表皮剥離

歳をとると皮膚がベロッと剥けることが多いらしい。

目を離した隙に、玄関に落とした人参を拾おうとしたグランマが転倒した。頭を打たなくてよかったものの、右手の甲、親指の付け根の辺り直径3、4 cmの皮膚がベロッと剥けて、むき出しになった下の組織がてかてかと光っている。気持ち悪い。

そんなに大きな絆創膏は家に置いていないのでガーゼとテープを探して来ると、グランマは自分で剥けた皮をだいたい元に戻していたので、その上からガーゼを当ててやる。さすがに血も出て来て、ガーゼが赤黒く染まって行った。やっぱり気持ち悪い。

ガーゼだけでは患部が乾燥して治るのが遅くなるので、ドラッグストアまで大きな絆創膏を探しに行った。ドラッグストアだけあって、いろいろな大きさの絆創膏が置いてある。期待していたくらいの大きな絆創膏も見つかった。

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他にもいろいろあるのであれこれ見比べていると、面白そうな絆創膏っぽいものを見つけた。絆創膏と同じように貼付けるだけでいいらしく、防水もちゃんとしているようなので、患部の保護にはちょうど良さそうだ。普通の絆創膏より値段は高いけれど。

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大きさは十分で全面が粘着剤になっているので貼るのが楽だった。半透明で貼ると色が透けるので目立たない。ただ、逆に患部まで透けて見えるので、血の赤黒い色が痛々しい。傷口だけでも不透明の方がいいように思う。気持ち悪い。

いくら高級絆創膏を貼ったとはいえ、傷は結構痛むらしい。痛みにめっぽう弱いグランマは、怪我をしたり体調が悪いと、途端に不機嫌になる。自分の辛さが他人のせいだと言わんばかりに家族に当たる。せっかく貼ったキズパワーパッドも、痛みを耐えられずに剥がそうとする。剥がしても痛みが治まるどころか、治りが遅くなるのに。

粘着力は確かなようで、一晩経ってもまだしっかりと貼り付いていた。痛みも引いたようだ。普通の絆創膏は、今回は使う機会がなさそうだ。あとは、何事もなくデイサービスへ行って帰って来てくれるといいのだけど。それにしても傷口は気持ち悪かった。まだ記憶にはっきりと残っている。