12/3/4 イワオヌプリ
(自分で撮った動画はそのうちアップ)実はハイシーズン初めてのイワオヌプリへ、BC痛板セッションしに行って来た。
イワオヌプリへは残雪期のザラメを滑りに行くことは多いけれど、今までハイシーズンに滑りに行ったことはなかった。山頂の岩頭やシュートなど、アクセスもよく標高も低い割にエクストリームなシチュエーションで、一度は行ってみたいとずっと思っていた。けれど、新しい火山のせいか大きな木はほとんど生えておらず、ハイシーズンにはどの斜面もつるんとしていて、どこでも雪崩れそうに見える斜面。ガスったら目印も少ないので滑りづらそうだ。コンディションにも恵まれず、結局一度も滑ったことがないままだった。
前日の「でれまくり2013」では連絡ミスのためにふーぽんさんと一緒に滑り損ねた。というか、痛板を見せてもらい損ねた。そんなわけで、ふーぽんさんの痛板デビューを飾るために選んだ場所が、そのイワオヌプリだった。
天気はイワオ周辺は午後から晴れそうな予報だった。ニセコで雪が降っているという情報も前日の夜にふーぽんさんから得ている。できれば念願のイワオのハイシーズンを滑ってみたいという気持ちがあったので、イワオヌプリでBC痛板セッションを決行することになった。
道路情報館で5時半に集合し、喜茂別のセイコーマートへ寄って行動食を調達。今後のことを考えてチョコチップをまとめ買いした。ラブラブサンドが欲しかったけど、どうやらもう販売に力を入れていないようだ。セイコーマートブランドのランチパックも置いていなかったし、最近は行動食を買うときにとても悩む。真狩、ニセコを通りすぎ、昆布温泉から左折して五色温泉へ向けて道路を登って行くと、さすがに新雪が結構積もっている。そして、雪秩父を過ぎてパノラマラインから右折すると、不安は的中。除雪されていない。まさかのラッセル。道路はノートラックだった。視界が悪いので道路の真ん中をゆっくり走って何とか五色温泉を越えて駐車場へたどり着いた。
駐車場へ着く頃には、思ったより天気は悪くなく、予報通り回復へ向かう気配がした。イワオヌプリの山頂も望めた。これはThe Dayなのではないかと期待が膨らむ。
とはいえ、まずはBC痛板セッションお決まりの登山口記念撮影から。ふーぽんさんには痛板の制作途中から使用する画像を見せてもらっていたけれど、完成品は写真すらまだ見ていなかったので、実物を見せてもらうのはこれが初めてだ。ふーぽんさんと初めて一緒に滑ったときから、ふーぽんさんが作る痛板の方向性をお互いに共有していたので、気分としては「お前の嫁は俺のもの、俺の嫁は俺のもの」みたいな感じで、思い入れは強かった。そして、ついに目の前に現れたふーぽんさんの痛板は、期待通りの存在感を放っていた。
まあ、K2 Darksideだからというのと、知る人ぞ知る理由があるわけだけど、一般に広まっている「痛板=アニメ」という先入観に囚われないデザインだとは思う。別に、孫や娘の写真を貼付けたっていいと思うし。十分痛いから。
天気がいいのは朝のうちだけというのはよくあること。痛板の記念撮影なんてしていないで、さっさと登り始めた方がいいくらいだけど、これだけは外せない。撮影を済ませてから急いでハイクを開始した。
道路に新雪が15cmくらい積もっていたけれど、幸か不幸かラッセルが大変なほどの深さじゃない。新雪の下には春の陽射しで融けて締まった硬い層が隠れている。スピードが出そうだ。ルートは春とほぼ同じ。西側の尾根を登ってフリコ沢の1本を最初に狙う。
でも、登っているうちにみるみる天気は悪化。お約束のガスガスになって来てテンションが下がっていたけど、意外にも視界が回復して来た。とりあえず、ピットチェックを行うと、シャベルコンプレッションテストで肩4回15cm、肩6回35cmに弱層。35cmの方が気持ち、面できれいにずれるけど安定している。地形的にも雪が締まっているようだ。
eskixがスキーカットをした後、下から撮影するために最初に滑る。予想通り新雪は浅い。パウダーでずらそうと思って身体を倒すと底付きする。底付きするからエッジを角付けしてカービングしようと思うと、今度は逆に新雪が邪魔して角付けが甘くなる。特に、内足が。今度もゲレンデパウダーのようなコンディションに翻弄されてしまった。滑りの技術が中途半端だと、中途半端なコンディションに上手く対応できない。底付きなしの激パウか、ゲレンデのようにきれいに整ったバーンしか気持ちよく滑れない。
登り返そうとトラバースしてからシールを貼付けてると、後のふーぽんさんが叫んだ。振り返ると、Darksideが暗黒面に滑り堕ちて行くのが見えた。フォールラインに沿って滑って行く板は、幸い、「ガンっ」と薮に当たって止まった。TLTのスキーブレーキは、やっぱり新雪では意味なかった。ツボで歩いて行って板を拾って帰って来たふーぽんさんによると、ビンディングが壊れたりはしていないようで良かった。パウダーではスーパーファットは木にひっからない限り止まってくれないので、雪にぶっ刺しておいた方が安全だと思う。その点、ピンテールのGeniusは刺しやすくて便利だ。痛板の記念撮影にも向いている。
