10/9/4 桂月岳
1年ぶりの再会と、突然の出会いと、山の上の涼しい一日を楽しんだ。
先週末はいい天気だったにもかかわらず山へ行きそびれたので、今度こそはと意地でも決行。最終的に、お手軽登山で層雲峡から黒岳、石室、桂月岳まで行って帰ることにした。結果的にはこの計画に救われた。
朝6時半すぎに家を出発して、H多邸で車チェンジ。ETCのゲートを無事に通過して、野幌SAで買い物してから層雲峡を目指す。晴れの予報だったけれど、空の高いところに秋の雲が札幌からずっと続いていた。低い雲は徐々に消えて行ったので、展望は期待できるだろう。
層雲峡へ着いてからセイコーマートで焼酎と日本酒を買う。ロープウェイの駐車場はすでに車でいっぱいだった。端っこの方になんとか停めることができ、さっさと準備をしてチケットを買った。ロープウェイは普通の観光客も多くて混んでいる。むしろ、時間が遅いせいか登山客はほとんどいない。
ロープウェイで五合目まで登ってから、まずは展望台へ。黒岳などの景観は七合目よりいいので、ここから見上げる。雲一つない快晴とはいかないまでも、今日は空気が澄んでいるのか、遠くの山まで輪郭がはっきりと見えてきれいだ。
黒岳をはじめ表大雪の山々は、もう9月だというのに青々としている。紅葉はまだ先のようだ。
リフト乗り場へ行く途中、見慣れない花を見かけて立ち止まった。白いリンドウが咲いている。エゾオヤマリンドウは青紫色だったはず。白花なんてまだ見たことがない。
家に帰ってから調べると、確かにエゾオヤマリンドウの白花だった。実際、リフトの下にはちらちら白いエゾオヤマリンドウが咲いていた。見たのは初めてだ。黒岳の名物なのだろうか。
北海道の高山植物
著者:梅沢 俊 |
リフトを降りて七合目で入山届に記入し、10:20に登山口を出発した。ジグザグの急登を続けていると、カーブに人が集まっている。話を聞くと、すぐそばにリスがいるらしい。目を向けると、すぐそばにエゾシマリスがいて、何かを食べているところだった。人に慣れているのか、逃げる気配すら見せない。最後にリスはいなくなってしまったが、逃げたのではなく、食べ物を落っことしたので拾いに行っただけだった。何とものんびりしたリスだ。
さすがにこの時期ともなると、咲いている花は限られる。とりあえず、これまであまり見かけたことがない花を探しながら歩いた。
ふと見上げると、少し周りより気が早いナナカマドがもう赤くなっていた。周りの木がまだまだ青々としているので、紅葉したナナカマドはかなり目立つ。
九合目付近まで登ると、進行方向にマネキ岩が現れる。マネキ岩を見ると山頂まであともう少しという気になるので少し足取りが軽くなる。
紅葉はまだだけれど、ナナカマドの実は赤くなっている。
雪が積もるのが待ち遠しい。
1時間ちょっとで黒岳の山頂へ到着。風が冷たくて気持ちいい。避暑に来て正解だった。
少し休んでから、黒岳石室へ向けて出発した。山頂付近はウラシマツツジがもう色付いている。赤よりは赤紫なので、あまりきれいじゃないのが残念だ。
H多さんが辺りで1株だけ咲いていたコマクサを見つけた。9月になっても枯れずに咲いている。
少し歩くと、去年お世話になった黒岳石室が見えてきた。
ウラシマツツジの草紅葉は、黒岳よりもポン黒岳の方が鮮やかだった。
ガレ場を通っていると、ナキウサギの声がどこからか聞こえて来たので、姿を見つけようと立ち止まって探していた。すると、ナキウサギではなくてシマリスがこちらへ近づいて来た。人慣れしているのか好奇心が旺盛なのか、ちょろちょろと走り回りながらやって来た。
登山道の下の方でおじちゃんがカメラを構えてじっとしていたので近づいて行くと、ナキウサギが岩陰から出たり入ったりしているらしい。せっかくなので、おじちゃんと一緒にナキウサギが現れるのをカメラを構えて待った。おじちゃんは先に行ってしまったけど、H多さんと二人、センター写真部は粘った。
すると、上の方でリスが走って来るのが見えた。ナキウサギではないけど、シマリスにカメラを向けてシャッターを切った。何枚か撮っているうちに、ファインダーに見えるシマリスが、シマリスっぽくないことに気付いた。よく見ると、ナキウサギだった。
夢中でシャッターを切っていると、ナキウサギはこっちへ降りて来る。
ナキウサギは岩の上にちょこんと座ったので、空へ向けて鳴く瞬間を撮ろうと待ち構えていたけれど、一向に鳴いてくれない。しばらく待っても、鳴いてくれないまま岩から降りてしまった。
すると、今度は岩の隙間をすり抜けながら、こっちへ近づいて来た。
