米寿のお祝いの旅
死の淵から一応は復活したグランマの88歳のお祝いに松前まで行って来た。
グランマが「苦しい」と言って入院したのはほぼ1年前。長期の治療と入院で衰えた身体のリハビリが進み、何とか一人で立っていられるようになったのが今年の5月。そろそろ退院という頃、家に帰って来ても一人ではいられないということで、松前の伯父の家でしばらく面倒をみてもらうことになった。
入院の間に衰えたのは運動機能だけでなく、認知症も進んだ。もともと脳梗塞の後遺症で反応は鈍かったけど、今度はすっかりボケ老人になってしまった。特に、療養型病棟に移ってから、認知症の進行が目に見えて分かるので怖かった。病室には常時介護師らしきスタッフがいるようだが、患者の相手をする訳ではなく、危険なことや周りに迷惑になる行為をしないように監視しているだけ。まるで刑務所のようなところだった。といっても、刑務所に入ったことはないけれど。
そんな環境に数ヶ月いたものだから、グランマの認知症は進み、このまま寝たきりになってしまうのかと心配していたところ、退院を意識するようになってからはリハビリへの意欲が高まり、ほぼ自分で着替えができるようになり、トイレも一人で済ませられるようになった。面会へ行くとよく名前を間違えられるけれど、退院という目標ができてからは、頭がしっかりして来た。
そして、退院の日に伯父が迎えに来た。まだ病院で呼吸器に繋がれているときに、米寿のお祝いをして欲しいと話していたが、ちゃんと88歳の誕生日を迎えることができた。そんなわけで、松前まで顔を見に行くのも兼ねてお祝いへ行って来た。
お祝いなので、プレゼントを持って行こうと思っていたけど、なかなかいいものが思い付かない。日頃退屈しているそうなので、以前は夜の間よく聞いていたラジオがいいだろうとなり、午前中街まで出かけて買い物。店で防災ラジオとして売っているものを発見した。手巻きで充電できるらしく、ライトが付いていたり、携帯電話の充電ができたりと、何かと便利そうだ。特に、この手巻きはグランマの運動になって良さそうだ。ラジオが聞きたければハンドルを回さなければいけないと思えば、きっとがんばるだろう。
買い物の後、ちょっとべすもさん家へ寄り道。先週miniDVテープから取り込んだはずの動画がHDDに入ってなかったらしく、自分のポータブルHDDにコピーして持って行った。残りの作業を任せていよいよ松前へ出発する。
途中通った、青々と木が生い茂る夏のばんけいの光景は新鮮だった。いつもは冬景色、特に夜ばかりなので、全く別の場所のように感じる。ロードバイクでも乗ってれば、道は狭いけど案外楽しいのかな。
中山峠を越えて、13時ころ喜茂別で昼食をとる。久しぶりに味の三喜のチャーメンを食べて、舌を軽く火傷した。
喜茂別から豊浦へ抜けて、そこから八雲まで高速道路に乗る。江差へ17時までに着かなきゃいけなかったので、温泉には寄らずに乙部の道の駅まで走り続けた。
近くにスラックラインで遊べるところがないか江差まで探しながら走ってみたけど、札幌のようには公園が見つからないのであきらめた。
米寿のお祝いは江差のぽんてという回転寿司の店で行われた。再会したグランマはとても嬉しそうだ。みんなに祝ってもらい、嬉しさに涙をこぼしていた。グランマがこんな風に喜ぶのも珍しい。ただ、料理が不味かった。港町の江差にある回転寿司屋とは思えないネタ。刺身は冷凍ばかりなのかスポンジみたいだ。さすがに値段は安かったようだけど、期待とのギャップが大きすぎた。
江差から伯父の家までは車で1時間弱さらにかかる。日本海に沈む夕陽を見ながらのドライブは気持ちいい。地元に人にとっては見慣れたただの夕陽なのだろうけど、何度も車を停めて撮影したい衝動に駆られた。でも、車の窓から無理矢理撮って我慢。
ようやく到着して荷物を降ろし、居間でしばらくグランマを囲んで話す。防災ラジオをプレゼントしたけど、衝撃の事実が発覚。実はラジオが入らないらしい。電波が悪いそうだ。まさかのラジオさえ受信できない僻地だった。
