて樹林内を迂回して進むので、一気に進む速度が遅くなった。

目指す斜面

稜線を1時間以上進んで、ようやく目指す斜面を見下ろすピークに辿り着いた。薮と格闘し、雪面にクラックが走るのを見て、精神的にもかなり疲労しながらの登頂だった。

稜線を振り返る

山頂直下の崖

登頂
雪庇が恐い。

足がすくむのを感じながらも、地形を確認しながらカメラのシャッターを切った。当初はこのピークから滑り降りれるいい斜面を探すつもりだったのだけれど、ピーク直下は崖ばかりで、辛うじて雪庇が発達していないボウル以外はどこも下りれなさそうだった。逃げ場のなかったテラスの沢を思い出す。

さすがに稜線上は風が強いので、陰に隠れて滑る準備と腹ごしらえをする。晴れ待ちも兼ねて念入りに弱層テストを行った。ハンドテストでは、肩60cmで硬く締まった弱層しか見つからなかった。コンプレッションテストでは、手首5回10cm、ひじ6回15cmと20cm。H多さんはハンドテストで手首10cmで新雪の弱層を見つけたので、もう一度ハンドテストをしてみると、同じ結果だった。かなり雪崩リスクが高い。地形的にも雪崩れたらアウトっぽい。ただ、幸い木が生えているので、それを頼りに慎重に刻んで滑る。13時だった。

急斜面ではスラフにビビった。もしも雪崩れたら、自分もスラフのように流れていくのだろうと思った。ビビったけれど、その分より慎重にルートを選んだので、こういう自分の勘を大事にしたい。危険な場所を避けてトラバースすると、目指していた斜面の中程へアプローチすることができた。今思えば、最初からこっちへ早めに来る方法を探せばよかった。撮影を優先したのを反省。

マッシュジャンプ!?
マッシュジャンプ!?(Photo by H多)

地形に当て込む
ただ滑ってもつまらないので、ボードを真似て当て込んでみた。(Photo by H多)

パウダー!
ごちそうさまです。(Photo by H多)


H多さんが三脚に固定して撮ってくれたデジカメ動画が意外といい。

時間も体力も余裕がなかったので、登り返さないことにした。下山は楽に帰れるように、あまり標高を落とさずにトラバース気味に登りトレースへ復帰した。撮影してても、14:30には登山口へ戻ることができた。

今回はニトヌプリ以来に結構辛い登山だった。でも、滑りたい斜面を滑るために登るという意味では達成感があった。有名な山へ行くのではなく、開拓する楽しみを知ることができた。でも、いいことなのかどうか。デンジャラスゾーンへ足を踏み入れた気もする。とはいえ、GPSもない中、地図を頼りに行動したのも訓練になった。「小さな失敗は大きな学び」だ。

Gotamaを選んだのも正解。Pontoonでは滑りは楽しくても、とてもピークまで辿り着けなかったんじゃないかと思う。

【2010/1/12 追記】
H多さん撮影の静止画と動画を追加。

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コメント

なかなかディープですなぁ。

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次回は僕も行きます。

投稿: えすき | 2010年1月10日 (日) 20時25分

>えすきくん

「ぜひ行こう!」とは気安く言えないほどディープでした。
まずは今回の山行をしっかりと検証してみるよ。

投稿: H本 | 2010年1月10日 (日) 21時40分

ちょーきもちよさそう!!
羨ましいかぎりです~~

投稿: エンサヤ | 2010年1月11日 (月) 15時55分

>エンサヤさん

オレは滑りを楽しむ気持ちの余裕があんまりなかったけどね。
たぶん、エンサヤさんは
最初の急登でキックターンできなくて挫折しそう。
修行です、修行!

投稿: H本 | 2010年1月11日 (月) 16時06分

 撮影も滑りもクオリティ高いですね!w 無名峰の開拓とか、最近冒険してないんで羨ましいです!

投稿: RIN | 2010年1月11日 (月) 21時28分

>RINちゃん

「クオリティ高い」なんて言われると
つい嬉しくてその気になっちゃうなぁ。
滑りは日ごろばんけいナイターでの修行の成果です、たぶん。

開拓といっても
実は飲み会でちらっと教えてもらった山を
あれこれ調べて行ってみただけで
山屋さんにとってはそんな大したことじゃないから。
でも、自分たちにとってはかなりの冒険だったな。

投稿: H本 | 2010年1月11日 (月) 21時39分

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