テレマークの2種類のシュプール
春の前十勝岳ツアー後の反省会でちらっと話題になったターンについてのオレオレテレマーク技術論w
327gさんがわざわざ斜面の途中の撮影ポイントで止まって撮ってくれた写真。パパの次に自分が滑ってるところ。
写真の右側が先に滑ったパパのシュプール、左が自分の滑ったシュプールで、今まさに滑ってるところ。ちょうど黄砂や火口からの噴気などで汚れた雪面を薄っすらと新雪が覆っている状況だったので、シュプールがはっきりと見える。
右のパパのシュプールは、スキーの板が通ったラインの外側に雪が飛び散っていて、切り替えのところでは細く、ターンのところで膨らんでいる。一方、左の自分のシュプールは、2本の曲線がほぼ同じ間隔で蛇行していて、雪があまり飛び散っていないので膨らんでるようには見えない。
反省会では大西さんなんかはふざけて「右のシュプールはダメだ」なんて言っていたけど、この写真より前にキンペイさんの雪の飛沫が舞い上がっている写真と比べると、自分の滑りも「スプレーがなくてダメ」ということになったw
滑りの質、ターンの質の違いが、シュプールの違いや雪の飛び散り方の違いとなって現れるけど、そもそもこんな違いがはっきりと現れるのは、パウダーではないからだ。春、まだザラメにはなっていないけれど、表面の積雪が浅くてエッジが硬い下地を捉えることができる時期だ。ゲレンデの整地された斜面に近い。シーズン中、ほとんど深雪の山では、強風で雪が全部飛ばされていたり、ガチガチにクラストしていたり、あるいは、新雪が大して降らなくなった春でもなければ出会わないコンディションだ。
こういうコンディションでの滑り方は、特に、テレマークでははっきりと分かれる気がする。切るかずらすか。基礎スキー的に言い換えれば、カービングターンをするかスキッディングターンをするか。
深雪では基本的にエッジの角付けによるカービングにはならないので、必然的にずらしによるターンになる。パウダーを滑っている時と同じようなずらしたターンを春にもすると、自然とパパと同じようなシュプールになる。一方、ゲレンデで整地を滑るように、不整地でも下地をエッジで捉えて角付けしてカービングするように滑ると、左の自分のようなシュプールができる。
でも、まぁ、シュプールやスプレーなんて目に見える結果は自己満足だからどうでも良くて、肝心なのは滑り自体だ。動画で撮影したみんなの滑りを後で見ていると、板が結構バタついているのが分かった。実際、自分も1本目の前半はずらして滑っていたので、そのときは板がある程度バタついていた。そのせいで脚は疲れた。ずらしをコントロールするために常に脚への力の配分も意識する必要がある。
それとは対照的に、角付けしてずれを少なくしてカービングターンをすると、板のバタつきは納まって安定する。雪面の凹凸がゲレンデの整地よりも大きいので吸収動作は必要だけど、滑っている間中雪面を押さえつけるような力が要らなくなるので、脚の疲れは少ない。ただ、もちろん、カービングで減速要素が減るとスピードが出る。速い分だけターンのときの遠心力が大きくなるので、それに耐える力とずらしたときに使う力とどちらが消耗が大きいかが、ターンの種類を使い分ける大きな判断材料になるように思う。あとは、好みや滑る楽しみ。
面白かったのは、msrnはちょうどパパと自分の中間のようなターンをしていたことだ。切り替え直後のターン前半、谷回りでは板をずらしているけれど、ターン後半の山回りでは角付けが強くなってカービング要素が強くなり、雪の飛び散りが減るのでシュプールの膨らみがパパより小さい。板のバタつきもターン前半より後半で抑えられてスピードも出ている。
底付きしないような深雪はともかく、ターンで底付きする程度のコンディションでは、やっぱり角付けのコントロールがテレマークでも重要なんじゃないかと思う。テレマークレースをやったことがあるテレマーカーはカービングターンをしているけれど、山がメインのテレマーカーはあまりカービングしない人が多い。アルペンターンにはNGを出されるけれど、なぜかフルスキッディングのテレマークターンが指摘を受けることはない。
テレマークスキーにとって、アルペンターンは技術の一つであって、テレマークターンのやり損ないではなく、効果的な場面では積極的に使うべき技術だと思う。それと同じように、テレマークスキーでもカービングは疲労の予防などのためにも効果的だ。滑る直前にワックス塗るよりカービングした方がスピード出ると思うし。せっかくカービングスキーに乗っているのだから、ずらしてばかりではもったいない。道具に頼らずに地形や雪質などコンディションに合わせて技術で対応するのがテレマークスキーの醍醐味だ。
| 固定リンク | 0
コメント