VU葬
こんなときにダジャレもなんだけど、そんなふうに感じた葬儀だった。
先日、友人が突然亡くなった。バックカントリーで滑っている以上、いつかは誰か亡くなるだろう、あるいは自分が亡くなるだろうと覚悟はしていた。けれど、まさかシーズン直前に雪崩ともスキーともまったく関係ない理由で友人を亡くすことになるとは思っていなかった。しかも、自分よりも若いために余計に信じられない。葬儀を終えた今でも実感がない。もう数週間でスキー場がオープンし始める。スキー場へ行ったら、笑顔の彼にいつものようにまた会えるような気がしてしまう。
初めて彼と出会ったのがいつだったか忘れてしまったのでブログを振り返ってみると、最初に参加したVUCだったことが分かった。11-12シーズン。2012年の1月だった。痛板できょどるにわかの自分とは対照的に本物の信者という様子でVUCにも溶け込んでいた。
VUCで知り合ったことが縁で、そのシーズンはスキー場や道路情報館で偶然会って挨拶をすることが度々あった。春には一緒に山でジンギスカンを食べ、シーズンオフ間際に2回目のバフン(当時は春バンフと呼んでいた)では動画の上映もしてもらい、その後のバフンではほぼ毎回上映をお願いしていた。
自分には真似できない撮影スタイル。滑り終えるとすぐにポケットからコンデジを取り出して撮影を始める。さらに、片手にコンデジを構えて追い撮り。GoProの広角レンズとは一味ちがった臨場感のある映像は、確かなスキー技術があってこそ撮影できる。先シーズンは自分の滑りも追い撮りしてもらった。映像を見ると滑りがしょぼかったけどw
子供の頃からばんけいで滑り込んだと聞いた技術はさすがだった。基礎スキーのような動作の無駄がないコンパクトなターン。テンポのいいストックワーク。テレマークでもレーサーの滑りとはちがった自然なターンで親近感を覚える。先シーズンはスノーボードも久しぶりに滑ったと聞いていたので、今シーズンは一緒に滑りたいと思っていたところだった。救急車で運ばれる前、彼は先シーズン育児などで忙しくあまり滑れなかったため、ようやく今シーズンは滑れると計画を仲間と語り合っていたと聞いて、胸が締め付けられる思いだった。
通夜には浅川さんが来ていたと聞いた。告別式では秋庭さんと永島さんに会った。他にもVUCで知り合った人たちがたくさん来ていて、中には本州から駆けつけてくれた人たちもいた。もちろんVector Glideとは関係ない、スキーとも関係ない人たちもたくさん来ていたけれど、半分くらいは彼と一緒に滑った人だろう。棺に一緒に入れられたヘストラのグローブ。そこに赤い花を添えて別れた。
彼が亡くなったことがまだ信じられない思いでいる。思い出を振り返るのに動画を見ていると、悲しさよりも懐かしさばかりだ。きっとスキー場へ行って無意識に彼を探して、いつまで経っても現れないことに気づいたとき、ようやく彼の死を実感するような気がする。
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