遅すぎたGENIUS SPLIT
来シーズン、ついにGENIUSのスプリットボードがVector Glideから正式にリリースされるようだが、残念ながら「遅すぎた」というのが正直な感想だ。
2014年2月、Vector Glideのスノーボードが復活して限定40台が先行リリースされたのがジニアス。この限定モデルを5月に買って、翌14-15シーズンから乗り始めた。
けれど、自分自身もスノーボード復活というか、初めて本気で練習するようになった段階。まだ1シーズンしか乗っていなかったのに、次の15-16シーズンには立木に衝突して割れてしまったのは、以前書いた通りだ。
その後、2シーズンほどは自分で補修して滑り続けてはいたけれど、もともとBCで乗るつもりだったスノボなのに、シューでのハイクが辛くて山へ滑りにはほとんど行かなくなってゲレンデでしか滑らなくなってしまった。そんな状況だったとき、ベクターライダーの塚原さんがジニアスのスプリットをテストしているのをFBで知って気になって見ていた。
当時、すぐにでもジニアスのスプリットが欲しければ、DIYキットを買って板を割って自作する方法もあった。施工を請け負ってくれる業者もないわけではない。でも、メーカーが作ったスプリットに比べれば、さまざまな点で劣るのは避けようがない。割った断面やインサートビス周りの防水や耐久性。インエッジがなければ、クラスト斜面でのハイクも心配だったし、割ることで板のフレックスやトーションが低下するのは明らかだった。
そんなわけで、当初は、焦って自作するよりは、メーカーから正式にスプリットが出るまで待とうと思っていた。塚原さんがテストを行なっているなら、数年後には出るだろうと思っていたので。
ところが、待てども待てどもジニアスのスプリットは一向に出なかった。痺れを切らして秋庭さんに直接スプリットの加工をお願いしたこともあった。けれども、毎年新しくリリースされるのは、マーク3、VSK、それらの小さなサイズだったりと、ジニアスのスプリットが登場する気配を感じなくなってしまった。
そんな中、17-18シーズンにヤフオクでたまたま同じGENIUSの限定モデルを見つけて手に入れた。壊れた板と乗り比べても、それほどちがいがわからないw
それならば、どうせもう割れているのだから、スプリットにしてしまえとDIYに挑んだのが、18-19シーズン。GENIUSに乗るようになってから5年目にしてもう我慢ならずにGENIUSのスプリットを自作してBCで滑り始めた。
幸か不幸か自分のようなスノボ初心者にとっては、板の形が同じであれば、板を割ることによるフレックスやトーションの低下などはあまり気にならない。特に、パウダーを滑る上では、ソリッドのGENIUSにまったく引けを取らない滑り心地だった。強いて言うなら、スキーと比べて板が薄く柔らかいので、ハイク時に折れないかが心配で、慎重に歩くようにしていたくらい。
Vector Glideの公式サイトで塚原さんによるGENIUS Splitの解説が公開されている。そこでもやはりスプリットボード特有の難しい課題について触れられていた。
スプリットボードは、分割した2本の板にクライミングスキンを付け登坂用具として使うツアーモードと、その板を繋ぎ合わせソリッドボードとして使うライディングモードの2つの機能を持っている。しかし、この2つのモードに求められる性能は、相反するものもあり、多くのメリットがある反面、いくつかのデメリットも存在する。
ツアーモードでは、長いハイクやラッセルで足に負担をかけないための軽量化に加え、クライミングスキンで雪面をしっかりとらえるために、板には張りのある硬さが求められる。一方、ライディングモードでは、2枚の板を繋ぎ合わせることで、できる限りフレックスとトーションのバランスが失われないようなデザインが重要となってくる。ベストパフォーマンスを導くために、このジレンマを如何に解決していくか・・・・。
自作の場合ははっきり言ってどうしようもない。解決できるのはメーカーだからこそだ。実際、いくつかの点で自作では実現が難しいアドバンテージが見つかる。
自作ではソールにはインサートビスを打ち込んだ跡が残るけれど、公式スプリットのソールはソリッドボードと同じくきれいに仕上がっている。スクレイパーが引っかからないので、ワクシングが圧倒的にやりやすい。
インエッジも入っているので、ハイク時にクラストした斜面のトラバースのときなどに板がグリップしやすくて安心だ。強度も増して耐久性も上がっているはずだから、自作ほど神経質にならなくて済むだろう。
チップとテールのクリップがSpark R&D製なのも好感が持てる。Voile製は滑走中に外れやすいと評判が良くない。フックまでSpark R&D製の必要があるかどうかは乗ってみないと分からない。少なくとも自分はVoile製のフックが緩くても付け外しの手間がかからないので気に入っている。
塚原さんの手によってどこまでGENIUS Splitの完成度が高められたか非常に興味はあるけれど、手元の自作GENIUS Splitがまだまだ問題なく乗れそうなので、当分はお世話になることはないだろう。自作スプリットが壊れた頃に、ヤフオクにGENIUS Splitが出てたらいいのだけどw
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