すぐ間近までやって来て、ついにはH多さんの足元まで近づいたので、陰に隠れてこっちからは見えないほどだった。
昼飯の時間なのか、ひたすら草を食べまくる。
さすがにこちらが気になるのか、草をくわえて岩陰に隠れてしまった。静かに中をのぞいてみると、ナキウサギは安心して食べている。
食べ終わると少しじっとしていた。草を取りに行こうかどうか迷っていたのだろうか。
何度か出たり入ったりをくり返しながら、しばらく草を食べ続けていたので、同じような写真を何枚も撮ってしまった。人が集まって来たのでさすがにビビったのか、今度は逃げてしまった。
ポン黒岳を下り終えると、お花畑が広がっている。といっても、チングルマはもう綿毛だし、咲いているのはアキノキリンソウくらい。
少し歩くと黒岳石室へ着いた。小屋の前で大工仕事をしていたのが、去年、管理人室で一緒に飲んだFさんだった。早速、担いで来た焼酎と日本酒を手渡す。ザックも軽くなるのでホッとする。桂月岳の遭難騒ぎの話に呆れつつ、雪渓ビールは桂月岳へピークハントしてからにして石室を出発した。
桂月岳への登山道は結構細い。すぐに山頂へ着いたけど、石室までの道とはずいぶん雰囲気がちがった。いかにも火山で出たっぽい大きな岩がゴロゴロ。
桂月岳から上川岳を眺めると、良さげな斜面が見える。地形図でも気になっていた斜面で、滑ったら楽しそう。でも、片道切符か……。
桂月岳の山頂にいるときもナキウサギの声が聞こえて来た。耳をすませてナキウサギの姿を探していると、何かが動くのに気付いた。今度もシマリスだった。
いい加減腹が減ったので、急いで石室へ戻った。
石室へ戻って雪渓ビール500円を買う。去年の第3のビールから黒ラベルへグレードアップ。しかも値段は据え置きでお得らしい。大工仕事は、実は石室にバーを作っているのだそうだ。今晩オープン予定だった「バー石室」に招いてもらい、記念すべき第1号の客になった。将来的には「スナック石室」を目指しているそうだ。もう一人の管理人Gさんと4人、バー石室で楽しい時間をすごした。
Fさんの写真展を観に行ってみたかったけれど、今年はなかなか紅葉しないので、納得の行く写真が撮れていないらしく、できても再来年ということだった。写真展をするのもプロじゃないと金がかかるそうで大変のようだ。
このまま泊まって行きたい気分だったけど、さすがにそうも行かないので、また来ることを約束して石室を発った。秋空の下、ポン黒岳までのなだらかな道を進む。
ポン黒岳のガレ場へ来て、今度こそナキウサギが鳴く瞬間を撮ろうと耳を澄ます。大きな鳴き声が聞こえて、鳴き声のした方を目を凝らして探した。すると、ナッキーが岩の上にちょこんと座っていた。さあ、どこでしょう?
鳴くのを待っていたら、移動してしまった。さて、どこでしょう?
結局、鳴かないまま姿を消してしまったので、あきらめてまた歩き出した。
相変わらずナキウサギの声は聞こえて来るので、ときどき立ち止まって辺りを見回してみる。動く陰はまたシマリスだった。もう冬支度を始めているのだろうか。今年は暖かかったから、まだのんびりしているのだろうか。
黒岳の山頂へ戻ると、まだ人で賑わっていた。
桂月岳の下りで膝が嫌らしかったけど、黒岳から下り始めてすぐに膝がヤバいと感じた。利尻山のときより痛い。はじめはH多さんにゆっくり歩いてもらったけど、途中から交代して自分のペースで歩かせてもらった。右足を曲げると痛いので、比較的元気な左脚でかばいながらなんとか下りた。
必死の思いで登山口までたどり着いた。入山届に下山時刻を記入すると絵はがきがもらえた。リフトに乗ると、痛みから開放された。リフトに乗って撮った写真をチェックする。ナッキーがちゃんと写っていて安心。
リフトからロープウェイまでは緩い下りなので、膝はそんなに痛くならなかった。ロープウェイで層雲峡まで下りると、もう暗くなって来ていた。深い谷にはもう日が差してない。
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コメント
そういえば常念岳で白いリンドウをみて珍しいなぁと思ったのを思い出しました。
投稿: やっち | 2010年9月 6日 (月) 01時07分
>やっちくん
やっぱり珍しいよね。
一瞬、本当にリンドウかどうか疑ってしまった。
しかも、五合目から七合目の間だけに生えていて
もしかして、りんゆうで植えてたりして……
投稿: H本 | 2010年9月 6日 (月) 06時29分