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「ネットツアー」が叩かれる可能性

シンポジウムで三段山クラブの大西さんが「ネットとスキーツアーの可能性」について講演するらしいので、久しぶりに北大まで出かけて来た。

夜から雨になるという天気予報を見て見ぬ振りして、運動不足解消を狙って北大まで激チャリした。会場で大西さんや藻ーリスさんたちに会ったけど、スクリーンが遠いと見えづらくて嫌なので、いつも通り前の方に一人で座った。

シンポジウムの最初の講演は、元芳賀スキー社長。子どもの頃は自分でも芳賀スキーに乗っていたし、確か、グローブも芳賀スキーブランドを使っていた気がするので懐かしい。「スキーはスキーだ。板ではない。」というようなことを話していたのが印象に残った。

確かに、今は「スキーの板」という表現をよく使うけど、スキーはskiだ。でも、これっておそらくスノーボードがスキーと同じくらい普及して、両方の道具を表現するのに適当だったのが「板」だったんじゃないだろうか。その証拠に、痛板は、痛スキーと痛スノーボードの両方を指す。そればかりか、他の雪の上を滑る道具では痛スノースクート。さらに、痛板は雪上に収まらず、痛サーフボードまで含めて痛板と呼んでいるようだ。

ここら辺の大きな時代の変化には、会場にたくさん集まっていた山スキー部や山岳部、ワンゲルなどの年配のOBたちには、きっと付いて行くのが大変なんじゃないかと思った。芳賀さん以外にも、今でも山に若者が滑りに来ていることを知って喜んでいる人がいたけれど、きっと当時の「山スキー」とはかなり様子がちがうと思う。

今回のテーマの一つだった山小屋を利用したオートルートというのも、スキーからバックカントリーへ入った自分には考えてもみなかったことだった。そもそも、山スキー部の無意根スキーツアーに参加したときに無意根小屋へ泊まった以外、一度も山小屋を利用したことがない。昔とちがって車でのアプローチが楽になり、滑ることが雪山へ入る目的になってる。山小屋でみんなで飲んで歌うことを楽しみに山へ行くという人は、バックカントリーで滑ってる人の中にはほとんどいないんじゃないだろうか。

年明けに札幌周辺に現存する山小屋をつないだオートルートを実施する計画は、年配の人たちには魅力的なのかもしれないけど、そんなに興味は引かれなかった。だいたい、何日も山に入っていたらアニメが観れない。新谷さんのシーカヤックツアーにも行けそうにない。そんなわけで、自分たちアニメ世代と年配の山スキーヤーさんたちとのギャップを埋めるのはなかなか難しいだろうと思った。

けれど、むしろ、自分たちの雪山の滑り方にこそ危険が潜んでいるということを、大西さんが講演の中で分かりやすく指摘してくれた。それは、バックカントリーでは一般的な未組織のグループが滑る際の問題。

紹介される粉雪食人

なかでも最近、冬山の単独行が急増しているそうだ。先シーズンは自分でも初めて単独でバックカントリーへ滑りに行った。といってもミクが一緒なので厳密には単独ではないのだけど。

ミク登場!

ともかく、その単独行の急増に一定の歯止めがかかるのではないかと期待されるのが「ネットツアー」らしい。手っ取り早く単独行を避けるには痛板だとは思うけど、若者を中心に、ネットで知り合ったメンバー同士でバックカントリーへ滑りに行く「ネットツアー」が有効ではないかということのようだ。

「ネットツアー」以外でも、いつもというわけではないけれど、 確かに自分自身、昨シーズンは初対面で一緒に滑るということも少なくなかった。聞いていると耳が痛いことばかりなんだけど、そんな山行について厳しい指摘がいくつかあった。

遭難したときに救助を求める場合、最低限、登山計画書を書ける程度にメンバーの個人情報を把握しておくこと。そうでなければ、遭難対策協議会?は救助に出れないらしい。「BC初痛板オフ(オフピステミーティング)」だなんてノリでやってたのは、もし心配通りに何かあったら相当痛いニュースになって叩かれまくること間違いなしだった。

しかも、メディアは「ネット登山」という言葉まで用意して、こちらが面白い事故を起すのを待ち構えているようだ。今後「ネットツアー」で事故が起きれば、すでに事故が報道されている「ネット登山」と同じようにきっと叩かれる。ただ、叩かれるかどうかはともかく、事故のリスクを下げるのはどんなツアーでも考えなきゃいけないことだ。

実は、こうした「ネットツアー」のリスクを下げることが、実はバフンを開催する目的の一つだ。つまり、初対面によるリスクをツアー前に会って話しておくことで解消するということだ。言い換えると、初対面だと叩かれるから事前にお友達になっておこうということかもしれない。Facebookだったらクリック一つで友達になれるし、当日の朝初めて会うよりはいいだろう。

ビデオコラボレーションの例

そもそもバックカントリーにはナルシスで目立ちたがりな人が少なくないと思う。そんな人たちは10年以上も前からネット上でいろいろな情報を発信していた。テキスト、写真、動画など、お互いにそれらを読んだり見たりして興味を持ち、機会があれば一緒に滑ってみたいと思う人も少なくはないだろう。そういう思いを持つ人たち同士が出会う機会があればいいと思って始めたのがバフン(元バンフ)だった。

思い返せば、飲み会の名前をノリで「ban.K Mountain Film Festival in Japan」と決めたから「ビデオコラボレーションの披露の場」として紹介されるような上映会の体裁になっただけで、みんなで交流したいという思いは初めから変わらない。それがなかなか上手くいかないのは主催者の力不足。リア充BCスキーヤー、ボーダー、テレマーカーのみなさんのコンパで鍛えたコミュニケーション能力を遺憾なく発揮して盛り上げてください。とはいえ、「ネットツアー」と同じく人数コントロール失敗してまさかのキャンセル待ちという状況で、もうなんかいっそみんなで楽しんでもらって家で一人アニメ観ていたいくらいビビってる。

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