薮医者受診
グランマがうるさいので、病院へ連れて行った。
デイから呼び出されたので迎えに行ってみると、職員の言う話とグランマの言うこととが食い違っている。若い看護師が傷口見たさに勝手にキズパワーパッドを剥がしたせいで、グランマはさっきまで痛がっていたはずなのに、もう痛くないらしい。バイアスピリンのせいで出血が止まらないという割には、患部に当てたガーゼの血は乾いていて、血の跡も広がっているようには見えない。若干腫れているけれど、皮が剥けるほどぶつけたのだから、それくらいの炎症が起きても不思議じゃない。もう一度キズパワーパッドを貼ろうと思っていたけれど、グランマはデイで教えてもらった近くの外科へ連れて行ってもらわないと気が済まない様子だった。
仕方ないので行ってみたけれど、病院は薄暗く、職員の態度も悪い。受付も医師も看護師も。タバコの臭いまでする。いきなり施設の職員と間違われて「あんた」呼ばわりされて、後半には息子呼ばわりされた。レントゲンを一度は断ったけれど、腫れているからと言うので、あんまり断り続けていて虐待だと思われるのも癪だから、あきらめて撮らせてやることにした。もちろん骨折はない。腫れの原因が骨折じゃないと分かったのに、他の原因をちゃんと説明しない。捻挫はレントゲンじゃ分からないと言う前に、ちゃんと関節を調べろよ。どうせレントゲン撮りたいだけだったんだろう、金になるから。
外科だからか縫合したそうだったけど、怪我をしてから6時間以上経っているということで、残念ながら皮膚を切り取って消毒しただけだった。グランマは消毒の痛さに泣きそうだった。痛みに震えていた。「イソジン塗るの?」って怯えた声を上げてた。だから病院なんて来なきゃよかったのに様はない。おまけにその医師は、傷を乾かさなきゃいけないから翌日また来るようにと言い出した。デイの看護師といい外科の医師といい、時代遅れの治療にはいい加減うんざりした。グランマの自己満足のためとはいえ、来るんじゃなかった。グランマは痛くておしっこを漏らしたみたいで、帰りの車の中はちょっと臭かった。
傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)
著者:夏井睦 |
そんな人騒がせなグランマも、実は50年近く働いた元看護師。情けない。キズパワーパッドを剥がしたのがグランマじゃなくてデイの看護師だったのがせめてもの救いだ。そうじゃなかったときのことを考えるだけで恐い。
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