11/2/20 白井岳
(適宜更新)念願の白井岳オートルートへ連れて行ってもらった。
先週はジンギスカン飲み食い放題と悠らりさんとのスキーを優先してゲレンデにしたので、山へ行くのは2週間ぶり。しばらくゲレンデばかり滑っていたので、荷物を背負って登るのが面倒になっていた。テレマークも結構面白いので、このままではゲレンデスキーヤーになってしまいそうだ。危険な状態だったので、ありがたいお誘いにこたえて、念願の白井岳オートルートへ連れて行ってもらうことに決めた。
メンバーは当初は激モリペアと自分に、GPさんの山岳会仲間のIDさんの4人だったけれど、一人二人と増えていって、同じく山岳会のMTさんとNGさんを加えた6人パーティーになった。朝は8時に道路情報館で集合だったので、チーム平岸天神はH本カーで7:15に出発。道路情報館でH本カーにMTさんが乗り込み、2台で札幌国際スキー場へ向かった。
札幌市内は晴れいていたけれども、山は雲に隠れている。駐車場山頂は見えず、ルート変更の可能性もあった。出発前にみんなで行程を確認。雪崩への注意点も話し合う。というのも、guroさんが前日に白井岳でワッフ音を聞いていたからだ。これまでに3回、自分か仲間が雪崩を誘発したのを目撃したことがあるけれど、ワッフ音を聞いたことは一度もない。恐いもの見たさで、一度はワッフ音を聞いてはみたいけど。
そんなわけで、この日はいつも以上に雪崩に注意することを確認してから出発した。チケットは以前買った回数券の残りを使う。これで残りゴンドラ1回分。山頂駅へ着くと、すでに出発している別パーティーを発見。記念写真を頼まれて携帯電話で撮ってやっているうちに、次のパーティーもやって来ていた。
それにしても、記念写真を頼んで来たボーダー。16:9のフレームだから横構図で撮ったら、縦構図でも撮れと注文を付けてきた。きっと頭の中までケータイに支配されているのだろう。しっかりと日の丸構図で上下をガッパリ空けて撮ってやった。もちろん、その写真に満足していたけれど。たぶん、こいつの頭の中の脳味噌と隙間の比率は16:9だろう。待ってくれていたIDさんに同情されつつ、先に出発していたみんなの元へ急いだ。
今回はすっかりお客さんなので、激モリさんたちに道案内とラッセルを任せて、後から付いて行った。雪が増えたので、シーズン初めよりもまっすぐに目的地を目指す。朝里岳のピークを目指しているらしい先行パーティーと別れて、吊り尾根へ直行する。樹林限界を超えて稜線まで出ると、飛行場からの風が吹きさらしで結構辛い。この間の余市岳では、油断して鼻が軽い凍傷になってしまったので、今回は慎重に顔を守って歩いた。
ガスで視界が心配だったけれど、吊り尾根へ向けて歩いている頃には雲も晴れて来て、流れる雲間から陽射しが降り注ぐようになった。なだらかな斜面に描き出された風紋が光に照らされてきれいだった。その奥から、目指している吊り尾根がだんだん近づいて来る。
GPさんが立ち止まったところからは、下の斜面が見えない。こんなところから滑り降りるのだろうかとビビっていたら、奥まで行って滑ろうと藻ーリスさんから指示があった。大きな雪庇が続いていて、どこに入れる場所があるのだろうかとヒヤヒヤ。まさかジャンプするわけはないだろうし。不安だったけれど、奥まで行くと風も止んで、雪庇が途切れていた。
ここからシールを外して滑り込む。先に準備を終えた藻ーリスさんは、いつものようにスキーカットをしながらさっさと滑り降りてしまった。今回もGPさんがサブリーダー役なので、カメラマンの自分が2番手で滑ることになる。斜度はそこそこだけど、気持ちよく真下へ滑るとトラバースが大変そうなので、藻ーリスさんの後を追って左へずれながら滑ることにした。滑り出しで一気に加速して気持ちよくターンをしたら、ちょっと踏み込みすぎて減速。その後、スピードを取り戻そうとしたけど、どうも雪の感触がおかしい。油断するとトップが潜りそうなほど、板をつかまれる。途中、何度かつんのめりそうになりながらも、何とか転ばずに藻ーリスさんのところまでたどり着いた。
カメラの準備を済ませると、藻ーリスさんからGPさんに合図を送ってもらい、MTさん、IDさん、NGさんの順で滑り降りる。ちょうど、後続パーティーが滑りを眺めていた。MTさんは最近流行のパウダーグラトリをかましていた。やっぱり雪が手強いらしい。最後のGPさんには、藻ーリスさんから大きくターンするように指示が飛ぶ。すると、いつもの軽快なショートターンと打って変わって、今回はメローなロングターンで結構カッコいい。ロングターンでもGeniusの調子は良さそうだ。
