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“しらっとした顔でアンフェアな行ないをするのは政治家だけで十分”

シーズン前についつい今年も買ってしまったFall Lineで見つけた編集長の一言。

この“政治家”が安倍晋三を指しているかどうかはもちろん定かではないが、先日の総裁選における討論会などで安倍が発言している映像を見ると、編集長が思い浮かべた“政治家”の一人が安倍だというのもあながち間違いでもないような気がする。もちろん記事を書いたのは選挙戦よりずっと前だろうけど、1年以上も前から国民への説明責任を果たさないままなのだから、意識高い系が多いこのバックカントリー業界の雑誌の編集長が、さりげなく批判したのだと思いたい。

記事自体は“ショールーミング化の矢面に立たされたプロショップの現実と未来”というサブタイトルが付けらていて、最近問題になっている実店舗の「ショールーム化」がスキー、スノーボードのプロショップでも起きていることへ警笛を鳴らすものだった。ショップでは“無料相談所”と自虐的に呼んでいるらしいw プロショップへ行って試着したり、店員にいろいろ話を聞いたりしても、結局そこでは買わずにネットショップなどでプロショップより安く商品を買うので、プロショップはただのショールームになっているという。オレじゃんwww

だからというわけじゃないけど、客としてこちらにも言い分はある。価格差がプロショップのサービスの対価として妥当だと思えば、ネットショップ等では買わない。こちらの知りたいことに的確に答えてくれて信頼できれば、そこで買おうと思う。ところが、残念ながら、店も店員も様々だ。

例えば、テレマークを売っていながらテレマークをちゃんとやってなかったり、知識が全然浅かったりする。直営店にいたっては、売ることを優先しているのか、いいことしか言わないことも多い。せっかく店へ足を運んでくれているのだから、店員は情報を“無料で持ち去”られるなどと考えずに、客からの信頼を得るための機会だと考えるべきだ。サービスに満足すれば、常連客にすることだってできるはずなのだから。

あるいは、輸入品が本国よりもかなりの高額で売られている場合、日本の代理店のサービスが価格差に対して不十分だと感じるときは、個人輸入や並行輸入品を購入する場合だってある。“専門店でモノが売れなければ、輸入代理店の採算割れを引き起こし、(省略)私たちが本当に必要とする商品ほど日本に入ってこなくなる可能性だってある”と言うけれど、ネットで簡単に個人輸入ができるようになった現在では、以前よりも客にとっての輸入代理店の存在意義が低下しているのは仕方のないことだ。

さらに、“命を託す道具やウェアを選んで買うのに、海外サイトの情報や誰が書いたかも分からないレビューで判断しなければならない事態は危うい”という考えも一面的だ。海外サイトの情報はプロショップの店員の情報に劣るとでも言いたいのだろうか。業界のバイアスがかかったレビューを読んでも、必ずしも正しい情報が得られるとは限らない。さまざまなユーザーのたくさんのレビューの方が有益なことも少なくない。業界の思い上がりと言えるだろう。

そうは言っても、自分だってできるだけ地元の店で買いたいとは思っている。その方が地元の経済のためにもなるからだ。それでもネットショップを利用するのは、“わずかな価格差”では済まないからだ。ネットショップで買うときでも、消費税を納めてないAmazonよりは楽天市場で買うようにしている。

そもそも基本的に定価では買えなくて、セール品の20%OFF前後が目安だ。ネットではそれ以下で買えることもあり、半額も珍しくはない。店頭に在庫がもうない型落ちや中古品が欲しい場合だってある。プロショップで商品を定価で買える富裕層ばかりがバックカントリーを楽しんでいるわけではないことも忘れてはいけない。

初痛板

これだけ消費者を批判するのであれば、まずはちゃんとした調査を行って結果を示すべきだろう。“ショールーム化”の実態が見えない。業界紙がプロショップをかばっていると思われかねない内容だ。それこそ安倍内閣の不正を追求した野党のようにちゃんと根拠を示した方がいいだろう。記事に登場するプロショップ店長やオーナーだって、どこの誰かも分からない。パウボスレである店長が晒されてはいたけどw 消費者にとっては、雑誌に登場する謎の店長よりも、情報に直接アクセスできる海外サイトの方が信用できるのではないだろうか。

すっかり批判の批判のようになってしまったけれど、バックカントリーを楽しむには結構金がかかるということが事実だ。貧乏学生の頃から山スキーを始めた自分から見て、今どきのバックカントリー入門者の装備があまりに充実していて驚く。社会人はポンと一式揃えて始めるので、学ジャーやセーターをアウターの中に着ていた自分とは雲泥の差だ。山スキーは業界によってファッションに変えられてしまった印象を受ける。

そんなお金持ちが多いバックカントリー業界でも、最近よくネットで買ったり中古品が盛んに売買されるのは、根本的にみんな財布が寂しくなったからだ。企業は内部留保ばかり増やして賃金に回そうとしないのだから無理もない。さらに、政府が社会保障を切り捨てるため、将来の不安が増大して消費は鈍る。貧乏になってプロショップで買えない客が増えるのも必然だ。

