12/9/29 ロンリーライン
天気予報がはずれて雨が降らず、じーちゃんも死んでしまったので、気分転換に近くの公園へスラックラインをやりに行った。
この公園へ来たのはかれこれ2ヵ月前。そのときはアンカーの木のそばにアリの巣があって大変だったけど、この日はもうすっかり大人しくなっていた。
この公園を選んだのは近いからだけじゃなく、20ギボン(10m)以上の長さで張れるのを覚えていたから。本家Asaキャンプで長く張ってギボンギボンした方が楽しいことに気づいて、いつもより高めで強めに張った。計ると22ギボンだった。
公園には水飲み場はあるけどトイレがない。でも、トリトンがすぐそばで、すし酢のいい香りが風に乗って届く。
長く張ると何が楽しいかというと、前にも書いたけど、パウダーを滑っているときのような浮遊感を感じられるからだ。ラインの中央に乗ってラインを上下に大きく揺らすと、パウダーでの沈み込みと浮き上がりにとても似た感覚が得られる。欲を言えば、ターンのときの遠心力というか向心力というか、戻って来る感覚も楽しみたいので、本当は外側へ向かって踏み込みたいけど、まだ上下に揺らすのでも精一杯だ。それでも十分に楽しい。
もちろん、パウダーライドは上下動だけじゃなくてフォールラインへ滑り降りるスピード感も味わうものだから、その点は抜けている。とはいえ、雪上以外でそのスピード感を得るために、例えばMTBなんかに乗ろうものなら、シーズンインを前にしてシーズンが終わるリスクと常に戦わなくてはいけないので、そこは脳内ARパウダーランで我慢する。
幸か不幸か、まあ、身内に不幸があったわけだけど、この日は一人。そんなわけで、休憩時に無駄にツイート多めで3時間くらいがんばった。その間、公園のそばの道路を何人か歩いて通りすぎて行くのだけど、視線がびみょうに気になる。この視線はスラックラインをしてるからなのか、それともスピーカーでアニソンをかけてるからなのか。一人でスラックラインは久しぶりだったので、ちょっといつもより神経質になっていたのかもしれない。
そんなとき、待ってましたとばかりに幼女たちが現れた。どっかの飼い猫を追いかけていて公園に迷い込んだようだ。心はウキウキしてるけど顔に出すと怪しすぎるので、顔がニヤケそうになるのを必死にこらえてスラックラインに集中した。
すると、期待通り年長さんの幼女が「何やってるの?」って声をかけて来た。最近は躾が厳しそうなので、公園で知らない人から声をかけられたら、近頃の子供はどんな反応するか分からない。ところが、公園でスラックラインをやってる知らないおっさんには、幼女から声をかけてくれる。このことは決してロリコンの犯罪予備軍に知られてはいけない事実だ。
4人の幼女は追いかけていた猫のことも忘れたようにスラックラインに興味津々だ。けれど、この日は練習のためにラインを高めに張ってあった。さすがに幼女には高すぎて危ない。何度もラインを張り直そうかと考えたけど、危ないからと涙ながらにロリラインを断った。
ロリラインし損なったことをしばらく後悔しながら遊んでいたら、幼女たちがまたやって来た。ラインに近づいて来たから注意すると、お母さんたちも一緒だったので軽くあいさつ。まあ、同世代なんだけど。
母親に連れられて幼女たちが去った公園には、急に静けさが訪れた。スピーカーから流れているはずのアニソンすら耳に入らない。夜の帳が降りて来て、寂しさがより一層増したような気がした。
寂しさに耐えられなくなって、スラックラインを撤収し、家に帰ろうと顔を上げると、空の雲はうっすらと桃色に染まっている。夕焼けがきれいになりそうだ。自宅へデジイチを取りに寄るか迷ったけど、タイミングを逃してはもったいないので、そのままの格好で豊平川の河川敷へ向かった。その手前の坂から藻岩山を見上げると、山際が黄色く輝き始めた。
美しさに見とれて、自転車から降りてその場でしばらく空を眺めていた。黄色からだんだんと赤色が強くなり、最後は桃色から空にとけ込むように夕焼けが終わった。きっと、寂しさに沈んでいた自分への幼女たちからの贈り物だったのだろう。ありがとう。今度は一緒に遊ぼうね。
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