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ボルダリングは保険金が支払われない?

傷害保険の規約を改めて調べていると、どうやらフリークライミングでは保険金が支払われないようだ。

一般的な傷害保険は山岳保険と異なり、登攀の場合は保険金が出ないことは知っていた。実際、契約中の傷害保険の規約には「保険金をお支払いできない主な場合」として次のように書かれている。

ピッケルの登山用具を使用する山岳登はん、フリークライミング、ハンググライダー搭乗等危険な運動を行っている間の事故

登攀だけでなく、フリークライミングも保険金が支払われないようだ。ちなみに、フリークライミングとはここに書いてあるように、ロープクライミングとボルダリングに分かれる。東京オリンピック種目にも採用されて注目されているけれど、規約を読んでちょっと待てよ、と思った。

もしかして、ボルダリングで怪我をしても保険金が支払われないんじゃないのか?

ここ数年、子供の遊具代わりに自宅の壁にホールドを設置してボルダリングができるようにするのが流行っていた。自宅の中とはいえ、フリークライミング(ボルダリング)中の事故で保険金が支払われないとしたら、安易に子供にボルダリングをさせるのは危ないんじゃないか?

規約の読み方で、ボルダリングが保険金支払いの対象になるかどうか変わってくるように思う。「ピッケルの登山用具を使用する山岳登はん、フリークライミング」と読めば、あくまで「登山用具を使用するフリークライミング」ということで、主にロープクライミングなど登山用具を使用するフリークライミングに限り、クライミングシューズとせいぜいチョークという登山用具とは言えないようなものだけで登るボルダリングであれば、保険金支払い対象になるかもしれない。

一方、「危険な運動」として「フリークライミング」全般が定められているなら、たとえボルダリングであっても、保険金支払いの対象外になる可能性がある。

他の傷害保険も調べてみると、楽天損保のからだの保険パーソナルアシストには、「保険金をお支払いしない主な場合」として次のように書いてある。

⑥山岳登はん(注1)、リュージュ、ボブスレー、スケルトン、航空機(注2)操縦(ただし、職務として操縦する場合を除きます。)、スカイダイビング、ハンググライダー搭乗、超軽量動力機(注3)搭乗、ジャイロプレーン搭乗その他これらに類する危険な運動によるケガ
(注1)ピッケル、アイゼン、ザイル、ハンマー等の登山用具を使用するもの、ロッククライミング(フリークライミングを含みます。)をいいます。

楽天損保の場合は、登山用具を使うかどうかに関わらず、フリークライミング全般が補償対象外のようだ。

一方、東京海上日動のトータルアシストからだの保険には、「保険金をお支払いしない主な場合」として次のようにしか書いていない。

ピッケル等の登山用具を使用する山岳登はん、ハンググライダー搭乗等の危険な運動等を行なっている間に生じた事故に被ったケガ

これだとフリークライミングが含まれるかどうか確認しなければ分からない。

その点、損保ジャパンは対応が早く、THE ケガの保険には、次のように記載されている。

ピッケル等の登山用具を使用する 山岳登はん、ロッククライミング (フリークライミングを含みます。)、登る壁の高さが5 mを超え るボルダリング、航空機操縦(職務 として操縦する場合を除きま す。)、ハンググライダー搭乗等の 危険な運動を行っている間の事

ボルダリンは補償対象にはなるが、高さ5m以内に限定しているようだ。

傷害保険のこうした状況が背景にあるのか、日本山岳・スポーツクライミング協会の山岳保険には、スポーツクライミングコースが設けられている。ただし書きには、次のように詳細が記載されている。

スポーツクライミングは、本コースで補償対象となります。
・ボルダリング(下に衝撃吸収マットを敷いた高さ3~4メートル程度の石垣や露岩、人工壁を、プロテクションを使わずに手足のみで
登るものをいいます。)
・屋内施設でのクライミング ・屋外の人工壁におけるクライミング(ただし、安全確保のためのロープを使用するものに限ります。)

スポーツクライミングコースというだけあって、一般的な傷害保険では補償対象かどうか曖昧なフリークライミングについても、ボルダリングやロープクライミングについて定義したうえで、補償対象を示している。それでも、ボルダリングは衝撃吸収マットを敷いていることと、高さが3〜4メートル程度という条件がありそうだ。

ボルダリングは10年以上前にシューズも買ってやろうと思ったこともあったけれど、週に3日、4日ジムへ通わなければ上達しないことが分かってからは、まったくやらなくなってしまった。ジムに通うたびにお金がかかるのでは経済的に辛い。通う時間を確保するのも大変だ。でも、自宅に練習用の壁を作れたら、空いた時間に練習ができていいなぁ、なんて思っていたので、ボルダリングが傷害保険の補償対象外かもしれないというのは寝耳に水だった。家で子供にボルダリングで遊ばせようと思っている親は注意が必要かもしれない。

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