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北海道経産局が環境教育に圧力?

4月5日付の毎日新聞に、ニセコ町の住民が「教育への介入」を批判しているという記事が載っていた。

読んですぐにStuben 02の特集を思い出した。「山岳リゾートと自然エネルギー」と題されて、オーストリア、スイス、日本では山形県と並んで、Stubenの編集者でありカメラマンでもある渡辺洋一氏の地元でもあるニセコにおける再生可能エネルギーを活用する取り組みについて紹介されていた。ニセコ町は国の「環境モデル都市」に指定されているのだそうだ。

「環境モデル都市」とは福田内閣時代の2008年から始まった事業で、2014年に指定されたニセコ町も含めて現在、23都市が選定されている。「我が国を低炭素社会に転換していくため、温室効果ガスの大幅削減など高い目標を掲げて先駆的な取組にチャレンジする都市」をモデル都市として選定・支援する制度らしい。Stubenでも紹介されているように、温泉排水の熱の再利用や雪室、地中熱ヒートポンプなどの利用が行われているそうだ。また、町内の水力発電所による電力を公共施設で使用しているそうだ。

こうした取り組みも、うがった見方をすれば、地方切り捨ての時代に地方自治体が生き残っていくためだとも思えるけれど、この際、制度を活用して住民の環境意識を高めることには大きな意義があるだろう。当然、子どもたちへの教育に反映することが想像できるわけだけど、そんな背景で、ニセコ高校で行われた講演内容に対して「介入」があったのだと思われる。

ニセコ高校は経済産業省資源エネルギー庁が助成する公益団体から「エネルギー教育モデル校」に選ばれており、講演はその一環だと、講演を行なった北大山形助教が語っている。事前に高校に講演資料を送ったら、経済産業省北海道経済産業局の部長と課長が研究室を訪れたというのだから驚きだ。しかも、原発に対してネガティブな印象を受ける内容の削除まで求められている。高校で行われる講演の内容にまで経産局が事前に「検閲」のような行為が行われているということだ。

これまでの原発の「安全神話」構築と再稼働をいまだに進めようとしている経済産業省なのだから、原発に否定的な内容が高校生に伝えられるのが不都合なのは確かだ。原発は二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーだと宣伝してきた手前、低炭素社会の担い手が再生可能エネルギーだけでは困るのだろう。

泊原発はニセコ連山を挟んでニセコから北に30 kmも離れていない。むしろ、高校生には事故の危険性と対策を真剣に考える機会が与えられる必要がある。

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