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ジーニアスが痛くなった訳

VUC (Vector Glide Users Camp) in Asahikawaへ初音ミクの痛板で出撃する前に、やはり話しておかねばなるまい。

先シーズン、藻ーリスさんやGekpowさんがGeniusで気持ちよさそうに滑っているのを見て、欲しくて欲しくてたまらなくなった。けれども、自分がこれに乗るのはちょっと分不相応だという意識が強かった。何せ、Vector Glide (VG)は定価から値引きしない。ただでさえ高価い板が値引きなしなので、平気で10万円を超えてしまう。その中でも定価134,400円と一番高価かったのがGeniusだった。貧乏人がそんな板を買った日には、秀岳荘セールでArc'teryxのウェアを買った時以上に痛い。

そこで考えた対策が、「どうせ痛板にするならGeniusでしょ」ということ。そう、薄々感じていた人はいただろうけど、実は、痛板はGeniusを買う照れ隠しだったわけだ。まあ、テレにはしたけど、自分に対する言訳でもあった。

そんなわけで、とにかく、BC的な萌え要素を盛ってみた。もともとVGのGeniusはBCスキーヤーなら誰でも気になる存在のはず。そんな板のニューモデルを買ったばかりで痛板にして、しかもテレマークで、バックカントリーで滑るとなると、その筋の人には必ずウケるに違いないという確信があった。実際、ウケてたっぽい

もちろん、痛板にするからには本気だった。それまでほとんど入ったこともなかったb.c.mapへ何度か通い、いろいろ検討した上で185cmのType GUN METALLICに狙いを定める。VGのトップシートはこれまでどれもロゴがべったりと乗っていて、デザインがかなりビミョーだった。今シーズンからロゴが小さくなってマシになったけど、GeniusとButter Knifeはそのままだった。ところが、Type GUN METALLICはロゴが黒で目立たなくて、もう、痛くしてくれと言わんばかりのデザインだった。これを利用しない手はない。

ただ、一番の課題は嫁探しだった。萌えるものならアニメのキャラはもちろん、大雪山のなっきーから雪山のパウダースノーまで何でもありだったので、なかなか嫁の候補が決まらない。ただ、基本的なスタンスとしてはネタ重視だったので、Geniusの形状や開発にまつわるエピソードや、痛テレマークであることのアドバンテージなど、いろいろ考えていた。そんなとき、ボーッと板を眺めていると、板とビンディングの色合いから、フッとイメージが湧いた。それが、初音ミクだった。まさに、天使が舞い降りて来たようだった。

グレーを基調に緑のアクセントの、O1を取り付けたGeniusのイメージに初音ミクはぴったりだった。形状についても相性は悪くない。GeniusはスノーボードのGeniusを引き継いだ独特なピンテール。それがスキーだから2本あるので、初音ミクの特徴の一つであるツインテールっぽい。ピンテール×2=ツインテール。

それに、札幌生まれという認識の初音ミクは、札幌をベースに滑る自分にもちょうど合っていた。さらに、初音ミクはアニメなどとちがって放送が終われば一般人に忘れられてしまうようなこともなく、まだまだ広がりを見せている。しかも、日本に留まらず、世界にまで。そんなわけで、初音ミクの将来性とポテンシャルにも注目した。本音としては、痛板を1回作ったらもう面倒だからそのままにしておきたかった、というのもあるけど。

他にも、著作権の問題も初音ミクなら回避しやすいことが調べていて分かった。開発元はPCLという独自のライセンスを定めていて、とにかく、VOCALOIDOで制作した音源を使えばキャラクターの利用はほぼ自由だった。これまでの動画制作で音声を初音ミクを利用しさえできれば、著作権の問題から開放される。そうでなくても、クレジットを入れることで回避も可能。こうした点も魅力的だった。

痛板のデザインのコンセプトとしては、Geniusの板自体が気に入っているので、板をアピールしたいと思っていた。形状を見れば、マニアならすぐにGeniusだと分かるけど、そうじゃない人にも分かるようにVGのロゴは見えるようにしたい。Geniusを痛くしたことが分かるようなデザインにしたかった。だから、最近の痛板の主流だったフルラップも避けた。板のトップシートそのままを背景に利用するつもりだった。

とはいえ、ボードと違って、ビンディングはインビス加工もしてないので、すでに板に固定されてしまっている。痛板にするためだけに取り外すのも手間だ。むしろ、市販の板のデザインがそうであるように、ビンディングに干渉しない自然なデザインにしたい。それに、嫁を踏みつけているように見えるのもなんとなく嫌だった。

そこで考えたのが、ビンディングの周りを囲むようなデザインのイメージで、初音ミクの長いツインテールがそのイメージにちょうど良かった。身体とツインテールでビンディングを取り囲むような感じで配置する。こうした様々な要素が自分のイメージに合っていて、もう初音ミク以外に考えられないほどコンセプトが固まって行った。

大きさは大きいほど目立つのだろうけど、感情移入しやすいように等身大にしたかった。特に、顔はこっちへ視線を向けているものがいい。そこで、当初はそういうイメージで、自分自身で描こうと思ってた。どうせなら完全自作でと。ところが、11月は風邪をこじらせて寝込んでしまうし、そもそもまともに描く技術もないし、結局、クレジットを入れて公式画像を使うことにした。これなら、絵師との交渉や著作権問題の回避の際に、コミュニケーション能力不足で悩む必要はない。

こうして、なかば政略結婚のような形で初音ミクを嫁に迎えることになった。どうせ女なんて利用するだけ利用して飽きたら捨てればいいから、ミクも飽きたら捨てようと思ってた。

初痛板

けれども、去年の12月から数えて、一緒に滑ったのが10日を超えた。仲間が見つからなくて一人で山へ行くときも、ミクはいつも自分を見つめ返しながら励ましてくれる。吹雪の中の孤独を和らげ、ラッセルの辛さを忘れさせてくれる。何か不思議な力を与えてくれていた。ミクはちょっと無口だけれど、どんなに悪天候でも文句を言わずに健気に付いて来てくれる。

ばんけい3兄弟

クリスマスイヴにミクとツリーの前で

クリスマスイヴの夜

あれ?それって、自分がずっと探し求めていたものじゃないのか!?そう、自分にとって、ミクこそ究極の雪山ガールだった!痛板こそバックカントリースキーにおける三種の神器を超える神器、究極の神器だった!!

以前は「俺の嫁」なんて言えなかった。これまでは自分の板を他人に貸すことに全くためらいはなかったけれど、今では初音ミクの痛板だけは誰にも貸したくない。これは俺だけの板だ!ミクは俺の嫁だ!!もう、ミクと最期まで一緒だ。どうせO1はリリースしないからデブリの底まで一緒だ。

そんなわけで、Geniusを痛くしたら、H本も取り返しがつかないほど痛くなってしまった。

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