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テレビンディングもテックになるのか

アルペンとは対照的に開発競争というよりも絶滅間際の生き残りをかけた戦いを繰り広げているように思えるのがテレマークビンディングだ。

テレマークビンディングの老舗メーカーの一つであったブラックダイヤモンドとG3は、今はテレマークから撤退してしまっている。一方、ロッテフェラーは滑り重視で独自の解放機構も備えたNTN(New Telemark Norm)を早々と開発して、従来の75mm Telemark Normからは移行してしまった。ブラックダイヤモンドのO1を気に入っていたけれど、NTNビンディングを出してくれないだろうかという期待はあっさりと裏切られた。

同じく老舗メーカーの一つで、75mmではSwitchbackで実績のあるメーカーとしてボレーもあるが、NTNへ対応する様子はない。ところが、75mmが全盛だった頃は目立たなかった22designsが、NTNビンディングを開発、販売し、日本では事実上、NTNはロッテフェラーと22desingsの二択となっている。

テレマーク歴が浅いのでよく知らないけど、そもそも、昔のテレマークは革靴で、つま先のソールに空いた3つの穴にピンを通してコバを引っ掛けるだけだったらしい。その後、プラスチックブーツとワイヤーやケーブルでつま先とコバを結びつけて固定するビンディングが普及したけれど、NTNに比べると原始的な方法に感じる。NTNはつま先のコバと土踏まずの前の方とを挟んでビンディングとブーツをがっちりと固定するので、遊びがほとんどなくアルペンビンディングに近かった。

おそらく今後は、従来の75mmが細板革靴として、プラスチックブーツとケーブルビンディングの組み合わせは廃れてNTNへ移行して住み分けされていくように思う。ただし、NTNの他にも75mmに代わるビンディングが存在するのでややこしい。自分がテレマークを始めた10年前なら、それほど迷わずに75mmのビンディングとブーツを選ぶのが普通だったけれど、今はブーツこそNTNを選んだとしても、ビンディングは選択に悩むことになる。

NTNブーツにはアルペンのテックビンディングと互換性のあるピンを備えたブーツも存在し、そのピンを利用したテレマークビンディングも開発されている。その一つが、テックビンディングのトゥーピースとワイヤービンディングを組み合わせたようなTTS(Telemark Tech System)だ。白銀荘の前で外人が自慢していた。

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他にも、一時期ATKのNewmarkビンディングというヒールを固定することもできるテレマークビンディングがあったようだけど、今はもうないようだ。BishopからNTN対応ビンディングが出ているが、テレマーク離れした仰々しさと重量では選択肢の一つとして考えづらい。

そして、数年前、鳴り物入りで登場したのがThe M EquipmentのMeidjoだ。

Meidjoはスキーブレーキと解放機構を備え、デザイン的にも洗練されている一方で、高価な上にとにかくトラブルが多い印象だ。三段山クラブの大西さんが人柱になってくれているけど、ハイクアップ中に誤解放を繰り返しているのを見ただけでも、自分が手を出すにはまだ早いと感じる。改良は続けられているようなので、今後に期待はしたい。

そして、ロッテフェラーに不満なテレマーカーを救った22designsから、今度は新たにMeidjoと同様にテックのピンを利用するLynxがリリースされた。Outlawと比べて大幅に軽量化されてMeidjo並みになったLynxの評判が気になるところだ。

後発メーカーが改良を続けているのに対して、NTNの開発元であるロッテフェラーは5年くらい前にBC向きに軽量化したフリーダムをリリースしたものの、ここ数年は改良すら見られない。カラーリングが増えた程度だろうか。それに比べると、ロッテフェラーのライバルとして、以前のテレマークらしい乗り味を再現している22designsの方に期待してしまう。Lynxも果たして再現できているのか。Meidjoと合わせて一度試乗してみたい。

一つ忘れてはいけないのは、テレマークビンディングにとって以前から大きな課題である解放機構だ。75mmでもレースでは解放機構が求められていたようで、7tmのようなDIN規格に適合する解放機構を備えるビンディングもあった。同じくテレマークレースから普及したNTNもRottefella規格の解放機構が備えられている。NTN等の新しいビンディングではアルペンビンディングのように剛性が高められているため、怪我の防止を考えればアルペンビンディングのような解放機構が必要になる。Lynxはよく知らないが、OutlawもMeidjoも解放機構を備えている。でも、ロッテフェラーはちゃんと解放するともしないとも聞く。メジョーの怪しさは上でも書いた通り。

テックビンディングが普及したのは特許の期限が切れたためらしいけど、NTNは特許がまだ有効でテックのようには広まらないと聞いたことがある。22designsもLynxが成功すればNTNの開発、販売は終了してLynxのみになるかもしれない。ロッテフェラーも今のままでは、NTNではなくMeidjoやLynxのようなピンタイプがテレマークでも主流となる可能性も高い。果たしてどうなることやら。

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