陽射しが自分たちのトレースを照らしている。後から来たパーティーは、稜線付近の斜面を降りていたのだけど、そのトレースを見てびっくり。下りでジグを切っていた。斜滑降、停止、キックターン、斜滑降、停止、キックターンという山屋さんに典型の降り方だった。案外、シールも外さなかったのかもしれない。同じ山域にいても、全く求めているものがちがうことを改めて思い知った。
登り返す頃には2月の暖かい陽射しが照りつけてとても眩しい。南斜面はどんどん雪が腐っていきそうだ。稜線までの登り返しも、ラッセルはちゃっかり任せて付いて行く。ちょうど稜線へたどり着く頃、山屋さんのパーティーが山頂からぞろぞろと滑り降りてきた。GPさんたちはランデブーに成功。下山ルートを教えてあげていた。
こっちが狙っているのは楽に降りれる斜面ではなく、気持ちよく滑り降りれる斜面なので、山頂の方へちょっとトラバース。シールを外して準備しているうちに、また激モリさんたちは先に行ってしまった。最初に滑り降りた藻ーリスさんからは無線で「最高!」という声が届く。でも、トレースが残るだけで、どこへ滑ったか分からない。ここを自分で滑ったことがないのでちょっと不安だし、どうせなら適当な場所でカメラも構えたかった。でも、勝手な場所で止まって構えても合図を送れないので、あきらめて藻ーリスさんのところまで滑り降りてしまうことにした。
確かに、南向きの吊り尾根よりも日射の影響がなくて雪は最高。ただ、斜度が足りない。急斜面を滑り慣れてしまうと、白井岳の大斜面はゆったりすぎる。滑るならザラメの時期だろう。あるいは、テレマークで来るか。
藻ーリスさんとMTさんが立っているところまで滑り降りて、振り返ってカメラを構える。すると、すぐにみんなタイミングをずらしながら滑り降りてきた。これにはもうお手上げなので、撮影失敗。
ここから少しトラバース気味に滑り降りる。そこで、さっきの山屋さんパーティーと再びランデブー。帰りに沢筋を下るのは雪不足で大変なので、彼らも途中まで一緒にいったん登ることになった。こちらは本日のメインの斜面を目指してトラバース。振り返ると長い列になっていて、一見すると大集団。対面には気持ちよさそうに滑ったトレースが何本か残っていたので、もしも向こうから見えたら、どこかのツアーかと思ったんじゃないだろうか。途中まではそんな調子で大集団で移動した。
稜線へ出ると、雪庇の向こうに目当ての斜面が見える。はじめにGPさんが雪庇を越えて斜面に入りピットチェックを行う。比較的締まった新雪には、顕著な弱層は見られなかったそうなので、順に距離を置いてみんな斜面へ入る。シーズン初めに偵察に来たときの薮の濃さには驚いたけど、さすがに雪が増えて大分滑りやすくなっていた。それでも、上から眺めると狭く感じる。
沢状を藻ーリスさんが先に滑り降りた。あんまり気持ちよさそうじゃない。どうやら沢には若干デブリが溜まっていたようだ。カメラの都合もあるので、今度も2番手。去年滑り損ねた斜面なので、この際一気に滑り降りた。やっぱり斜度はこれくらいないと物足りない。ただ、下部は薮がうるさい。
後から滑り降りたIDさんは、スラフにビビっていたようだ。そりゃあ、こんな急斜面を普段滑ってなければ当然。自分だって激モリさんたちと知り合うまでは、もっと大人しく滑っていたし。
最後にコルの一番低いところを目指して登り返し、雪庇の間を抜けて稜線へ出る。ここから少しトラバースして、若干開けた斜面まで行ってシールを外し、あとはちょっと濃すぎる林の中をゆったりツリーラン。最後は、シーズン初めの渡渉の苦労は何だったのかと思うほどあっけなく沢を渡り、スキー場へ復帰。
レストランで軽く反省会を済ませた後は、白樺の湯で温泉に浸かる。相変わらずぬるいお湯で、いつまでも入っていられそうだったけど、帰りの時間も遅くなるので適当にあがった。そして、初めての小樽ビールでジョッキを泡だらけにしてから、GPカー組とお別れ。といっても、道路情報館まではずっと後を走っていたけど。
ともあれ、出発前は雪崩の心配をしていたけれど、高い気温で思いのほか沈降が進んでいたのか、ワッフ音が聞こえることもなく、雪はとても安定していた。最後の斜面で自分で簡単にハンドテストをすると、肘で40cmの弱層はあるにはあったけど。ワッフ音が聞こえたのは、稜線付近に局所的に発達した弱層によるものだったのかもしれない。
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