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もし今も生きていたら何を描くだろうか

いわさきちひろ〜27歳の旅立ち〜のラストの問いかけがずっしりと重かった。

子どもの頃から絵本やカレンダー、教科書などを通して、特に意識せずに自分の身近にあったいわさきちひろの絵。クラシック音楽を耳にするように、ちひろが描いた子どもたちの絵は誰もがどこかで目にしていることだろう。

ちひろの人生を描いたドキュメンタリーが制作されたと聞いて以前から興味を持っていた。ちょうど札幌での上映が始まる頃、映画へ誘ってもらったので久しぶりにシアターキノへ出かけた。

4年前安曇野ちひろ美術館へは行ったことがあるけれど、そのときは時間がなくて展示をじっくりと見ることができず、残念ながらあまり記憶にない。実際、映画を観て初めてちひろの壮絶な人生を知ったような気がした。

ちひろ美術館
美術館はがあるのは山並みが間近に見えるきれいな場所だった。

とても印象的だったのは、いくつかの挫折を乗り越えながら持ち続けた、絵を描くこと、子どもを描くことへの強い思いだった。病に倒れ、病床で筆を握る指に力がなくなるまで子どもを描いていたそうだ。ちひろの息子、日本の子ども、世界中の子どもを大切に思う気持ちがそうさせたのだろう。

自分自身、二次元を含めて子どもが、特に幼女から中二女子までが大好きなので、ちひろの気持ちがよく分かるような気がする。だからこそ、映画のラストに流れた、「もしちひろが今も生きていたら、何を思い何を描くか」という問いかけがずっしりと重く感じた。

ちひろが亡くなる直前に完成させた「戦火のなかの子どもたち」は、当時のベトナム戦争で苦しむ子どもたちを憂えて、若者へ向けた反戦のメッセージを込めた絵本だった。

今の日本は戦場にこそなっていないが、大人たちの勝手な都合による様々な困難に子どもたちは苦しめられ、中二病などの新たな病にも蝕まれている。そんな現代の子どもたちをちひろが見たなら、いったい何を思い何を描くのか。

少しの間考えてみたけれど、テーマこそ変わっても、元気に生きている子どもを描くんじゃないかと思った。きっと子どもたちの瞳は変わっていない。むしろ、変わってしまったのは大人の方だろう。

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