2本目のために登り返し。後続もやって来たようなので、急いで正面を登り返す。薮の間をジグを切って登り、そのまま稜線まで上がる。確か「Signatures」で見た山頂の岩頭の横を滑りたかったので、そっちへトラバース。
すると、不安的中。その斜面をボーダーが登って来ていた。仕方ないので、登ってる人たちを避けて少しスキーヤーズライトのラインを選ぶ。ファーストのeskixが滑り降りると、雪崩走路の真ん中で休んでいた外人らしいのが、「俺がいるのに滑んじゃねえよバカやろう」というようなことを英語で叫んでいた。でも、外人嫌いなので無視。
ふーぽんさんが滑った後、自分もさらにスキーヤーズライトへトラバースしてからドロップ。ほどよい急斜面だけど、またもやゲレンデパウダーのような積雪に手こずる。イマイチ気持ちよく滑れず、最後にはビビってトッパーからテールプレスで転倒してしまった。
天気がいいのでまた登り返し。今度は春にも滑ったシュートが残っていたのでそっちを目指す。ところが、登り返しのルートを考えて斜面を見上げていると、信じられない光景が広がった。イワオの広い南斜面を右から左へと見事に一直線に偽ピークへトラバースして行くスノーシューハイカー2人組を発見。他の人たちのことも考えて残してあるノートラックの斜面が、無惨にもハイカーによって汚されて行く。トレースの下は、まるで簾でもかけたようになった。この光景を目にして、普段大人しいeskixですら「えげつないトレース」だと他のパーティーに話しかけたそうだ。さすがニセコ。変な人もいる。
eskixにまで「えげつないトレース」と言わしめた勘違いスノートレッカーのトラバース。
しかも、もう一人をぶっちぎってトラバースして行った後、わざわざ引き返していた。
沢の様子は偽ピークへ登るまで全然分からなかったけど、eskixが春に滑っているので、他のパーティーに滑られちゃう前に滑ることにした。撮影のために今度は自分が先に滑る。天気がいいので偽ピークでアンヌプリをバックに記念撮影。初音ミクとダース・ベイダーのツーショットにも見えて異様だ。ちなみに、ふーぽんさんのデジカメが遭難した。
出だしのノールで怖かったので、雪崩を警戒しながら慎重にターンして、ノールを過ぎたらすぐさま加速。でも、カービングが上手くできずに暴走気味。スピードに乗って下部の樹林へ突っ込んだので死ぬかと思った。
滑りには不満が残るけど、何より天気がよかったので満足だった。どうして青空の下で滑るとこんなに気持ちがいいんだろう。滑りの悪さもどうでもよくなるくらいに気持ちよかった。
from eskix ch.
最後に同じシュートを滑り降りた4人パーティーで、最初に滑ったスキーヤーが激しかった。ほとんど曲がらず直線的に降りて来た。なんかアラスカを滑るような激しさだった。駐車場まで帰るとき、雪ウサギが斜面を駆け上るのを見ながら、ビデオが間に合わずに撮り逃す。夏山のように常にカメラを構えているわけじゃないので撮り逃すのがほとんどだ。
H本が手ぶれ補正を使用せずに撮影。
駐車場で彼らと話すと、毎週来ているけどこんなに晴れたのはこの日が初めてということだ。イワオを選んだぶーぽんさんに感謝。ハイシーズン初めてのイワオで見事に晴れた。青空の下でノートラックを3本滑ってすっかり満足。
eskixが朝から寒い寒いと言っているので、近くの五色温泉へ行く。露天風呂から山が見えたらと思ったけど、見えるのは目の前にのしかかって来る雪庇だけだった。しかも、券売機が置いてあって料金が600円に値上がりしてる。何だか悔しい。
下山後の食事はふーぽんさんにミルク工房のレストランへ連れて行ってもらった。ところが、残念ながら17時半まで準備中。仕方なくシュークリームとチーズケーキを買い、ついシュークリームを食べてしまう。これで結構腹が膨れた。
ミルク工房で教えてもらったニセコ倶楽部を目指して移動。ニセコ駅前でなぜかミクさんの雪像を目撃した。まさか、こんなところまで進出していたとは。
| 固定リンク | 0
コメント
「雪崩走路に休憩・・・」、長距離横断、そうそう盤の沢の件と、これだからメジャーな
ところでの行動は、雪崩も怖いが雪崩以上に怖いかも。
自分さえ楽しめれば・・・・・。なのでしょうかね。
投稿: 藻ーリス | 2012年3月10日 (土) 10時23分
>藻ーリスさん
最低限、共通認識さえあれば
多少は人が多くても譲り合いますが
これだけ各自が好き勝手に行動してると
できるだけ遭遇を避けたいですね。
もちろん、しっかりしてる人たちも来てましたが。
投稿: H本 | 2012年3月10日 (土) 10時44分