地震は止められないが原発は止められる
すごい久しぶりで小野有五先生の講演を聴いてきた。
小野先生の講義を受けたことはなかったけれど、学生時代に水俣展が開催されたときに初めて話を聴いて以来、北海道のリベラルな活動に関わって何度か講演を聴きに行った気がする。新聞記事とかで見ただけかもしれないけど。
今回はママンから誘われて参加してみた。生活クラブ主催の講演会だったけれど、一般の参加も可能だったので。
昨年、2018年には胆振東部地震で北電がブラックアウトを引き起こし、泊原発も一時外部電源喪失による危険に晒された。幸い、まだ再稼働していなかったため福島原発のようなメルトダウンの心配はなかったものの、少なくとも自分の記憶では札幌が最も大きな揺れた今回の地震では、真っ先に泊原発が気になった。
現政権を含む原子力ムラを支持する人々はブラックアウト予防を口実に泊原発の再稼働を急ぐように主張していたけれど、原発事故のリスクを考えればそんな安易な主張に同調できるはずもない。放射性核廃棄物の処理の道筋も見えていない、まさにパンドラの箱を開けてしまった状況。去年の地震では断水してトイレのうんこが流せなくて困ったが、「トイレのないマンション」と呼ばれた日本の原発を動かし続けて、これ以上うんこを増やしてどうするのか。
そんな思いもあり、地震後に泊原発の問題を検証する本を読んだりもした。
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その本でも小野先生が泊原発の危険性について指摘してたけれど、今回の講演ではより分かりやすく解説してくれた。というのも、原子力規制委員会の委員は地震や断層、地質学の素人であるため、泊原発の問題点を理解してもらうには素人でも分かるような説明が必要らしく、そのための動画を作って送ったりしたそうで、今回はそれらを資料に解説してくれたからだ。
講演を聴くと素人の自分でも泊原発が活断層の上にある可能性があることが理解できた。小野さんたちの努力の甲斐あってか、原子力規制委員会も審査を継続して再稼働は延期。ついに、北電さえもこれまで活断層ではないと主張していた断層が、活断層であると認めたらしい。驚くべきことに北電はまだボーリング調査などを行なって再稼働を目指しているらしいけど、どうにもならないというのが小野先生の判断だ。
再稼働が事実上不可能だと分かって安心する一方で、北電が再稼働できないことを理由に電気料金を値上げしている状況には苛立つ。しかも、北電へ支払った電気料金の一部は東京電力へと回っているらしい。
また、講演会の資料では龍谷大教授によるコスト試算など道新の記事がいくつか紹介された。泊原発の再稼働のためにテロ対策や活断層への対策を行えば、その経費は電気料金に反映されることになる。つまり、再稼働で電気料金が安くなるという北電の主張は嘘だということだ。
小野先生は、すぐに北電から北ガスなど他の電力事業者へ契約を変更するように話していた。北電の料金がたとえ高くなくても、北電なんかとの契約は早くやめたい。
6月22日に泊原発の1号機が稼働してから30年を迎えた。原発の当初の寿命は40年なので、すぐに再稼働してもあと10年。小野先生が言っていた「地震は止められないが原発は止められる」という言葉が印象に残った。
そもそも「地震大国」に原発を50機以上も建設したのが非常識。これ以上原発事故による災害を繰り返さないためには、まずは動いている原発を止めること。再稼働はせず、廃炉を進める。でも、核廃棄物の処分をなんとかできるようにしないとうんこは減らない。参院選では脱原発を掲げる政党へ。
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