« 東大雪荘 | トップページ | 11/8/18-20 大雪縦走 2 »

11/8/18-20 大雪縦走 1

1日目は銀泉台から白雲岳避難小屋まで登る。

駐車場を出発してから、結構長い林道を登って行く。道はデコボコはあるけれど、そこそこきれいに整備されていて走りやすい。20分くらいかかってようやく登山口前の駐車場へ着くと、レンタカーを含めてすでに5台くらい車が停まっていた。ここでesukiカーをデポしてH多カーにみんなで乗って、今度は銀泉台を目指して林道を下る。

然別湖は通らず、上士幌を通って国道を進むルートを選んだ。途中、行動食を上士幌のコンビニで調達したけれど、残念ながらここではうんこが出なかった。東大雪荘でも健闘虚しく気体のみ。銀泉台へと期待は持ち越された。

思っていた以上に長いトムラウシ温泉から銀泉台への道のり。ようやく銀泉台線へ折れてからしばらく登って行くと、雨粒がパラパラとフロントガラスにぶつかった。これはテンションが下がる。幸い、本格的な雨にはならなかったものの、銀泉台の小屋のあたりはガスで真っ白だった。

霧の銀泉台

H多カーに少しの間のお別れを告げて、小屋で入山届に記入した。下山予定は8/20。2泊3日の山行だ。管理人さんによると、先行で1人が同じくトムラウシ山へ縦走しているらしい。もしかしたら白雲岳避難小屋で出会うことになるかもしれない。

残念ながら、銀泉台のトイレでもうんこは出なかった。どうやらトイレの神様に見放されてしまったようで、白雲岳避難小屋までうんこを運ぶことになってしまった。管理人さんたちに申し訳ない。

銀泉台から赤岳へは、花の時期にも紅葉の時期にも何度か歩いている道。地形もだいたいは頭に入っているけれど、ガスっていて見えるはずの景色が見えないのが残念だ。白い空間からナキウサギが鳴く声だけが響いて来る。

コバノイチヤクソウ
二人が撮っていた花は、どうやらコバノイチヤクソウというらしい。

第二花園には雪渓が残っていて、足を乗せると雪ではなく氷だった。でも、堅いのは一部でほとんどは腐っていて歩くのには問題なし。雪渓脇に咲くエゾコザクラやツガザクラなど初夏の花を眺めながら登って行く。

エゾコザクラ

コエゾツガザクラとチングルマ
変種が多くて紛らわしいけど、ピンクの丸いツガザクラはおそらくコエゾツガザクラじゃないだろうか。

霧に濡れる綿毛
水滴が付いた綿毛もこれはこれできれい。

岩の上で箸休め
コマクサ平の岩上ではエゾシマリスが食事に夢中だった。射程外と分かっているのか、こちらのシャッター音も気にせずに食べまくっていた。

エゾヒメクワガタ

霧の中を登る

遅咲きのチングルマ

第三雪渓を登っていると、行く手の雲が明るくなって来て、ついに青空が顔をのぞかせた。雲の上に出ることができたと思って喜ぶのも束の間、日差しの暑さに汗が一気に噴き出した。でも、幸い、雲はその上にも浮かんでいて、ちょうど雲の切れ間が通りすぎただけだった。そのおかげで、赤岳山頂まで涼しく登ることができた。

待ちわびた青空
ようやく青空が現れる。


アザミ?

アザミにとまるアゲハ

期待してはいなかったけれど、予想通り山頂付近はそれほど天気はよくない。晴れていれば見えるはずの御鉢平周辺の山々は、雲間から現れたり隠れたりを繰り返す。黙って立っていると寒いくらいなので、さっさと先を急いで白雲岳避難小屋へ向けて進んだ。

赤岳山頂から

白雲岳へ
展望はなさそうだ。

白雲分岐まで到着すると、いったんザックをデポして白雲岳へピストンすることになった。自分は去年の縦走で登頂しているけど、他の2人はまだだったので、ピークハントへ出かける。

烏帽子岳と黒岳

途中、登山道の両脇から聞こえるナキウサギの泣き声に惑わされながらも、ザックを置いて身軽になった身体で軽快に歩いて行く。去年は登山道に積もった雪で苦労したけれど、今度は膝の痛みもないので、山頂直下の大きな岩も公園の遊具のように登って行くことができた。

ガレ場を覆う綿毛

そして、登頂した白雲岳から見えるのは白い雲だけ。辛うじて見えていた旭岳の裾野も隠れてしまったので、さっさとザックのところまで引き返すことにした。

花ノ沢

望遠レンズは持って来なかったけれど、やっぱり気になるナキウサギ。もしかしたらそばにいないかと思って目を凝らしていると、岩ではない何か生き物のような姿を見つけた。けれど、ナキウサギに比べると妙に大きくて、これまで見たことがない茶色い姿形をしている。向きを変えると、長い耳が生えているのが分かり、鳴かないウサギだと分かった。鳴くかもしれないけど。実は、エゾユキウサギを夏山で見たのはこれが初めて。冬や春先に雪の上を走って行く白い姿を見たことはあるけれど、茶色い夏毛の姿は初めてだった。一見すると小さいカンガルーのようでそれほど可愛くはないけれど、つい何枚も撮ってしまった。

白雲分岐から避難小屋まで、あとは下るだけ。少し降りると赤い壁が印象的な白雲岳避難小屋が見えてくる。去年は小屋の向こうにトムラウシ山が見えたけれど、今回は残念ながら厚い雲に隠れている。

白雲岳避難小屋

ともかく、大雪縦走の初日。雨に当たることもなく、暑さに苦しめられることもなく、膝の痛みも出ずに行程を済ませることができた。銀泉台の管理人さんが話していた通り小屋は空いているので、1,000円払って小屋に泊まることにした。テン場にはいくつかテントは張ってあったけど、2日目の行程が長いので、少しでも楽をしたくてテン泊は止めた。

無事に到着したことを祝って早速酒盛り。水場で汲んで来た冷たい水でウィスキーを割って飲んだ。ホッとする。まだ夕食には早い時間だったけど、他の客が食事をしていたので、自分たちも遅れて夕食の準備を始めた。

サヤちゃんにもらった登山用食品がいくつか残っていたので持って来ていた。鮭茶漬けといそべ餅。鮭茶漬けは容器がないのが不便だけど、お湯を入れて5分で早く食べれるのがいい。一方、非常食と書いてあるいそべ餅が厄介だった。作り方の通りに作ると、餅はふにゃふにゃ。余った水は捨てなきゃいけないし、粉末醤油は使いづらいし、ふにゃふにゃの餅に海苔を巻くのも難しい。しかも、水で作るから冷たい。これは非常食としてはちょっと他人には薦められないと思った。

1日目はそれほど動いていないので、行動食のおにぎりと夕食に酒を加えたら十分だった。ウィスキーを飲んでホッとしたせいか、少し寒くなってシュラフに入るとすぐに寝てしまった。

ところが、夜中にふと目を覚ます。その途端、屋根を打ち付ける強い雨と風の音。何時か確認しなかったけれど、テントに泊まらなくてよかったと思った。この天気でテントで寝るのは自分には無理だ。その後も何回か目を覚まし、他のパーティーが朝食の炊事を始めた頃起きることにした。幸い、この頃にはもう雨は上がっていて、小屋の曇った窓越しにトムラウシ山へ続く山並みが薄らと見えた。長い1日になりそう。

| |

« 東大雪荘 | トップページ | 11/8/18-20 大雪縦走 2 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 東大雪荘 | トップページ | 11/8/18-20 大雪縦走 2 »