テレマークにリーシュは要るのか?
スノボもそうだけど、アルペンスキーとちがって滑走中に解放しない道具にリーシュ(流れ止めの紐)なんて必要なのか?
アルペンスキーには怪我を防ぐためにビンディングに力がかかると滑走中でも板が外れる機能がある。解放までの閾値を調整することができて、体重が重かったり脚力が強かったり、弱い力で外れて困る場合には解放値を高く設定して、逆に、小柄で非力な場合は低く設定する。自分の場合は、単純に体重に合わせて7くらい。ビンディングも選手のような激しい滑りに対応できるモデルほど、解放値の上限が高くて、20以上のものもあったりする。
でも、滑走中に板が外れたら、そのまま下へ滑り落ちてしまう。そこで、スキーブレーキというのが付いていて、滑走中はブレーキが収納されているけれど、解放されてブーツがスキーから脱げるとブレーキが飛び出て、スキーが滑り落ちないようにすることになっている。
ただし、急斜面やアイスバーンではなかなか止まらないこともあるし、深雪でスキーが太い場合には、スキーブレーキはほとんど役に立たないこともある。だから、ブレーキが付いていても、ファットスキーでパウダーを滑るときはリーシュを付けていたこともある。
![]() mont-bell モンベル スキーリーシュ 〔スキー流れ止め リーシュ〕 (BK):1124490 |
じゃあ、スノボはどうか? ビンディングがストラップにしろステップインにしろ、そもそも解放機構がないので、滑走中に板がブーツから外れることはない。しかも、板には両足で乗っているので、両足が一度に外れることなんてどう考えてもあり得ない。それなら、一体どうしてスノボにリーシュを付ける習慣があるのだろうか?
結局のところ、スノボの黎明期にスキー場から迫害を受け、流れたスノーボードで子供が怪我をしたり、いろいろトラブルがあった中で、スノボが今のように市民権を得て、スキー場で滑れるようにするため、スキー場や一般市民を納得させるためだけの大人の理由で生まれた風習なのだと思う。
スノーボードを流すタイミングは、スノーボードの脱ぎ履きを行うときだけだろう。身体と繋がれていないスノーボードは、滑走面が雪面に乗っている状態では傾斜の向きに滑り落ちていく。橇と同じだ。だから、ゴンドラを降りてからスノーボードを履くまでが一番、板を流す危険性が高い。
では、このときリーシュにそれを防止する効果はあるのか? はっきり言ってない。あるはずがない。スノーボードのリーシュはボードとブーツを紐で繋ぐものだ。ゴンドラに乗っているときはもちろん外している。リーシュを繋ぐのは、大抵、バインディングを締めてからだ。百歩譲って先にリーシュを繋げたとしても、危険性が大きく下がるとは思えない。つまり、スノーボーダーがリーシュを付けるのは安全性をアピールするためのただのパフォーマンスだ。
実際、リーシュを付けているスノーボーダーは今やほとんどいないし、付けているかどうかをスキー場もチェックしない。付いていなくて注意を受けているところを見たこともない。リフトに乗るための条件になっているので、スキー場には「流れ止めがない道具ではリフトには乗れない」とは書いてあるけれど。
そうすると、スノボと同じく解放機構がないテレマークスキーはどうだろうか。NTNはともかく、ほとんどすべての75mmのビンディングには解放機構がない。ただ、スノボのストラップほどには、テレマークのケーブルはブーツを板に緊結することはない。そもそも、テレマークはブーツのコバを引っ掛けて、ブーツの踵をケーブルで引っ張ってコバに押し付けているだけで、大きな力が加われば外れることもあるけれど、まずほとんど外れることはない。
![]() NTN テレマークビィンディング ROTTEFELLA ロッテフェラー freedom フリーダム ツーリング バックカントリー: |
なのに、なぜかテレマークにもリーシュを付ける習慣がある。でも、おそらくテレマークの場合は、昔は革靴で、ビンディングも3ピンでつま先を固定するだけのものだったり、今よりも板が外れることが多かったんじゃないだろうか。それに、スキー場よりも山で滑る人の方がテレマークには多い。雪山で板を流して紛失しない目的でリーシュを使っていたとも考えられる。
![]() 【G3】Ski Leash Metal Clasp[レターパック対応][ネコポス便対応] |
ただ、やっぱりテレマークには板が外れないことが原因で怪我をすることもあるし、雪崩に巻き込まれたときには、足から外れない板が碇の役割をして雪に埋まってしまうこともある。こういう危険性を取り除くために、テレマークにも解放機構を開発するメーカーもあるし、そういうビンディングを選んで使う人もいる。
ちなみに、ジニアスに取り付けていたテレマークビンディングのリーシュがワイヤーの経年劣化で千切れてしまった。何日かはまだ切れてない片方だけ繋げていたけど、そもそもリーシュは要らないんじゃないかと思うようになった。ついには、この際、反対側のリーシュも取ってしまった。
BCで何度かリーシュなしで使ってみたけれど、リーシュを付けたり外したりする手間がなくなるので快適。寒いBCでは余計な一手間がなくなるのはとても楽だ。滑っているときに一度だけ深雪に隠れていた枝に板が引っかかってビンディングが外れたことはあったけれど、そのときはビンディングのケーブルが緩んでいたからで、本来なら外れないはずのものだ。外れたおかげで怪我がなかったのかもしれないけれど。
あとは、板の左右を間違えて履いて滑ってしまったくらいしか問題はなかった。それだって、痛板にしておけば左右間違えることはない。痛板なのに間違えたけどw
まぁ、そんなわけで、少なくともBCで解放機構がないビンディングでテレマークスキーをする分にはリーシュは必要ないと思った。
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