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ジャスミン・アラカワ・アメリカン・フォーラム

今年もJasminの演奏を聴きに行った。

去年、久しぶりに聴いたJasminの演奏が素晴らしくてまた聴きたいと思っていたら、今年も演奏してくれるということで、あやちゃんも誘って聴きに行った。

Jasminusa

今回は音楽留学を検討している学生向けのイベントという趣旨のようで、2日間のプログラムには、演奏以外にプレゼンテーションや演奏指導、パネルディスカッションも行われ、きっと自分も学生なら興味を持つだろう内容だった。もちろん、楽譜も読めないので演奏指導を受けたりはしないけど、コンサートの方は2日通しでチケットを買った。1日で2,000円、2日で3,000円なら、2日聴いた方がお得な気がするし、1日目の会場である豊平館も2日目の奥井理ギャラリーへも行ったことがなかったので、ついでに見てみたかった。

1日目はあやちゃんと豊平館で待ち合わせたけれど、札幌駅から豊平館までチャリで行くのに予想以上に時間がかかった。開演前におやつを食べる時間はあったけれど、豊平館を見るような時間の余裕は全然なく、そもそも見学は17時で終わっていた。

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裏側の管理棟を通り抜けて2階のホールへ向かう。明治政府が建てたホテルで皇族の宿泊所だけあって豪華な建物だ。こんな場所で演奏を生で聴けるなんて贅沢に感じる。

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1日目は演奏の前に、「アメリカ音楽留学への誘い」というタイトルのプレゼンテーション。音楽留学を考えている学生は観客の1割以下という状況だったけれど、Jasminが実際にアメリカへ音楽留学した人たちへのインタビューを紹介しながら説明してくれるので、アメリカの音楽教育や日本との違いなどがよく理解できた。

イントロでJasmin自身の紹介として、アメリカ留学へ至った経緯とその後の留学生活について説明してくれた。より詳しくはハイメスのホームページで紹介されているそうだ。

Jasminの話を聴いていて印象に残ったのは、日本とアメリカの教育の大きなちがいだった。Jasminは日本の音大で行き詰まりを感じたそうだ。音楽を専攻して大学を卒業したけれど、演奏が楽しくない。そんなとき、ハイメスの奨学金でサマースクールへ参加して衝撃を受けた。アメリカの学生は自分よりもずっと演奏が下手でも、とても楽しく演奏していて、音楽について熱く語るのだそうだ。そして、アメリカへ留学したJasmin。彼女がアメリカにおけるリベラルアーツとしての音楽教育を紹介してくれた。

アメリカには日本の音大に相当する音楽院と総合大学に設置された音楽科に大きく分かれているそうだ。Jasminが留学したのは後者。インタビューではそれぞれの卒業生、中には両方の卒業生のコメントも紹介されていた。詳細はともかく、感じたことは、音楽に限らず、アメリカと日本とでは学問、教育への考え方がまったくちがうということだ。

日本では常にいい成績を取ることを期待され、目的にされる。楽しむことが勉強の目的になることはまずない。まあ、自分は楽しんで勉強してるうちに食えなくなっていたけどw

また話が逸れてしまったけど、プレゼンが終わると休憩を挟んでいよいよ演奏で、マシンガントークの後の演奏で大丈夫かちょっと心配だった。ところが、そんなこちらの心配を気にもかけず、相変わらずの鬼がかった演奏を披露してくれた。床が厚い絨毯のせいか、ピアノの揺れがすごい。ホールの音響も演奏向きとは思えないけれど、アメリカに因んだラプソディ・イン・ブルーのピアノソロバージョンの演奏は凄まじかった。もともとオーケストラの曲のため、弾くのも忙しいらしい。全身で大きく動いて鍵盤の上を指先が激しく踊っていた。

余韻に浸っていて次の曲の印象が薄いのだけど、最後にJasminの旦那のRudolfのインパクトがデカい。ヘンテコな形の弦楽器を持って登場したかと思ったら、なんとオリジナルの楽器らしい。ヴィオラとヴァイオリンを教える彼は、両方を持ち歩くのが重くて邪魔で、それなら1つにまとめてしまおうと、ヴァイオリンメーカーと共同でヴィオラにヴァイオリンの音を出せる弦を1本加えて、5弦ヴィオラを6年かけて開発してしまったそうだ。しかも、その5弦ヴィオラのための曲なんて当然ないものだから、自分で作曲までしてしまったという自由で多彩な音楽家だった。Jasminの旦那らしいw 曲も演奏もとても楽しそうで、Jasminが紹介してくれたアメリカの音楽を象徴してるかのようだった。

演奏の後は翌日もコンサートへ来るので、忙しそうなJasminに挨拶しないであやちゃんとまっすぐ近くの居酒屋へ行った。衝撃の告白を受けるも、ともかく、いい演奏を聴いて食べて飲んで楽しい夜だった。

翌日はパネルディスカッションを聴くのやめて、コンサートから聴くことにした。ママンと一緒に食事をしてから、休憩直前に会場のギャラリーへ入った。

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ほどなく休憩に入ったので、アイスコーヒーとお菓子をもらってからJasminに挨拶する。アメリカの大学の助教授になったJasminから「はかせ」と呼ばれるのがとても滑稽に思えるけれど、10年前と同じようにこうして話せるのが嬉しい。

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休憩時間が終わってコンサートが始まった。2日目は基本的には西谷さんとRudolfの弦楽器の演奏。最後だけJasminがピアノで加わる。2曲目でRudolfが5弦ヴィオラ用に編曲したバッハのシャコンヌ BWV1004がなんとも凄い。5弦の音の広がりが曲に不思議な厚みを与えているように感じる。

Rudolfの兄弟も変わり者のようで、一番上のお兄さんはその昔、老師の本を手にイリノイ?からアラスカまで自転車で旅をしたそうだ。旅から帰ったお兄さんがその本をRudolfに託したことにちなんで作った曲が5弦ヴィオラで披露された。それにしても、3人が演奏している姿がとても楽しそうだったのが印象的だった。途中、花火大会のような大きな音が立て続けに外で鳴り響くハプニングはあったものの、会場はすぐにまた演奏に引き込まれた。

最後にアンコールで2日間に渡るイベントをJasminが締めくくった。RudolfのCDを買ってサインをしてもらってから、Jasminの来年の演奏への期待を伝えて別れた。今年も素晴らしい演奏をありがとう。

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