しかも、グランマにハンドルを回してもらったけど、回転が遅くてランプが灯らず充電には不十分らしいことも分かる。いろいろ甘かった。すっかりネタで終わってしまった。悔しいのでiPhoneを繋げてみると、一応充電できることが確認できた。ただし、2分くらい回し続けてようやく1%充電できるくらい。電気が何もない状況では重宝するので、山へ持って行くと面白いとは思うけど、如何せん大きすぎる。
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グランマが寝たので、ちょっと撮影に行ってみることにした。この日は7月7日、晴れ。一応、暦の上では七夕だ。田舎で灯りも少ないので、夜空は星がいっぱいできれいだった気がする。そこで、以前、グランマを連れて流星群を見に行ったパークゴルフ場まで、今度は従姉の息子を連れて出かけた。
国道からの道を登り、街灯がなくなって暗さに目が慣れて来ると、頭上にたくさんの星が現れて来る。といっても、星座とかほとんど知らないので、北斗七星と北極星が進行方向に浮かんでいるくらいしか分からない。七夕と言えば天の川だ。とりあえず、南の方にあるはずだったと思って振り返ると、東から西の方へ空がずっと明るい。
それもそのはず。水平線には漁り火がびっしりと並び、海岸には松前かどこかの街灯りもある。東の方には函館があるから明るいのだろうか?そう思いながら歩いているうちに、東の方から円くて明るい月が登って来た。
七夕だからきれいに星が見えるという先入観を持っていたので、月齢を調べずに来たのが失敗だった。空が明るすぎて天の川どころではない。とはいえ、仕方ないので、天の川がありそうな方角で何枚か微速度撮影を試みた。撮影していると、ママンから電話が入る。どこへ行ったのか?熊が出るから帰って来いという電話だった。何やら、以前この辺りで熊が出たことがあるらしい。小さい子を連れているし、撮影もパッとしないので帰ることにした。
運転の疲れもあるので、家に戻ると23時前には布団に入って寝た。そして、翌朝、天気がどうなるか調べてなかったけど、窓から外を眺める限り、天気は良くなりそうだった。
自分たちを出迎えた朝食は予想通り浜の朝食。漁が出てなかったけど、釣り上げたばかりのをもらって来てくれたので、早速イカ刺し祭りだった。浜でしか味わえない新鮮さ。
食べ終わって一服してから、パークゴルフへ行くことになった。一応、スラックラインも持って行く。はじめはグランマに付いているつもりだったけど、スラックラインに使う木を探していると、一緒にプレーするように言われて仲間に加わった。
今年初めてのパークゴルフは、そこそこのスコアで回れただろう。スコアを記録してないからよく分からないけど。とりあえず2コース回ったので、ホールとホールとの間の芝生に桜の木が6mくらいの間隔で生えていたので、そこにスラックラインを張ってみた。
お手本というわけではないけど、どうやって乗るのか簡単に説明した後、伯父、従姉、従姉の旦那と息子が加わって綱渡りで遊んだ。いつものように大人は脚の揺れにビビってほとんど何もできない。一方、子どもは体重が軽いからなのか、大して揺れずに乗れて、すっかりスラックラインが気に入ってしまったようだ。それでも、早足でなんとか5歩歩けたくらいだけど。
昼前まで遊んでから、今度は海へ。誘われたので付いて行ってみたけど、せっかく借りた海パンもほとんど意味なし。岩場までは何とか水の中を歩いていったけど、水が冷たいし足が付かないところは怖くて、結局岩の上でボーッと潮風に吹かれていた。これでも満足なので、昼食を食べたら家に戻った。
風呂に入ると、シャンプーがたまたまトニックシャンプーとかいうもので、地肌がスースーして気持ちよかった。「これは!?」と思って、ついでにチン毛もトニックシャンプーで洗ってみると、予想通り玉袋がスースーした。汗で股間に不快感を持っている人は、一度試してみるといいかもしれない。
