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人生フルーツ

ゴールデンウィークに久しぶりに映画を観た。ちょうどその頃、ムチウチで運動は無理だったので。

まどマギくらいしか映画を観に行っていなかったので、かれこれ3年半ぶりの映画館。しかも、シアターキノへ来たのは人生初デートでいわさきちひろの映画を観て以来なので4年半ぶりになる。

人生フルーツのことは、たまたまFBのタイムラインで見かけて知っていた。ちょうどmsrnが観てみたいと話していて、道新にも記事が載っていたのを見せてもらった。

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「雑木林に囲まれた平屋で暮らす建築家」のドキュメンタリー」と聞いて興味を引かれた。鷹栖にそんなテレマーカーがいなかったっけ?w

高齢者夫婦のスローライフということで、観客も高齢の女性が多いらしいけど、予告編を観ると、ますます本編を観てみたくなった。DVDにはならないそうなので、早速、映画館へ観に行くことにする。

ところが、かなり評判が良いようで、上映期間を延長していたにも関わらず、5/2に映画館へ行ったけど満席であきらめ、5/6にもう一度、整理券配布前に並んでチケットを購入して、ようやく観ることができた。

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津端夫妻が作った雑木林は、雑木林といっても、甘夏やカボスといった柑橘類や柿、さくらんぼなどに加えて、梅、イチジク、栗、竹など様々な果樹も含まれている。畑ではなんと70種の野菜が育てられているそうだ。想像以上にかなり自給率が高い「スローライフ」だった。畑の土を作るのもコンポストで堆肥を作っている。雑木林の枯葉が堆肥の原料にもなり、土をよくする。以前、グランマが枯葉を集めてビニールのゴミ袋に詰めて捨てるのに違和感があったので、二人の生活を見ていると、これが本来の姿なのだろうと納得した。

畑で自分たちで育てた作物で食事を作ると安心だ。二人合わせて177歳という高齢にもかかわらず、元気に畑仕事をこなしている。それが健康にもつながっているのだろう。劇中では何も触れられなかったけれど、二人は怪我や病気もしていないのだろうか。とにかく健康そうだ。おそらく冬の寒い時期なのだろうけど、屋内にもかかわらずすごい厚着をしていたのを見て、もしかしたら寒さに耐えることも長生きと健康に関係があるのだろうかと思ってしまった。

お互いを信頼して仲よく幸せそうに暮らす様子はとても羨ましいものだ。ただ、「老後」の生活に焦点が当てられているように感じてしまい、観客にシニア層が多いのもうなずける。高蔵寺ニュータウンの挫折後に取り組んだ雑木林の復元だけではなく、津端修一さんの建築家としての仕事がどのようであったか、どのように変わったのかについて映画ではほとんど触れられなかったので、その部分が気になる。スローライフに憧れる人は少なくないと思うけれど、それを実現するにはそれなりの環境が必要だ。

それに、「雑木林」だけではなく住宅の方にも興味があった。彼の師であるアントニン・レーモンドの自邸に倣って建てた家だけに、スローライフと住まい方との関わりをもう少し知りたかった。たまたま7、8年くらい前に札幌聖ミカエル教会を見学に行ったことがあったというのも理由の一つではある。

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けれど、やはり幸せな生活をもたらす住宅の役割が何かあるはずだ。母屋は築40年の30畳一間だが、子供部屋と思われる離れが増築された形跡もある。別棟で作業小屋もある。「雑木林」の成長のように家も家族とともに変化したはずなので、その様子を知りたい。

見事に「ピンピンコロリ」を実現した修一さんだが、遺された英子さんは果たしてこれからどのように暮らして行くのだろうか。台風で被害を受けた雑木林の選定を業者に依頼していたように、二人で助け合っていたときと同じようにはもう生活できない。夫婦で幸せに暮らす「老後」のさらに後、一人遺されたときの英子さんの不安は、観客に圧倒的に多かったというシニア世代の女性と共有するものなのかもしれない。

タイトルの「人生フルーツ」は、津端さん夫婦が老いて実った幸せな生活を指してのようで、とても素敵なところだ。一方、自分が将来家を建てようと思っている雑木林は、半世紀以上放置されていたところだ。

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まさに雑木林なのだけど、そのおかげで、フルーツこそ実らないが、春にはタラの芽やウドなどが2人分くらいは採れる。アクが強くてお腹をこわすこともあるけれど精がつく山菜。自分の生活に名付けるなら「人生山菜」が相応しいかもしれない。

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夫婦の仲はともかく、自宅を建てるにあたっての大きな参考になったような気はするけど、果たしてどうなることやら。

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