“しらっとした顔でアンフェアな行ないをするのは政治家だけで十分”などと1行書いただけで消費者に説教するよりも、はっきりと安倍政権や自公政権の政策を紙面で批判してみろと言いたい。“左翼”の雑誌だと批判されてもいいじゃないか。富裕層だけのためではなく、本当に消費者のため、プロショップのためになることをするなら、読者からは支持されるだろう。

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コメント

 未だに、10年以上前に購入したジャージをメインで着こみ。
穴が開いたグローブには手芸屋で見付けた皮を貼り付け、ボロボロになったスキーパンツにも当て布で耐える日々なのですが。

 つい先日、高級北欧ブランドの2020モデル先行予約品を、有名ライダーさんらしき方々に集団で勧誘されて、買わされそうになる夢を見ました。
 夢の中でも「高いから買えない!」と判断出来たのは、誇りに思っております。

 

投稿: しーば | 2018年10月 1日 (月) 20時50分

>しーばさん

怖い夢だねwww
でも、夢にまで見るなんて、早く滑りたくてウズウズしてるのかw

当て布でパンツを補修していたのはかわいかったね。
全然ありだよ。
今度やってみようかなw

さすがに今からジャージを買おうとは思わないけど、始めるときはジャージを持ってるならそれで十分。
学生も社会人も学ジャーを捨てずに活用すべきw

投稿: H本 | 2018年10月 1日 (月) 21時05分

こんにちわ。ご無沙汰しておりました!お元気ですか?
私も常々現政権に対しては批判的な意見を持っていますが、
批判するって、難しいですね。
軽々しく気の利いた(ような)一文で表現してはいけないな、とこのブログを読んで思いました。笑

ショップのショールーム化はしょうがないですよね、安い方で買うのは止められない。H本さんの言うように、プロショップというからにはプロから買いたいというのがこちらの意見ですよね。プロの販売員が足りていない気がします。

ぼーっと世の中を見てると、人口は減っているのにこんなに消費者に媚び売って選択肢増やして、どうするんだろうと思います。

今年はゴンドラの中で日本の行方について語りましょう。

投稿: 部長 | 2018年10月 8日 (月) 02時28分

>部長

お久しぶりです。
季節の変わり目のせいかちょっと体調を崩してしまい、つい不満をぶつけてしまいましたw

ぼくは部長の気の利いた一文による政権批判は嫌いじゃないですよw
今回はたまたま政治家を引き合いにして、ぼくも含めた消費者を小馬鹿にする編集長の態度にイラっとしたのでこんな風に書きました。
記事の冒頭では、できるだけ安く買いたいという編集長も含めた(?)消費者の心理に理解を示しているようなことも書いてありましたが、他の消費者がどう考えてるかには興味がないのか、記事にはプロショップ側の声しか載ってませんでした。
部長やぼくのような消費者の声を拾い集めようとしない一方的な記事には価値を感じません。
ブログで続きを書きたくなってきましたw

とはいえ、部長の“人口は減っているのにこんなに消費者に媚び売って選択肢増やして、どうするんだろう”という疑問はなかなか深いなぁと思いました。
今年はゴンドラの中が熱くなりそうですねw

投稿: H本 | 2018年10月 8日 (月) 10時29分

あれからプロショップのことをいろいろ考えていたのですが(ヒマか)
例えば、インターネットでの非正規販売を禁止してショップのみとした場合、
それまで店舗では試着のみ派の人たちが実店舗で買うか と考えたら。
買わないだろうなぁ、と思います。同程度のスペックで安い別のブランドのものを買うんじゃないかな。
ネット販売の向こう側にもそれを販売する「人」がいて、そちらのサービス(価格面含め)の方が良かったということではないでしょうか?やっぱり、消費者はちゃんと選んで買っていますよね。
しらっとした顔でお店に立ってるくらいなら
「当店で買うつもりのない人は試着禁止」の一言でも貼っておけばいいと思います。(骨董屋さんは「さわらないで」とかけっこうありますけどね。)


総括して安倍が全部悪いんです。

投稿: 部長 | 2018年10月11日 (木) 01時23分

>部長

最後まで読んで軽く吹きましたw
ぼくも部長の“選択肢”云々ではいろいろ考えてますよ〜

試着のみ派は基本的には価格が第一でしょうけど、ネットショップ同士だって価格以外に対応の良し悪しで競争がありますし、プロショップや編集長が考えているよりよっぽど消費者は賢いと思います。
ちなみに、雑誌の記事の中であるプロショップオーナーの“いっそのことドアを黒く塗りつぶして会員制にしちゃおうかなって”という言葉も紹介されていましたが、必要だと思えばそうすればいいと思いました。
そもそも試着のみ派を毛嫌いするプロショップが異常だと思います。
展示してる商品に興味を示して来店しているのだから、あとひと押しは営業力なのでは?
ブランド商品の正規取扱店という立場に胡座をかいていたツケが回ってきたという反省こそプロショップに求められるべきだと思います。

とはいえ、安倍が悪いのも確かですが、悪いのが安倍だけならともかく、あっちもこっちも悪いのが現実なので、困ってしまいます。
これまで国政を担った政党は尽く国民の期待を裏切ってきました。
それでもそうした政党に投票し続けている有権者がいることがぼくには驚きですが。
まぁ、今はなんにせよこれ以上安倍が悪さをしないうちに政権から引きずり下ろすしかないですね〜

投稿: H本 | 2018年10月13日 (土) 12時13分

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