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赤狩り

アメリカのレッドパージがフィクションを交えてドラマティックに描かれていてすごく面白い。

この漫画はママンが欲しいというので買ってきた。新聞か何かで紹介されていたらしい。買った直後にちらっとは目を通したけれど、すぐに渡してしまったので、そのまま読まずに忘れてしまっていた。

冒頭のシーンは、あの有名な映画「ローマの休日」の撮影風景だった。ほとんど予備知識がなく読み始めたので、どうしてこの映画の撮影から物語が始まるのか理解できなかった。ところが、たまたま第2巻も発売されたことを知って、第1巻から改めて読み進めてその理由が分かり、「ローマの休日」を初めて観たときのことを思い出して、何とも言えない繋がりに、はっと気づかされることになった。

おそらく映画好きにとっては赤狩りと「ローマの休日」との話は有名なのだろうけど、自分が生まれる前の映画はほとんど観ない方だったので、そうした裏話も含めてあまり関心がなかった。

初めて「ローマの休日」を観たのも、実は自宅で観たわけではない。当時、就職活動で東京の叔父叔母の家に泊めてもらい、試験を受けに出かける前、なぜか勧められて観ていた。有名なシーンが画面に現れるのを見るとそうだと気づくくらいで、それほど特別何かを感じるということはなかった。

ところが、第2巻まで読み進むと、ハリウッドで赤狩りの嵐が吹き荒れる中、映画製作が行われるまでの道のりが描かれながら、いよいよ物語の時間も冒頭へと次第に近づいてくる。なるほど、「ローマの休日」とは、そういう映画だったのかと。

おそらく叔父が自分に「ローマの休日」を観せたことには特別な理由はないのかもしれないけれど、もしかしたら、当時、就職活動に悩みを抱えていた自分に対して何かのメッセージを伝えていたのかもしれない。

第2巻ではまだ映画は完成していない。予備知識がないことが幸いして、続きがとても気になる。

レッドパージは何もアメリカに限ったことではなく、当時、GHQのマッカーサーの元、日本でも赤狩りは行われた。戦後、民主的な活動も潰された。たまたま最近は「都市と住まい 西山夘三 建築運動の軌跡」を読んでいたところだったので、余計に感慨深い。かつての赤狩りと現代の日本の右傾化。知識人が警笛を鳴らしている時代なので、今こそ過去に学ぶべきかもしれない。

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