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玉袋がスースーして気持ちいいからなのか、2階の部屋へ上がると窓から涼しい風が吹いて来きて、家から持って来た鬼物語を読んでいる間に、いつのまにか昼寝してしまった。
起してもらうと夕食だった。何とも優雅な休日。新鮮な海の幸を食いまくって腹一杯。知り合いが持って来てくれたらしいホヤが新鮮で美味かった。やはり地元はちがう。こうして食べていると、わざわざ札幌で高い金を払って食べる気がなくなる。何年に1回でもこうやって食べれれば。
ビールも飲んで食べすぎでボーッとしていたけど、従姉の息子がスラックラインをやりたがって聞かないので、漁港の方まで散歩して、ラインを張れそうな場所を探してみた。すると、「浜ブラ」という港にある手作りのブランコの支柱の木の間に張れば、ブランコを上に避けて、なんとか遊べそうだった。そこで、従姉とその息子と3人で出かける。
無理矢理ラインを張ってはみたものの、短く張れるギリギリくらいに短い。試しに乗ってみると揺れはほとんどないけど遊びがないのでかえって難しい。運動に自信があった従姉も想像を絶する脚の揺れに音を上げていた。
宿題が残っているので30分ほどで終了。ラインを片付けて部屋に戻る。星空の撮影はできなかったけど、せっかく窓から海に浮かぶ漁り火が見えるので、屋根へ登って三脚を立てて微速度撮影をすることにした。アンヌプリでビバークしたときとちがって、今度はちゃんと純正のリモートタイマーコントローラーを持って来ている。これを使って連写しないでインターバル撮影すると、プレビューが表示されるので切っておく。面倒なのでカメラは放置して寝た。
翌朝早く、伯父に起される。「雨降ってるぞ。カメラ大丈夫か?」屋根の上にあるカメラを見つけた伯父が心配していた。寝ぼけたまま慌てて窓から屋根に飛び出して、まだ撮影を続けていたカメラと三脚を部屋の中へ取り込む。雨は小雨だったけど、レンズはすっかり濡れていた。果たしてどこまで撮れたのか。プレビューすると、案外まともに撮れてるようだった。
朝食は再びイカ刺し祭り。札幌まで運転して帰らなきゃいけないのでビールクズはお預け。食後、グランマたちは病院へ行ったので、近くをちょっとぶらっとする。
部屋でのんびり鬼物語を読む。読み終えて少しして帰って来たので、グランマが好きだというカレーライスをみんなで食べた。そりゃあ、毎日海の幸ばかり食べてたら、どんなに新鮮で美味くても飽きるだろう。
13時前に出発。江差で羊羹を買い、ママンが間違えて持って来てしまったグランマの保険証などを郵便局から速達で送り返した。途中、銀婚湯へ寄ったけど日帰り入浴の定休日。仕方なく向かいの清龍園へ行ってみた。これが初めて。お湯は熱くて日焼けがビリビリしたけど、いいお湯だった。
落部ICから豊浦ICまで高速道路で走る。平日だったの忘れてて、料金高くてちょっと焦った。豊浦からは来るときと同じく内陸へ入り、中山峠を越えて帰った。晩飯の用意は面倒なので、カラバトでパキスタンカレーを食べる。2食連続カレーというのもイカ刺し祭りの反動だろうか。また何度かグランマの顔を見に行こうということだけど、さすがに片道300kmは遠い。
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コメント
ばーちゃんにプレセント、イイ話だなぁと思ったのにトニックシャンプーのところでがっかりでしたわ(笑)
自分の祖父も最後のほうはボケちゃって悲しかったの思い出したよ。もっと会いに行けばよかった。
投稿: Asa | 2012年7月23日 (月) 01時23分
>Asaさん
トニックシャンプーは機会があったら試してみてくださいね!
場合によってはあと10年もしないうちに
自分の両親もどうなるか分からないと思うと
家族を大事にしようという気持ちに自然となりますね。
伝えたいことは話せるうちに伝えておかねば。
投稿: H本 | 2012年7月23日 (月) 12時53分