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Granted Film Festival

5月のFISHPEOPLEに続いて、またパタゴニアの上映会へ行ってきた。

今回はグランテッド・フィルム・フェスティバルという意識高い系の環境保護などを描いたドキュメンタリー作品の上映会。上映に加えて、北海道の環境保護活動の紹介として、サンル川を守る会の発表もあったので、上映会を楽しみにしていた。今回もただ飯だしw

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作品自体はすでにネットで公開されている。この日上映されたのは2作品。「シー・オブ・ミラクルズ(奇跡の海)」と「ほたるの川のまもりびと」。どちらも日本が舞台の作品で、シー・オブ・ミラクルズは、上関原発建設反対の活動について。

実は、上関原発の名前を聞いてもパッと分からなかったのだけど、「祝島」が出てきてようやく思い出した。伯父から知人のカメラマンが移住したと聞いていたし、「祝の島」という映画もあったのをなんとなく覚えていた。舞台はそういう土地だった。

シー・オブ・ミラクルズの冒頭で、交付金で建てられた立派な温泉施設が登場したのを見たとき、20年近く前に大学の学科の見学会でとまりん館を見学したときの驚きと違和感を思い出した。どれだけの人が利用するかも分からない、温水プールまで備えた異様に立派な施設だった。金で住民の弱い心につけ込んで、建設反対の声を抑え込み、交付金漬けにしてしまう。そんな原発行政の被害が繰り返されるのを許さず、田ノ浦の住民たちが協力して地域を守る戦いを続けていた。田ノ浦の生きものを調査することで原発建設を食い止めている高島美登里さんを見て、原子力ムラの御用学者とは対照的に、科学にはこういう戦い方もあるのだと感動。

2作目の「ほたるの川のまもりびと」はダム建設反対のドキュメンタリー。

反対運動を行う住民を力ずくで排除する機動隊の姿が印象的だった。国民によって与えられた国家権力が暴走する恐ろしさ。

二風谷ダムに関心があって調べていたことがあった。二風谷はアイヌの聖地であり、先住民の権利の問題でもある。今や二風谷ダムは砂で埋まりつつあり、さらに上流に平取ダムを作っている。ダムが治水にあまり効果がないことが明らかになってきている中で、この作品に登場する石木ダムと同じように、平取ダム、そして、最後の講演で紹介されたサンル川に作られているサンルダムも、まさに利権のために自然環境や地域のコミュニティ、文化を破壊する。

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作品を2本見終わった後の憂鬱な気分をサクラマスへの愛が溢れる講演が吹き飛ばしてくれた。

サクラマスとは実は縁がある。釣りもしないし川遊びもしないのだけど、たまたま通っていた小学校でサクラマスの放流を行っていた。廊下にある大きな水槽にはサクラマスの稚魚が育てられていて、時期は忘れたけれど、担任に連れられて近くの川へ行き、バケツに入った稚魚を川に流したことを覚えている。

当時もそうだけど、実はサクラマスの生態をよく知らなかった。先シーズン、スキーの帰りに車の中でたまたまあやちゃんとサクラマスの話になり、ヤマメとサクラマスが実は同じ魚だということは、そのときググって知った。海へ降りるのがサクラマスで、川に留まるのがヤマメだと。同じく、チップ(ヒメマス)も降海するのがベニザケだ。つまり、ヤマメやチップはヒキニートなのだ。社会(大海)へ出ずに川や湖でグダグダしているヤツという意味でw

ところが、ヒキニートと呼ばれると役立たずのように感じるが、決してヤマメは役立たずなどではなかった。なんと、遡上してきたサクラマスのメスが産卵するときに、サクラマスと一緒にヤマメはちゃっかり卵に精子を振りかけるのだそうだ。そもそも同じ種なので、生まれた子供たちの6割が海へ行くことになる。ヒキニートの子供が全部ヒキニートになるわけではない。

天候などの影響で万一、遡上するサクラマスのオスが少なかったとしても、ヒキニートのヤマメが川に引きこもっているおかげで、サクラマスのメスはちゃんと子孫を残すことができるというわけだ。ヒキニートがサクラマスの生存戦略上、重要な役割を担っていると知って感動してしまった。やっぱり、働いたら負けかなw

ヒキニートのことはともかく、サンル川はサクラマスの観察にいい場所のようだ。ところが、なんとサンルダムは今年完成して、サンル川の多くがダム湖の下に沈み、遡上のために作られた魚道のみがサクラマスにとって上流への残された道となる。話を聞いてサンル川へ行ってみたいと思っただけにがっかりだ。

鳩山内閣が成立したときにダム行政はもしかしたら変わるかと思ったけれど、結局、変わらなかった。自公政権に戻った今や、建設計画が中止になることは考えられない。九州の豪雨の被害を受けて流木対策を行うそうなので、これからもダム以外にも川が人工的に改変されていくのだろう。流木対策は林業振興で対応すべきなのに。

上映会の翌日、NHKの「北海道クローズアップ」では、釧路湿原が天然のダムの役割を果たして、昨年の大雨の被害から守ったと伝えていた。開発で消滅が進んでいた湿原も、川を元のように蛇行させることで減少を食い止めることができたそうだ。どうせ公共事業をするなら、こういう事業をしたらいい。ダムを作るんじゃなく、ダムを撤去するとか。

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